包帯ぐるぐる巻きで身動きの取れないPSA

 
米GMと仏PSA、提携強化に向けた交渉を中断=関係筋

プジョーが前月、経営が悪化した金融子会社のバンクPSAファイナンスに対し政府保証を受けることを決定すると同時に、手元流動性が一段と悪化していることを明らかにしたこと受け、交渉が中断された。

関係筋の1人は、プジョーとオペルの統合に関する初期の交渉を「中断」することでGMとプジョーが合意したことを明らかにした。プジョーに対する仏政府の支援により「計画が阻まれた」としている。

当たり前でしょ、とか思うわけですが。
政府の公的支援を受けるからには、国内の産業、特に雇用を維持することが求められるわけで、予定していたリストラなどの手を打つことができなくなるわけであって。

別の関係筋は「GMとプジョーは、市場の改善が見込まれる2014年まで提携強化は望めないとの見方を共有している」とし、仏政府による支援条件によりフランスのおける雇用削減の可能性は排除されるが、すべての削減をドイツで行うことは政治的に不可能なため、プジョーとオペルの提携計画は自動車市場が改善するまで前進することはないとの見方を示した。

問題は、PSAが財務を立て直すためには、大幅なリストラ(というか低コストで生産できる体制構築)が避けて通れないという現実があるわけで、当面の資金の懸念は払しょくされたとしても、では将来に対してどのような方法で収益を上げる構造にしていくのか?という点において代替案が無いということでありまして。

公的支援における懸念として書いたとおり、出血を止めるために包帯をぐるぐる巻きにしたら身動きが取れなくなっちゃったという、非常にシャレにならない状況に陥ったことになります。

GM(というかオペル)との提携強化は、収益改善のために残された数少ない可能性の一つだったりするわけですが、事業統合まで踏み込んだ話が出来ないとなると、車種開発と生産、物流分野の限定的な効果に留まることになり、回復のペースが鈍ります。
また、GM側にとっても期待していたほどのメリットを生みだすことが出来ないとなると、別のスキームを検討せざるを得ない事態になりかねません。

こうなってくると、トヨタにオペルを売り込むとかいった話をした方がむしろ現実的かもしれません。
(フィアットがVWグループに対抗するためにフィアット、PSA、欧州GMで対抗グループ作らね?と持ちかけましたが、相手にされませんでしたので)

公的資金を受けた企業が再生するというのは、実は非常に難易度の高い話でありまして。
特に自動車メーカーのようなところは大きなイノベーションを起こすには膨大なコストが掛かるという問題もあって、結局のところ一度破綻させてから大リストラして借金を無かったことにして、再び上場みたいなことでもない限り、状況改善するのは難しいと思うわけですよ。
って、GMがそうやって再生しているわけですが。

で、2014年までの間、他のメーカーはどんどん先に進もうとしているわけですが、その間停滞を余儀なくされるPSAのあしたはどっちだ!?
 

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