キーボード・マガジンが小室哲哉の記事を再編集して電子書籍化

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ある意味、電子書籍のキラーコンテンツがキタ――(゚∀゚)――!!

音楽専門誌『キーボード・マガジン』が30年にわたりその音楽性を追い続けた
小室哲哉のインタビュー記事が「電子書籍」全4巻となって配信決定!


音楽にもテクノロジーの導入が進んだ80年代。
特にMIDI規格によるシンセサイザーやサンプラーの普及で飛躍的に表現の幅が広がった中で、それらをわかりやすいパフォーマンスで演じて見せたのは小室哲哉率いるTM NETWORKだった。
(MIDIを高度に使いこなしたミュージシャンは他にたくさんいるが、小室哲哉は“わかりやすく演じた”ところに意味があるといえる)

楽曲に散りばめられた小賢しいシーケンスフレーズ、脅かしのサンプリング、お約束の転調。

小室楽曲に関する分析は多方面でされているので深くは触れないが、特に初期~中期のライブにおいて大量の機材をステージにセッティングし、コンピュータ制御しながらのパフォーマンスは、当時のDTM(Desk Top Music)小僧からデジタルロックを志向する同業アーチストたちまで広く影響を与えた。
(キース・エマーソンを始めとしたプログレミュージシャンの影響が色濃かったわけだが、それでも日本のミュージシャンとしては傑出した演出力を持っていた)

すると当然、

小室哲哉が何を考えているのか?
次にどんな楽曲をリリースしてくるのか?
今度はどのシンセサイザーを使うのか?
あのステージセットはどうやって動いているのか?

そんな一挙手一投足に関心が集まることになった。

アイドル的な人気の裏で、熱心なヲタ的な男性ファンも多かったというのがTM NETWORKの特徴だったとも言える。

音楽雑誌のミュージシャンに対するインタビューは、楽曲の内容や制作のコンセプトといった、完成物に対する内容が多い。
それに対して、キーボード・マガジンは文字通りキーボード(というかシンセサイザーを中心とした電子楽器全般)の専門誌ということもあり、インタビュー内容は必然的にどのように制作されたか?という制作過程の話が多くなる。

奇しくも、電子楽器の進化によりドラムやベース、管楽器や歌といった従来だったらプレイヤーが生演奏していたパートも電子楽器が受け持つことが多くなり、必然的に音楽制作に関する最新の情報がキーボード・マガジンに集約されていくことになった。
キーボード・マガジンは、単なるキーボードの演奏者の紹介から、楽曲全体の制作プロデュースする人材まで扱う幅が広がったことになったわけだ。

そして小室哲哉は、キーボーディスト&プロデューサーとしての最適なポジションだった。

必然的にキーボード・マガジンは小室哲哉を取り上げる機会が増え、実際その記事は好評だった。

重要なのが、本人へのインタビュー以外に、ライター陣がアルバムの発売に合わせてその内容を細かく分析してスコアを掲載したり、ライブツアーが行われた際にステージセットの構成やコンピュータ制御の裏側などをレポートしたりしたことも、現場を記録する貴重なアーカイブとしての機能を果たすことになった。

そんなこともあり、キーボード・マガジンが小室哲哉を追い続けた30年の記録は、電子楽器およびその時代の音楽の在り方がアーカイブとしてずっと眠っているわけだ。


電子書籍の時代となり、当然のように出てくる要望は過去の雑誌の電子化だ。
単に昔を懐かしむという目的もあるが、上記のように時代を記録した貴重なアーカイブとして、雑誌の果たした役割は非常に大きい。

誰もが欲しいと思っている。
実際、出せばそれなりに売れる。

こんなことがわかっていながらも、過去の雑誌が電子書籍としてリリースされることは意外と少ない。

理由は、関わっている人の権利処理ができないとか、電子化するにあたっての再編集の必要性(製作コスト)の問題とかいろいろあるわけだが、今回リットーミュージックがこんなストレートな商品を出してくるというのは、ある意味エポックメイキングなことだ。

雑誌の性格上、そのまま復刻しただけでは関わった人が多すぎて権利処理に膨大な手間が掛かるが、小室哲哉にターゲットを絞り、それを再編集するのであれば、小室哲哉自身とその関連した記事を書いたライターなど限られた権利処理で済む分、コストも算出しやすい。

こういったチャレンジに関しては、消費者としても購入することで最大限の応援を送りたいものだ。
この切り口でいろんな雑誌が宝の山をちゃんとビジネスにできるようになることを望むもの也。


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