ジュネーブショー開幕のお約束。
意外といえば意外。
良くやったと言えば良くやった。
昨今のPSAの苦境に対する同情票によるブーストの影がチラつくとはいえ、最終ノミネートが、
●BMW・i3
●シトロエン・C4ピカソ
●マツダ3(日本名:アクセラ)
●メルセデスベンツ・Sクラス
●プジョー308
●シュコダ・オクタビア
●テスラ・モデルS
ということで、ゴルフVIIは昨年の欧州COTYを受賞しており今年はある意味華のない賞レースではありましたが、プジョーの新型308がめでたく欧州COTYを受賞するに至りました。
これは2002年に307が受賞して以来の快挙であります。
Car of the Year 2014
http://www.caroftheyear.org/winner/Peugeot/308/2014_84/coty
第1位:プジョー308…307点
第2位:BMW・i3…223点
第3位:テスラ・モデルS…216点
第4位:シトロエン・C4ピカソ…182点
第5位:マツダ3(日本名:アクセラ)…180点
第6位:シュコダ・オクタビア…172点
第7位:メルセデスベンツ・Sクラス…170点
▲各国選考員の投票内容(クリックで拡大)
BMWのi3に関しては、BMWならではのEVの提案という画期性はありますが、インフラ構築も含めてEVそのものに対する評価が割れてきている昨今の状況において、その説得力をイマイチ活かせておりません。
また、上記に示した通り各国の選考員による得票が、極端に評価する人とまったく評価しない人が入り交じり、EVに対するかなりの拒否反応を見せていることも特徴的と言えるでしょう。
ちなみに、2011年には日産Leafが、2012年にはレンジエクステンダーのオペル・アンペラ/シボレー・ボルトが大賞を獲得しており、こうした技術的に革新的な車種が評価される土壌は一応ありながら、欧州初となるBMWのEVの評価が思ったほど伸びなかったのはちょっと意外な気もします。
“新規性”という部分でアピールできなかったということかもしれませんね。
シトロエンC4ピカソは、EMP2プラットフォームによる新規性を打ち出してはいますが、ミニバンがこの手の大賞を受賞するのが難しいのは日本に限らず世界的な傾向です。
マツダ3については、クルマそのものは良くできていますが、欧州という完全にアウェイの地においてライバルに対する突出した魅力をまだまだ見い出せておりません。
それは、際立った高得点を付ける選考員がほとんどいないという点から見ても見て取れます。
“まったく評価できないわけではないので数ポイントは与えるけど、それ以上のものではない。”
これが現在のマツダという会社とマツダ3に対する評価という事です。
今回のモデルでしっかりと販売実績を積み上げ、勝負するとしたらその次の世代ということになるでしょう。
メルセデスのSクラスは、安全性、革新性など高級車としての新たな提案要素は見事に揃っており、今回のノミネートの中では一番得点を得やすいものと思っておりましたが、蓋を開けてみると最下位でした。
ドイツの選考員が一名だけ満点を付けた以外はほぼ低調という得票結果は、欧州における高級車のトレンド(この場合立ち位置)が変化してきていることの表れなのかもしれません。
シュコダのオクタビアは、実車を見たことないので何とも言えませんが、欧州におけるバジェットカーというポジションから品質改良を重ねて、今では安いけど実用車としてはじゅうぶん評価できるレベルまで信頼性を高めたブランドとして有名です。
コストパフォーマンスが評価のベースになるわけですが、各国から少しずつ得票を重ねたということでしょうかね。
なかなかこういうメーカーの車種が大賞を取ることは難しいので、良くも悪くも結果としてはこんなところなのでしょう。
テスラモデルSについては、BMW i3に次ぐ3位となりましたが、EVという環境性能を前面に押し出した車種ではあってもスポーティな走りを犠牲にしないというその独特の立ち位置が評価されたといっていいでしょう。
ただし、BMW i3と票を食い合った感もあります。
これがどちらか1モデルだけだったら、大賞を獲っていたかもしれません。
一時期は経営的な先行きが不安視されたテスラですが、ようやく独り立ちできるぐらいには大きくなりましたね。
そんなわけで、最後になりますが新型プジョー308です。
EMP2プラットフォームと、デザインの全面刷新によって旧型308より居住性と積載性をアップ、さらに軽量化とパワートレインの刷新で最新の環境性能を手に入れ生まれ変わりました。
iCockpitと名付けられた、極端に物理スイッチの少ないセンターパネルなど、デザインも208からさらに踏み込んで魅力的になっており、
“スタイリッシュ”、“高品質”、“野心的”
な部分が評価のポイントになっているようです。
カーゴスペースの拡大(308swでは特に)の部分が評価されている点は、従来のトリッキーなデザインを捨て、実用ハッチバック&ワゴンに徹したことが好評価につながっていることを示唆しています。
このあたり、2002年に受賞した307が提案した、少し背の高い効率的なパッケージングへの原点回帰とも言えます。
パワートレインについても、208から採用された3気筒1.2LEBエンジンをターボ化してE-THPとしてリリース、ディーゼルと合わせて評価を得ています。
また、見逃せないポイントとして、欧州のDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)のトレンドに反し、アイシンから供給を受けるトルコン式新型自動変速機に関する期待も寄せられています。
選考員の得票を見てみると、スペインの変わり者一名以外は満点を付ける者はいないけど、20名が自身持ち点の中から最高ポイントを新型308に与えています。
それに加えて「0点=まったく評価しない」という選考員がいない事からもわかるとおり、
“際立って秀でているわけではないが、それなりに評価できるクルマ”
というのが全体の総意と見ていいでしょう。
少し高品質な実用車としてのバランスの良さが評価されたと言ってもいいと思われます。
その意味で、プジョーが今後狙おうとしている路線にある種のお墨付きをもらったようなものでもあり、プジョーにとっては喜ぶべき結果ではないでしょうか。
308swも含めて、はやく日本に導入してもらいたい、楽しみな車種であります。
ハッチバックは今年の10月頃に国内販売開始予定。
この記事へのコメント
ぽん
308、正直無理だろーな、と思っていたので今朝Twitterで受賞を知り驚きました。
年末に現地で実車を一度だけ見かけました。
写真で見るよりコンパクトに見えます。
日本導入が楽しみですね。
導入して一年くらいしたら、ピカソと比べてどちらかを買おうかなと考えてるとこです。
エディ
もっとも、ゴルフがいない中での受賞は「朝青龍がいない時の白鵬」という感じもありますが笑
バランスよく評価を受けてるのはいいですね。
しかし508から始まった新世代デザインでプジョーは一気に洗練された感があります。
Mr.T