家電王国の行方

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1889年、英国の画家フランシス・バラウドによって描かれた一枚の絵。
蓄音機から流れる亡き主人の声を不審そうに聞いている可憐なニッパーの姿は、円盤式蓄音機の発明者ベルリナーを深く感動させ、そのまま商標として1900年に登録されました。
その後、この由緒あるマークはビクター商品に記され、最高の技術と品質の象徴としてみなさまから深く信頼され、愛されています。


ビクタービルの入口に飾られたお馴染みの蓄音機と犬の像。
かつてはVHSの成功でAVブランドとして確固たる地位を固めていたものの、世界的な家電業界の再編の先陣を切るように、松下から切り離されようとしている。

SAMSUNGがソニーと提携し真っ先にやったことと言えば、北米市場においてソニーブランドで固められた高級ホテルの部屋のテレビをSAMSUNG製に切り替えさせることだった。
SAMSUNGが手に入れたかったのはソニーに並ぶブランド力であり、そのステータスとして高級ホテルなど公共の場でSAMSUNGロゴのついた製品を多く露出させることが、ブランド力の向上につながる事を判っていたわけだ。
苦境のソニーはそれどころではなく、SAMSUNGから液晶パネルの供給を受けることで、コンシューマ市場で価格競争力を回復し、液晶テレビの大乱売合戦を繰り広げ、北米のシェアを取り戻したわけだ。
ただ、やっていたことは松下やシャープなど国内メーカー同士の潰しあいであり、結局ソニーは北米で利益を上げつつも、そのブランドイメージを確実に落としつつある。

そんな状況の中で、体力の無い家電メーカーがはじき出される形となり、その余波を食らったのがビクターという構図なわけだ。
三洋の迷走っぷりを語るまでも無く、国内の家電メーカーは再編という流れの中で方向性を固めていくことになる。

かつてイギリスで隆盛を極めた自動車産業が、今は自国の量産メーカーはひとつもなくなってしまったように、家電王国と呼ばれた日本も徐々に影響力を落としていくことになるのか?

時代の流れには逆らえないし、消費者としては国内だろうが海外だろうが、いい製品を選択すればいい。
ただ、アジア圏の粗悪品と国産品を同列に比較するような、選択眼の無さだけは正した方がいいんじゃないかと思われ。

なんてことを、中国産格安MP3プレイヤーの出来の悪さに愕然として、国産品を買いなおした俺様が熱く語ってみましたとさ。
 

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