マツダが誇張したグラフの件で謝罪してた

 
マツダから妙なプレスリリースが出た。

お詫びと訂正
http://www.mazda.co.jp/philosophy/tech/env/info/20140207.html

このたび、弊社広報資料において一部誤解を招く可能性のあるグラフが存在することが判明いたしました。
エンジン性能に関する数値そのものに誤りはございませんが、グラフをご覧になった方が、トルク特性について誤った印象をお持ちになる可能性があるため、お詫びを申し上げますとともに、ここに訂正させていただきます。

今後は、皆様の誤解や混乱を招くことのないよう再発防止とチェック体制強化に務めてまいります。

【内容】
SKYACTIV-D 2.2およびSKYACTIV-G 2.0エンジン性能曲線グラフの横軸(エンジン回転数)が不等間隔になっている。
(略)

【原因】
より詳しい値を得るために不等間隔で計測したエンジン性能データをグラフ化する際に、散布図で描画すべきところ、折れ線グラフとして描画したため、横軸に計測データの数値がそのまま表示されることになり、結果として、横軸が不等間隔となったものです。
調査の結果、グラフ内の数値に誤りはなく、グラフ作成上のミスであることが判明しました。

【対応】
対象のグラフを、以下のグラフに差し替えます。


なんだこれは?
ということで問題のグラフを見てみると、こういうことらしい。

zwwUZ2L.jpg
▲問題のグラフ

SKY-D_renew_graph.jpg
▲修正後のグラフ


あーあ、やっちゃったねw

事の発端はこのトルク曲線について割と早い時期におかしいと指摘した人がいたこと。

SKYACTIV-Dの性能曲線をExcelで描き直してみた。
http://minkara.carview.co.jp/en/userid/325353/blog/28514636/

これを元に2ちゃんねるでアンチマツダの輩が騒いだことで、騒ぎが大きくなってバレちゃったということらしい。

元データの数値そのものに間違いは無いのだが、グラフの大前提となる軸の間隔を都合よく編集することにより、SKYACTIV-Dがフラットトルクであるかのようなイメージを与えるグラフになっている。

せっかく素性のいいSKYACTIV-Dなのに、こういうところでケチがつくというのはブランディングとして非常によろしくない。

なんでこんなことをやらかしたんだろう?
おそらくマーケティング側の意向として、SKYACTIV-Dの素晴らしさをとにかくアピールしたかったという都合が透けて見える。
この資料が2012年2月というCX-5の立ち上げ段階において使われていたことからもその意図が明白だ。

マツダにしてみれば、ネイティブSKYACTIVの第一弾としてのCX-5、そしてクリーンディーゼルとして絶対に失敗できないSKYACTIV-Dにおいて、とにかくアピールポイントを沢山提供することで評価を高めたいという、ある種の焦りがあったことも伺える。

今でこそ十分な評価を得るに至ったSKYACTIV-Dだが、最初は誰でも怖いものだ。
そこで嘘とまではいかなくても、誇張だったらいいだろうという誘惑に負けてしまったのだろう。

この手の広報資料というのは、いかに自社商品が魅力的であるかということをアピールするために作成されるものなので、多かれ少なかれどこかに誇張が含まれているものだ。

都合の悪い部分にわざわざ言及する必要はなく、とにかくポジティブに良いところだけをアピールする。

だからこそ報じる側はその資料に含まれた意図を理解し、言及されていない部分を読み解く能力が求められるわけだが、昨今の自動車ジャーナリズムにおいてはリリースの内容をそのまま要約して記事を仕上げるみたいなことが慣例化しているので、こうしたことを見抜くことが出来なくなっているようにも思われる。

とはいっても、こんなインチキみたいなことをするとは思わない、ある意味性善説が成り立っていたからかもしれないが。

しかし、リリースを出す側がこうした姑息なインチキをやらかすと、性善説による信頼関係が崩れ、今後はいろいろと疑いの目で見られてしまうことになり、結果として損じゃねーの?とか思う次第。

とにかく、こんな恥ずかしいリリースを出すぐらいだったら、商品の魅力を高めるためにあらゆるリソースを振り向けてほしい。
特に、広報資料においては数字やデータをいじらずとも説明の仕方次第で欠点を長所にすることさえできるのだから。

マツダ程度の会社が信頼という言葉を失ったら、後は何も残らない。
SKYACTIVの展開が一段落して、今後さらなる飛躍のために、今回の件を戒めとして商品の魅力をどのように伝えるのかという原点から考え直してほしい。


まぁそれにしても。
世界にその名を轟かせるキング・オブ・デタラメことソフトバンクの孫正義が披露するインチキグラフに比べれば、この程度の誇張なんてかわいいものなんだがw

kiji20121008b.png



この記事へのコメント

  • しの。

    技術系の刊行物には普通の線図を載せてたのに、今更「グラフの作り方間違えちゃった、テヘ」って言われても・・・ですよね(^^;
    それにしても、モータを動力原とする車がこれだけ普及したにも関わらず、未だにフラットトルク志向が根強い事には驚かされてしまいます。。。
    2014年02月13日 22:10
  • 海鮮丼太郎

    >しの。さん

    こういうことをやる人間(おそらくマーケティング部門)を排除しないと、マツダがまた変な方向に行きかねないのでけっこう深刻だと思います。

    フラットトルク志向っていうのは、いわゆるスペヲタ界隈にまだ残ってる民俗信仰のようなものですが、その辺にも色目を使いたかったんでしょうね。

    ちなみにこのエントリーを、マツダの中の人がものすげー人数見に来てるんですよw

    やっぱり気になってるみたいですね。
    そんな気になるんだったらやらなきゃ良かったのに、と心底思います。

    2014年02月14日 01:09

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