1500台というのは以前当方が車山高原で開催されたフレンチブルーミーティングでカウントして歩いた時の駐車台数に匹敵する数だ。
つまり、あの会場を埋め尽くした規模のルノー車およびルノーに興味のある人々を集めたことになる。
集まった人の内訳は、
ルノー カングー | 887台 | 59.1% |
それ以外のルノー車 | 222台 | 14.8% |
ルノー車以外 | 392台 | 26.1% |
となっている。
ハッキリ言ってこれには驚いた。
日本におけるルノーの販売台数はカングーが圧倒的であり、だからこそイベント名も「ルノージャンボリー」ではなく「カングージャンボリー」であるわけだが、注目すべきはルノーのイベントであるにも関わらずルノー車以外のオーナーが1/4以上集まったということだ。
フレンチブルーミーティングでさえフランス車以外が16%程度であったことを考えると、これはルノーのお祭りを羨ましく思っている他車オーナーがかなりいるということの表れともいえる。
ルノーがこうしたリアルイベントを根気よく開催してオーナーとの繋がりを深め、それをマーケティングに活かしていることは十分感じられたが、オーナー側も単にメーカー主催のイベントを見に行くのではなく、その機会を使って交流を深めることに意義を見出しているということなのだろう。
まさしく継続が好循環を生んだ結果と言えるだろう。
そりゃVWも真似するわけだ。
同じメーカーや車種に乗るオーナーが集まる機会として、車種ごと小規模なオーナーズクラブや、フランス車を対象としたイベントである「フレンチブルーミーティング」や「フレンチ-フレンチ」といったものが知られているが、これらはあくまでオーナー主体のイベントになっている。
それに対してメーカー主催のイベントというのは、オーナー主体では難しい体験を提供することが可能だ。
サーキットでの体験試乗会や新型車の展示といった部分は、メーカーならではの価値提供と言えるだろう。
もちろん単なる新車の販売促進イベントでは人は集まらないわけで、既存オーナーに対してもフレンドリーな機会を提供することで、オーナープレミアムとブランドに対する忠誠心を高めることができる。
こうしたことを年間販売台数が3000台程度のルノーが実施できて、その倍以上の販売台数を誇っているプジョーができないのはどうしてなのか?というのが当BLOGで繰り返し指摘してきたことだ。
クルマはライフスタイルの一部であり、単にクルマという商品の購入で完結する話ではない。
その商品によってライフスタイルがより豊かになることを期待しているわけだ。
ドイツ車に対して性能面では劣るフランス車に価値を見出すならば、単に性能を追求するのではなくそのクルマ(もしくはブランド)によって得られるさまざまな体験こそが価値となりえる。
オーナー向けのイベントでの楽しい体験や、モータースポーツなどでの活躍によるブランドに対する高揚感は、そうしたライフスタイルをより豊かなものにしてくれる。
「クルマというハード面」ではなく「体験というソフト面」においても、勝負はできるということだ。
つまり、やり方によっては商品力の足りない部分を補ってビジネスを成功させることができるという見事な事例を、ルノージャポンは実践していると言える。
もちろん販管コスト面では負担にしかならないが、それでも販売台数は上昇傾向にあるという実績において、関係者は手ごたえを感じているのではないだろうか。
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