欧州カーオブザイヤーは大差でゴルフVII


ファイナリストの8台が発表された時点で、結果はもう見えていたわけですが、とりあえずジュネーブショー開幕を前に結果が発表になったのでご案内。

European Car of the Year 2013

Winner Volkswagen Golf414
2nd Subaru BRZ /Toyota GT86202
3rd Volvo V40189
4th Ford B-Max148
5th Mercedes A-Class138
6th Renault Clio128
7th Peugeot 208120
8th Hyundai i30111

各国の審査員がどの車種に投票したかは上記リンクを参照してもらいたいが、総じて言えることは、ゴルフVIIがあらゆる面での話題を独占し、単発で話題になった他のノミネート車を圧倒した、という点だろう。

 ・7世代目のフルモデルチェンジ
 ・MQBプラットフォームによる生産
 ・グローバル展開を見据えたコスト構造
 ・充実した安全装備
 ・走行性能を含めた車種としての総合的な評価

簡単に挙げただけでもこれだけ話題があった。


走りの楽しさを提供したGT86/BRZ。
世界初の歩行者エアバッグなど先進的な安全性をアピールしたV40。
若年層向けにコンセプトを大きく変えて意欲的にチャレンジしたA-Class。
フレンチ勢の基幹車種として気合いの入ったモデルチェンジをしたClioと208。
ピープルムーバーとして高い完成度を誇るB-Max。


いずれもゴルフVIIの前に霞んでしまったという印象だ。
恐らく、日本のカーオブザイヤーもゴルフが受賞するのはほぼ確定と言っていいだろう。

ここまでは鉄板の話。
注目すべきは2位以下の状況だ。

ゴルフとはダブルスコアになってしまったものの、2位がGT86/BRZなのは要注目だ。

日本発のスポーツカーが世界で評価され続けているのはマツダのMX-5(日本名:ロードスター)ぐらいのものだったが、ここへ来てGT86/BRZが評価されたというのは、国内向けの安価なスポーツカーという当初の路線からグローバルモデルへとコンセプトを変えたことによる成功と言えるだろう。

欧州でも過度なエコブームに嫌気をさしている層もいるわけで、選考員がそうした観点から投票して点を伸ばしたという側面も見逃せない。
しかし、堂々の2位は誇っていいだろう。


それに対して、メルセデスが気合いを入れて開発、積極的なマーケティング展開をしたA-Classの評価があまり芳しくない。
ライバルとなるV40と比べても50ポイント以上離されているのはなぜなのか?ここは少し突っ込んで考察したいところだ。


そしてファイナリスト8車種の中で唯一のMPVであるB-Maxは、その完成度の高さで4位のポジションを得た。
特にノルウェイの選考員はゴルフよりB-Maxに最高得点を与えている。
これは非常におもしろい。


そしてフランス勢渾身のモデルチェンジとなったClioと208については、下位に甘んじるという厳しい現実を突き付けられた。

しかも208に関してはブービーという嫌われよう。
出来は悪くないのだが、積極的に誉める点も見出せない。
そんなところがポイントが伸びない理由になっているようだが、改めてプジョーを取り囲む環境の厳しさを感じさせられる。


そして最下位になったのはヒュンダイのi30。
安いという以外にあえて評価するポイントが無いという理由もさることながら、昨今欧州市場に対して激しく攻め込んできている韓国車に対する心理的な拒絶反応がまったく無いか?と問われれば嘘になるだろう。

その意味で割を食っているとも言える。


世界で最も要求の厳しい欧州市場。
さまざまな価値観を持つ国から選考員が投票して決まった今回のカーオブザイヤー。

求められるクルマはそれぞれ異なるし、評価の基準も異なる。
それら異なる基準を持つ選考員が集って選んだことに欧州COTYのおもしろさがある。
これは北米COTYや日本のCOTYとは違った選考だと言えるだろう。

そこで、次回は国ごとの投票傾向について考察してみようと思う。


ってことでつづく。




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