昨今の騒動に対するTBSラジオの公式コメント

 
 今日の「久米宏 ラジオなんですけど」において、昨今騒動になっているラジオのこれからについて、TBSラジオ公式のコメントというのが発表された。
TBSラジオは今後、AMラジオの難聴者対策として、FM波の利用、活用を検討していくこととした。
しばらくはFM波をAMの補完的な役割として利用し、難聴問題の解消策を中心に、FM波の活用についても検討を進める。
将来的なラジオのデジタル化については、今後も可能性について継続して検討していく。
これが現時点における公式のコメントとなる。
久米宏も飽きれていたが、どうしてこう玉虫色の回答しか出せないのかね?

テレビが地デジ化したように、ラジオにも新しい技術の導入でデジタル化を進めるロードマップが描かれたのが00年代前半。

その後ラジオを取り巻く環境が厳しくなり、広告収入の減少に歯止めが掛からず、新たな大規模投資をする体力が無くなってしまい、デジタル化する話が直近の問題の解決として都市部でAM波が受信しづらいからFM波を使わせろ、という議論にまでトーンダウンしている。

すでにニッポン放送とTBSラジオはこの姿勢を明確化しており、今後総務省に対して働きかけて行くことになる。
冒頭の公式コメントは全ての可能性を捨てていないといった風だが、デジタル化についてはもう諦めていることが明らかなわけだ。


そうはいっても、現在FMで放送している局は、AMのサイマルなんてことを歓迎するわけもない。

周波数の割当はどうするのか?
ビジネスモデルは?

一方的にAMの都合だけでFM波を使わせるようなことは不公平であり、ビジネスにおいても影響が大きすぎる。
この辺りをどう整理して行くかが今後の課題になるのだろうが、そこまでしてFM波でAM局の放送を聞きたいという人が増えるのかどうか?

Radikoというインターネットを利用した聴取が可能になった時点でデジタル化という目的は果たしている。
しかしRadikoはマネタイズ(収益を上げる構造)が出来ておらず、輻輳が発生したら聴取できなくなるという脆弱性も併せ持つ。

そこで放送波による災害時にも強いインフラとしてラジオがこのままでいいのか?という議論が起こる。
ある意味災害時のインフラという脅し文句により既得権としてラジオが優遇税制や補助などで賄われるようになったりする未来は、あまり想像したくはないがありえる話ではある。

さて、これからどうなっていくのか。
明るい未来を描けなくなった今、死に行くメディアの延命措置を図るのか?尊厳死を促すのか?慎重な議論が必要になったんだな、と思いましたとさ。


この記事へのコメント

  • ○<落合紘史]

    記事を拝読しました。今後は、AMラジオ局の重要性が問われますし、緊急情報を得るには、ワンセグよりもラジオの方が使えるケースが多いのです。
    2013年06月09日 17:09
  • 海鮮丼太郎

    >○<落合紘史]さん

    コメントありがとうございます。
    緊急情報の提供手段として、AMラジオ局の有用性に変わりは無いのですが、そのAMラジオが経営縮小の方向にだんだんと舵を切り始めたのが気になりますね。

    ひょっとすると、ワンセグの音声だけを受信できるラジオが技術革新による省電力化&低コスト化で緊急放送の代替手段になるんじゃないか、という見解もあるようです。

    いずれにしても、AMラジオを残すには国の支援が必要なフェーズに入ってますので、それを許容するのかは慎重な議論が必要な気がします。
     
    2013年06月09日 20:33

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