ジェネリックパーツでメンテナンス費用を抑えよう

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クルマのメンテナンスでは消耗した部分の交換を行う際、どんな部品に交換するかはユーザーの自由であるわけで、メーカーが定めた純正品に交換することで同一の性能を維持し続けるか、より高い性能を発揮するために高価な社外品のパーツと交換するといったチューニング的発想など、いろんな選択肢が存在する。

一方、クルマの保有年数が伸びてくるとあちこち消耗部品の交換が発生するが、相対的にクルマへの愛着は減退傾向にあるため、できるだけコストを抑えたいというニーズが増えてくる。

それゆえに、オイル交換やバッテリーなどに顕著に見られる例だが、最初はディーラーできちんと純正品で交換していたものを、純正品は値段が高いという理由で町工場やカー用品店で社外品で安く済ませたりするようになる。

残念ながら、これは紛れもない事実だ。
おいらもエンジンオイル、タイヤ、バッテリーに関してはメーカーの推奨するブランドではなく安い社外品を使っている。
(エンジンオイルは好みの銘柄があるのでそれを使っているわけだが、プジョー推奨のTOTALよりは安い)


そんなわけで、保有年数が増えるとディーラー離れが進む傾向があるのを何とかしたい、というのはディーラーの永遠の悩みだったりする。

新車に乗り換えるサイクルが伸び、新車販売よりも定期的なメンテナンス入庫で利益を上げなければならない構造になっているディーラーとしては、途中で客が逃げるのは死活問題だからだ。

その対策として最近増えているのが、「メンテナンスパック」という形で予め3~5年分の基本整備料金を低額で提供するというサービスだ。
新車の商談の際に値引きの代わりにメンテナンスパックを付けるとか、途中で加入を促すキャンペーンをやったりとかアピールの仕方はいろいろだが、顧客をディーラーに繋ぎ止めておく方法として、このメンテナンスパックの戦略はとりあえず成果を上げている。


さて。
話はおもいっきり変わる。

“ジェネリック(Generic)”
という言葉がある。
最近では特許の切れた医薬品を他の会社が同じ成分で開発した後発医薬品を指す言葉として一般の認知が広がっている。
開発費や特許料などが掛からず、安く生産することができることから、同じ効果であれば安い方がいいといったニーズに応える意味もあるわけだ。
(ただし、元の薬品と100%同一ではないため、リスクが伴うという見方もある)

一方、PC/AT互換機のように標準仕様に則って各メーカーが部品を製造し、それらを組み合わせたPCはジェネリックな製品ということもできる。

今回の話は、どちらかと言えば後者に例えられる。


ってことで、プジョーさんが珍しいキャンペーンを始めた。

ジェネリックパーツ導入キャンペーン

冒頭の例えで書いたように、純正部品は高い。
高いから社外品で安く済ませようと考える。
ディーラーでは安い社外品を(基本的には)推奨していない。
だったら町工場やカー用品店に行く。
ディーラー離れが進む。


プジョーとしてもメンテナンスの客を逃したくない事情は変わらないので、冒頭のメンテナンスパックの例と同様に、この構造を変えるために今回のキャンペーンが企画されたのだろう。

【ジェネリックパーツとは】
メーカーが安全性を含め検証テストを実施し、純正部品と同等の品質であることを確認したパーツです。初年度登録から5年以上経過したプジョー車をご愛用いただいているお客様へ「価値あるサービスの提供」として廉価に導入し、プジョーネットワークにて販売いたします。

純正以外の部品を取り付けたことが原因で故障したり、本来の性能が発揮できないことで「プジョー車は故障が多い」とか「性能がイマイチ」とか言われても、プジョーとしてはたまったものではない。

安い部品に交換するなら、せめてジェネリックパーツを使って欲しい。そんな思いもあるだろう。

キャンペーンの内容は以下の通り。

■対象
 ・206全シリーズ
 ・307シリーズ(前期型のみ)

■パッケージ内容
 ・ワイパーブレード(左・右)
 ・ブレーキパッド(フロント)
 ・ブレーキディスク(フロント)


■価格(工賃除く)
 ・206・・・18,375円
(税別:17,500円)
 ・307・・・22,050円(税別:21,000円)

対象車種は307に関してはフェイスリフト前の前期型のみとなっている点に注意。なぜ後期型が対象でないのかは不明。
また、パッケージ内容においてブレーキ部品はフロントのみで、リアのブレーキパッド&ディスクは対象外という点にも注意。
理由は不明だが、ブレーキはフロントの方が早く劣化が進むということもあり、ニーズのある方を優先したということなのかもしれない。

ディーラーに確認をしたところ、ブレーキディスク&パッドの工賃は作業約1時間で10,000円程度とのことだった。

車種によってこの辺は若干変化する可能性あり。

つまり、206だと30,000円程度、307だと32,000円程度での交換ということになる。

で、このキャンペーンは整備の現場にどれだけ情報が降りてきているのか聞いてみた。
まず、今回のキャンペーンで使われるジェネリックパーツの特徴は・・・

 ・PSAが純正品と同等と正式に承認した部分である
 ・部品にメーカー刻印が入っていない
 ・どのサプライヤーが製造したかは明らかではない
 ・このパーツと交換することは、純正品の交換に準じた整備とみなす

といったところだ。

肝心の純正品との価格差については、概算でジェネリック3点セットは純正品に比べて30%ほど安くなっているとのことだ。
また重要な注意点として、PSAが正式に承認した部品ではあるが、必ずしも純正品と同じ性能を有しているとは限らないため、たとえばブレーキのタッチが変わるようなことも起こりえる、とのことだった。

なんでもメーカー自らこういったキャンペーンをやるのが初めてであり、今のところこのキャンペーンの利用者はおらず、現場としてもわからないことだらけだそうだ。


とはいえ、多少注意すべき点があるとはいえ、純正品の交換に準じた整備となることによる安心感は確かにあるだろう。

純正品として採用されることの多いボッシュの製品を安く売ってる店(Thank's to 2ch) と比較すると、今回のジェネリックパーツの価格は若干高い。

307sw(3EHRFN)の場合
フロントブレーキパッド(0986424659)・・・ 6,910円
フロントディスクローター(0986478979)・・・ 8,090円
トップピッツプラス(3397118204)・・・ 5,380円

Total:20,380円

しかし、通販で部品を買って持ち込みで取り付けしてくれる関係を築いた整備工場があれば別だが、ディーラーお任せで安く上げたいということであれば、今回のジェネリックパーツのキャンペーンは安心感と手間が掛からないという点で十分メリットがあるものと考えられる。


10年6.5万kmに達した我が家の307swは、制動の際エンジンブレーキを多用するためブレーキパッドがあまり減らないということもあって、昨年4回目の車検を通した際にもパッドの残量はフロント5mm、リア7mmといった状況だった。

頃合いとしてはもうちょっと粘ってもいいような気がするが、ちょうど6月に1年点検の時期に当たるので、ネタついでに利用してみようか?とちょっと考え中。
 
すでに407世代や207世代も5年以上保有しているケースが増えてきた状況にあって、対象が206と前期型307だけのキャンペーンというのはちょっと寂しい気はするが、国産車に対して維持費が高い輸入車で、メーカー自らこうしたキャンペーンを打ち出してくる姿勢は積極的に評価していいんじゃないかと思う次第。
 
 

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