
仏プジョー・シトロエン、ハイブリッドエア開発で提携模索はて?
[ジュネーブ 7日 ロイター] 仏PSAプジョー・シトロエン(PEUP.PA: 株価, 企業情報, レポート)は、圧縮空気を使ったハイブリッドシステム(ハイブリッドエア)の共同開発に向け提携先を模索している。同社のイノベーション部門ディレクターを務めるジャンマルク・フィノー氏が7日、ジュネーブ自動車ショーで行われたインタビューで明らかにした。
フィノー氏は、ハイブリッドエア技術の開発・生産に必要な資金を提携先と出し合うことを考えていると説明。規模としては5億ユーロ(6億5000万ドル)未満になるとの見方を示した。
同社によると、圧縮ハイブリッド車の価格は2万ユーロ以下になる見込み。第1弾の市場投入は2016年を見込んでいる。
同氏は「この目標を達成するには時間を無駄にできない」と述べ、数カ月以内に提携で合意する必要があるとの考えを示した。
提携先としては、現在業務提携している米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N: 株価, 企業情報, レポート)が自然だとしたうえで、中国事業での提携先も模索していく方針を示した。
プジョー・シトロエンは中国で地元メーカー2社との合弁事業を展開している。
GMの広報担当者は、ハイブリッドエアは現在のプジョーとの提携案件には含まれていないと述べ、これ以上の詳細に触れることを控えた。
どこかで見たような話だな・・・?と記憶を紐解いてみたのだが・・・
プジョーさん、前にも同じようなことやってましたね。
みんなでディーゼルハイブリッドをつくりましょう
2006年に初めてディーゼルハイブリッドのコンセプト(後のHYbrid4)を発表して、2010年に発売するとぶち上げたものの、単独で実用化するには開発コストの負担があまりにも大きすぎたため、サプライヤーや競合関係にある欧州のメーカーに広く共同開発の打診を行ったものの、結果としてHYbrid4はPSAグループ単独で実用化せざるを得なかったという経緯がありました。
結果として2010年発売予定だった3008HYbrid4は、2011年秋になってやっと出荷を開始するに至ったわけです。
この手の技術は日進月歩であり、トヨタのように幅広い車種に搭載してコストの回収を急ぎつつ、次の技術をどんどん取り入れていく必要があっただけに、PSAのディーゼルハイブリッドの市販化のスピードは遅すぎたと言わざるを得ません。
その後508RHX、508Saloon HYbrid4と3車種に増えたものの、実売は2万台というところですので、開発費の回収には程遠い状況であります。
HYbrid4と平行して、BMWとFFハイブリッド開発で提携なんて話も立ち上がったんですが、、PSAの財務状況悪化とGMとの提携の話が進むことで、BMWから縁を切られてしまいました。
現在のPSAの状況では、単独で新たなハイブリッドシステムを開発するのは厳しい状況であると言えます。
特にガソリンハイブリッドについてはBMWとの提携解消でメドを立てるのが難しくなってしまいました。
そんな背景のあるため、先日発表されたHYbrid Airに対しても若干懐疑的な目を向けてしまうのは致し方ないところでしょう。
2016年の実用化を目指すとされていますが、あと3年しかありません。
ジュネーブショーで2008とC3でHYbrid Airのコンセプトカーを出していますが、製品寿命からすると2008はともかく現行C3に搭載して市販化するスケジュールは考えられません。
(HYbrid4の時も最初のコンセプト展示は307&旧C4を使っていました)
スケジュール的にはGMとの共同開発となる次世代プラットフォームでの対応となるはずですが、そもそも圧縮空気タンクの大きさや重さを勘案すると、BセグメントよりはCセグメント以上のボディサイズでないとメリットが生まれにくいのではないか?という考察もあったりして、果たしてロードマップをどのように描いているのかが不鮮明であったりします。
パートナーを探すにもハイブリッドについては各社いろいろと思惑があり、すでにスキームが出来上がっている感がある中で、本当に実用化できるかどうかわからない技術に投資する企業がそんなに多くいるとも思えません。
現実的なところとしては、GMがお金を出してくれるかどうか?この一点のみの可能性という事ができるでしょう。
数ヶ月中に話をまとめたいとのことですが、もしここでGMが乗ってこなかったとすると、PSAという会社は倒れてしまうかもしれません。
逆にGMが乗ってきたとしたら、HYbrid Airは実現に一歩近づくと言えると思います。
実際に発売するのは2016年よりもう少し先になるとは思いますが。
さて、どうなりますやら?
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