iPhoneで正確なライフログを記録するには?

 
iPhone5sには新しくM7コプロセッサが搭載され、少ない消費電力で加速度センサーやGPSを機能させることができることが売りのひとつになっている。

その機能の恩恵を受けるのはいわゆるライフログと呼ばれるもので、特に歩数計や移動距離といったウェルネス方面での活用に期待が集まっている。

実際、おいらもリハビリの散歩においてこれらの機能を使って距離や歩数をカウントしているのだが、どうも実態に則した結果が出ていないような気がした。

従来は単純にフィーチャーフォンに付いている歩数計に設定しておいた歩幅を掛けることで移動距離を算出していたが、距離はともかく歩数計についてはかなり正確な印象を受けている。

それに対して加速度センサーとGPSを組み合わせたiPhone5sでは、果たしてどこまで正確に計測することができるんだろうか?

iPhone5sのM7コプロセッサに対応したライフログアプリとして、ARGUSを推す記事があったことから試しに入れてみたものの、どうも歩数が実際より多く記録される傾向があるように思われた。

Argus_ICON.jpg

そんなことをtwitterでつぶやいたら、同じようなアプリで「MOVESがいい」という意見があったので、こちらもインストールして同じ条件で試してみることにした。

Moves_ICON.jpg
Moves - ProtoGeo


ARGUSとMOVESはアプリの性格が異なるので、どちらがいいかは何をやりたいかにもよるが、まずは正確に歩数と距離を測定できるかどうかを見てみることにする。

今回試したのは以下のとおり。

【仕様機材】
 ・SH-11C(ケータイ)…加速度センサーによる歩数計
 ・iPhone5s…加速度センサーによる歩数計、GPSによる移動距離計測
  使用アプリは『ARGUS』、『MOVES』

2つのライフログアプリはそれぞれ省電力バックグラウンドで計測するモードにしてスタート。

1万歩程度の散歩コースを3時間で歩いてみたが、まずはその正確なルートをGoogleMapのルート機能を使って引いてみた。

route20131210.jpg

距離は9.8kmとなった。

実際にはこれに加えてランチと雨宿りで2回ほど利用したサブウェイ店内および買い物で立ち寄ったスーパー内をウロウロしているので500mぐらいがプラスされており、歩行距離は10.3kmがほぼ正確な値と言える。

それに対して3つの環境の計測結果は下記のとおりだった。

 計測機器 走行歩数 歩行距離
 SH-11C 13,926歩 9,327m
 ARGUS 14,745歩 10.5km
 MOVES 13,075歩 10.7km


従来型ケータイのSH-11CはGPSで距離を計測する機能は付いていないので、歩幅を67cmと登録して歩数x歩幅で擬似的に距離を出しているため正確性はかなり低い。
※一般的な歩幅の計算式は「身長x0.45」となり当方の場合は78cmなのだが、リハビリ中で元気に歩けないため低い値に設定している。そのかわり歩数計機能についてはかなり正確で、これをいつもベンチマークにしている。
それに対してiPhone5sの2つのアプリでは結果が分かれている。

どちらもiPhone5sに内蔵されている加速度センサーとGPSから読み取った数値を反映させている筈であり、歩数も移動距離も同じ結果が出てくるものと想像していた。

しかし実際のところは、ベンチマークであるSH-11Cに比べてARGUSはやはり感じていたとおり歩数が多く出ており、MOVESはむしろ少なく出ている。

その割に移動距離については両者の間には200mの差しかなく、GoogleMapで導き出した10.3kmという値に一番近いのはARGUSということになる。
(歩数は一番多いはずなのに距離は正解に近いというのは何だか変な感じだ)


2つのアプリはiPhone5s内蔵のセンサーの計測結果を参照しているわけだが、その解析方法によって歩数も移動距離も異なる結果を出すことがわかった。

1.4万歩ほど歩いて誤差がそれぞれ±800歩程度というのは、誤差にしてみれば6%程度だ。
それに対して移動距離についてはARGUSが2%、MOVESは4%程度となる。

800歩程度といえば距離にすると500m以上になる。
それなのに歩数の誤差より移動距離の誤差が少ないのは、それぞれのアプリでGPSの移動ルートを加味して計算しているものと思われる。


本格的なスポーツマネジメントをしたいわけではなく、「いつ」「どこを」「どれぐらい」歩いたか、というライフログを簡単かつスマフォのバッテリーに負荷を掛けずに記録したいというのが本来の目的なので、この程度の誤差は許容範囲と考えていいだろう。


しかし、移動ルートのログについてはARGUSもMOVESもあまり褒められたものではない。

ARGUS_gpsmap.PNG
▲ARGUSの記録

MOVES_gpsmap.PNG
▲MOVESの記録


寄り道をせずに道をまっすぐ歩いたにも関わらず、ARGUSの場合は酩酊状態のようにフラフラ歩いたことになっており、MOVESに至ってはマップマッチング補正をまってくやっていないようで、道の無いところを移動したような大雑把なものになっている。

これはiPhone5sがきちんと移動ログを取れていない可能性が高いが、今後のバージョンアップでマップマッチング補正をより正確に行えば、より実際に近い移動ルートのログが出せるようになるのではないかと思われる。

なお、今回は2つのアプリをバックグラウンドで動作させて3時間強の散歩から帰ってきた際のiPhone5sのバッテリー残量は76%だった。
(上記のスクリーンショットは帰宅後にあれこれ作業した後に撮ったものなのでさらに減っている)

省電力が売りのM7コプロセッサではあるものの、3時間強で24%も減るというのは若干期待はずれの感がある。
加速度センサーしか使用していないが、従来型ケータイであるSH-11Cのバッテリーは3%しか減少していないことを考えると、スマートフォンがどれだけ激しくバッテリーを消耗するかというのを改めて思い知らされる。

ARGUSが比較的多くバッテリーを消費する傾向があるようなので、今後はどちらか1つのアプリに絞って試すなど、もう少し検証を続けてみようと思うが、個人的にスマートフォンに全面移行できない2大理由である「バッテリーを消費せず」「きちんと歩数をカウントする」という機能の実現までは、もう少し時間が掛かる感じだ。

しかし、MOVESには記録したログを簡単にEvernoteに記録できる補助アプリが出ていたり、ARGUSも他のアプリと連携してさまざまなログの活用ができそうなので、時代は確実に便利な方向に向かっていることは間違いない。

あとはどれだけ使いこなせるか、という話になってくるのだろう。
バッテリー問題だけなんとかなれば、かなりの部分は許容範囲なんだけどなぁ…
 
 
 

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