骨子は以下の通り。
■数値目標
世界販売 130万台 ⇒ 160万台
営業利益 1580億 ⇒ 2000億以上
営業利益率 4.7% ⇒ 6.0%
■販売強化
欧米市場に加え、中国で30万台達成
4年間にデミオなど3車種のフルモデルチェンジ
■生産強化
07年内に国内生産能力を約100万台に増強
07年内に中国南京工場で生産開始
タイでの生産開始
■技術開発
10年代初頭に燃費20%改善のガソリンエンジン投入
10年代初頭に水素+電気モーターのハイブリッド投入
国内生産のうち77%が輸出向けということもあり、国内市場は軽視されることになる。
これがどういうことを表すのかというと、具体的な事例のヒントになるのが、ジュネーブショーに出品されたMAZDA2(新型デミオ)のフォルムだ。
全長3885mm、全幅1695mm、全高1475mmと、先代より40mm短く、55mm低くなっている。
90年代のマツダの危機を救った名車である初代デミオは、その成り立ちと賞賛を込めて
『死にそうなマツダが死ぬ気で作ったクルマ』
と評された。
▲初代デミオ
旧車のプラットフォームを用いたコンパクトカーながら、シートアレンジやサスペンションの工夫で、”小さく見えて大きく乗れる”のキャッチコピーそのまんまに、見事な積載性を確保したコンパクトワゴンとして成功を収めた。
そのキープコンセプトとして、ZoomZoomの走りのイメージを付加した二代目は、初代ほどのヒットにはならなかったがそれでも日本に適した、完成度の高いクルマとしてマツダを支えてきた。
▲二代目デミオ
それに対して三代目デミオは、初代の使い勝手のいいコンパクトワゴンとしての性格から、プジョー207やトヨタ ヴィッツあたりと同じスポーティHBとしてガラっとコンセプトを変えてきた。
確かに、マツダのイメージとしてZoomZoomに代表されるスポーティ路線が支持されているのは確かだが、これをデミオというのはちょっと違うんじゃないかと。
全高を下げるのはスポーティな演出には欠かせないが、それによって三代目デミオはコンパクトワゴンから単なるハッチバックへと変容してしまった。
背が高いという要素は意外と女性ウケするものだが、新型デミオのデザインを女性がどう見るのか?
次世代ベリーサが現在のデミオのコンセプトを引き継ぐなんて話もあるが、元々ベリーサは数を稼ぐようなクルマではない。
そうすると、最量販車種であるにも関わらず、客を選ぶようなことになりはしないか。
個人的にはいいデザインだとは思うが、これをデミオと呼ぶのは正直違和感を感じずにはいられない。
また、発表こそされていないものの、次期アテンザに関しても、現行からさらに拡幅されて1800mmを超えた堂々としたミドルクラスの車種になることが確定している。
この時点で、マツダは国内市場をある意味見切ったと言えるだろう。
ファミリア後継のアクセラが全幅1700mmオーバーの3ナンバーになってしまい非難を浴びたが、車種の魅力でその批判をなんとか抑えることができた。
しかし、日本の駐車場インフラにおいて全幅1800mmオーバーというのは、確実に立体駐車場ユーザー(=マンション住まいが多い)を切り捨てることを意味する。
欧州のトレンドが1800mmオーバーということで、それに対抗するためというのは戦略上は理解できる。
海外比率77%というのは、そういう海外優先のクルマ造りをするということでもあるわけだ。
現在のマツダの体力では、国内専用にに別途車種を開発するという余力は無いだろう。
その一方で確実に欧州基準の大型化した車種が増えていくことになる。
今も昔もマツダの海外依存度は高かったが、日本の交通インフラでは許容しきれない車種が増えるというのは、中期計画の目標に少なからず影響を与えそうな気がしてならない。
まぁ、軽自動車をスズキからOEM供給してもらっているので、本当にコンパクトカーを売らなければならないのならば軽自動車を売ればいいのだが、そこまで割り切られてしまうのも非常に寂しい気になる。
好きな人が選ぶクルマというポジションを突き詰めると、スバルの二の舞になってしまう懸念もある。
RX-8のような変態クルマがあっても一向に構わない。
しかし、そうした趣味性の高いクルマと併せて、各セグメントに適した車種の配置を。
5ナンバー枠で荷物が積めてスタイリッシュなコンパクトカー
現行アクセラのサイズを超えないスポーティカー
全幅1800mmを超えないミドルサイズのセダン&ミニバン
基本中の基本だが、こうした車種を用意しないと、国内の需要を再び日産や三菱に持ってかれる懸念もあることをお忘れなく。
基本的な方向性はブレておらず、最も期待をしているマツダだからこそ、あえて気になる点を指摘してみた。
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