無重力の撮影方法


特撮からCG全盛の時代になって、表現出来ない世界は無いと思わせるようになった昨今の映画。
そんな映画の撮影技術についてはあまり詳しくはないのだが、それでもCGがどの程度までリアルに描写できるか、ぐらいはなんとなく想像がついていた。

ただ唯一、無重力状態での撮影に関して、どのようにやっているのかがわからなかった。

まさか本当に宇宙まで行って撮影するわけにもいかないし…

地球上で無重力状態を再現するには、専用の航空機で高高度から自由落下させる方法などもあるが、それだって連続して数十分も持たないから、実際に撮影するとなると時間もコストも膨大なものになってしまう。
(驚いた事に『アポロ13』は本当にこのやり方で撮影したらしい。)

特撮の時代ではワイヤーで釣ってそれを後から処理で消す方法や、コマ撮りする方法などがあったりもするが、どうしても自然な感じを出すのが難しかった。

フルCGであればそのあたりの制約はなくなったも同然だが、俳優を使った演技において最新の撮影技術でどこまでできるようになったのか?

その疑問の答えとして、『ゼロ・グラビティ』のメイキングで最新の撮影方法についての解説がされていたのでご紹介。

結論から言えば、ワイヤーアクションの進化版といった感じだ。
サンドラ姐さんがステーション内を薄着で移動するシーンなど、身体を支える補助具をゴテゴテと付け難いシーンでも、細いワイヤーを何ヶ所も身体に取り付けることで、スムーズに無重力状態を再現している。
それでも重力のある環境でワイヤーの補助がありながらも無重力感のある演技ができるサンドラ姐さんはスゲーっていうのはもちろんあるわけだが。

つい先日、マトリックスのメイキング映画『The Matrix Revisited』をたまたま見たばかりだったので、ワイヤーアクションひとつを取ってみても映画撮影技術の進化に驚かされるばかりだ。

宇宙服を着たシーンでは、激しく動く機械に身体を固定してグイングインと振り回すなど、割とアトラクション的な撮影方法をしているところが微笑ましいが、それと同じくアームに固定されて自由自在に動けるカメラを連動させる事でさらに激しい絵作りが可能になっている。

こうして撮影した素材を、さらにCGの合成処理をすることであの無重力感を出しているんだということがわかって、非常に興味深いメイキング映像だ。
 
驚きの映像表現という話題性はさすがに落ち着いたが、それでもこの映像技術はあくまで宇宙飛行士のサバイバルと心理的な葛藤を描くための演出に過ぎない。
人間ドラマとしての『ゼロ・グラビティ』も十分魅力的なので、ぼちぼち映画館の上映が終了しているので今のうちに映画館で観ておく事をオススメする次第也。
 

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