プリンターの買い替えを考える

 
プリンターを使う機会というのは個人においては年に数回あるかどうか、という状況であり、年賀状を印刷するためだけに埃をかぶったプリンターの電源を入れるなんて人もかなりの数にのぼるわけであります。

我が家も似たようなものでありますが、今年の春にインクを認識しなくなってからそのまま放置しておいてなんの不都合も無かったのですが、嫁が履歴書を明日持ってく、なんて話になった時にちょいと慌てました。

ただ、WORDやEXCELの文書とかは、最近ではコンビニのマルチコピー機で印刷することができたりしますので、事なきを得ました。

【マルチコピー機でできること】文書プリント

具体的には、XPSかPDFフォーマットで出力したファイルをSDカードなどに入れてコンビニに持って行き、操作画面から印刷するだけです。モノクロだったら1枚10円。レーザープリンターで出力するニーズはこちらに任せてOKですな。

とはいいつつ年賀状も発売される季節になりましたので、さすがにプリンターをどうするか、なんてことを考えるに至りました。

まず、家庭用向けプリンタービジネスの流れを簡単にご説明しておきましょうかね。

■家庭用プリンタービジネスの基本
 ・本体価格は安い
 ・交換用インクが高い(ここで利益を取る)
 ・毎年モデルチェンジする
 ・インクの型番を頻繁に変える
 ・買い替えの場合、今までのインクを流用できないケースがある

とまぁ、こういうことなわけです。
消耗品ビジネスと揶揄される所以でありますが、消費者側の防衛策としては、交換用インクを純正品ではなく互換品を使用するという手があります。


■互換インクの特徴
 ・純正の1/2~1/10近くと圧倒的に安い
 ・正規のライセンス品ではないためメーカーに利益の還元が無い
 ・品質に問題がある可能性がある(長期間の保存ができない等)
 ・動作保証が無い(交換対応に応じる業者もあり)
 ・プリンターにトラブルが発生する懸念(修理保証対象外の場合も)


日本のモノづくりを支える上で、純正品のインクを買うことでメーカーに利益が還元されることは大きな意味があります。
インクで稼ぐビジネスを止めるとなると、プリンターの価格は現在の倍以上になることを考えれば、安くプリンターを買える現状を受け入れる以上、ある程度は純正品のインクに理解を示す必要はあるでしょう。


ここまでは建前論です。
ここからは、リスクをどう考えるか、という話です。


互換インクがプリンターメーカーの収益を圧迫する要因になっていることは容易に想像がつくわけです。
実際、それを阻止するためにキヤノンが訴訟を起こしたりもしておりますが、現実問題として互換インクの流通は留まるどころか拡大の一途となっております。

プリンタメーカーはそれを防ぐために、頻繁にインクカートリッジの形状を変え、互換インクのメーカーがビジネスできないような対策を取ってきます。

ここでひとつの例を出しましょう。

エプソンがコピー、スキャナー、プリンターを搭載したマルチ機能を売りにする中核機種を出しています。
2011年9月に発売されたのがEP-804A
今年はその後継モデルとして、EP-805Aが発売されました。


純粋に性能比較をすると、EP-804Aに比べて805Aは40%近くも体積が減ってスリムになりました。
これは魅力的です。

ただし、これに伴いインクカートリッジの形状が変わり、IC70シリーズという型番に変更となりました。
EP-804AはIC50シリーズという型番のインクでしたが、IC70シリーズになったことで、互換インクメーカーは新たにこのインクカートリッジを解析し、型を起こして製造しなければならなくなりました。

タイミング的にインクの最大の需要時期である年末に間に合うかどうか?
おそらく非常に厳しいでしょう。

つまり、プリンタメーカーは年末の需要を見越しつつ、そこまでに互換インクを発売させないギリギリのタイミングで新製品を投入してきたわけです。

企業の戦略としては非常に正しいと思います。

では、消費者はどういう選択をするべきか?

 (1)最新機種(高い)+純正インク(高い)を使用する
 (2)型落機種(安い)+純正インク(高い)を使用する
 (3)型落機種(安い)+互換インク(安い)を使用する

上記の機種を例に取ると

EP-805A(最新機種) 実売24000円前後


EP-804A(型落機種) 実売14000円前後


EP-805A用純正インクセット(IC70) 実売5000円前後


EP-804A純正インクセット(IC50) 実売5000円前後


EP-804A互換インクセット(IC50) 実売330円前後~


このようになっているわけです。
小さくなったEP-805Aは非常に魅力的ですが、互換インクが現時点で発売されていないことを考えると、ランニングコストが非常に高くつきます。

型落ちとはいえ、大きさを除けば機能的にほとんど問題のないEP-804Aは、コピーとスキャナとプリンターという機能が付いて14000円前後で入手できることもあり、コストメリットは非常に大きなものになります。
EP-805Aと比べても、同じ予算で純正インクセット2セット分余計に使えることを考えたら、頻繁に使わない人にとってはこれで十分じゃないかということになるわけです。


もっとアナーキーな考え方をしてみましょう。
型落ちのEP-804Aと互換インクを組み合わせて、本体もランニングコストも低く抑えるという方法です。

当然ながら故障のリスクが伴うわけですが、本体を安く調達し、純正インクを3セット購入するところを互換インク3セットにするだけで、本体価格の元が取れてしまう計算になります。

つまり、互換インク3セットを使い切ることができれば、その後に故障して新しいプリンタに買い替えても損ではない・・・という考え方も成り立つわけです。

大切な写真を印刷するとか、人にプレゼントするようなデータを出力するような場合、互換インクでは十分な品質を維持できない懸念が非常に大きくなります。

純正インクのメリットをきちんと理解した上で、互換インクを使うもよし、純正インクで安心感を買うもよし。
選択肢は消費者に委ねられています。


そんなわけで、年賀状目的でプリンターを買うなら、価格が下落して、なおかつ品切れになる前のタイミングを狙うのがよろしいかと思います。
年賀状作成する時間を考えたら、12月初旬までに決めた方がいいですよ。


おいらはどうするかって?
本体はEP-804Aにしました。
インクは印刷するシチュエーションに合せて、両社を使い分ける方法にしましたよ。

無線LANで使わないのであれば、下記の機種もオススメであります。

EP-774A(EP-804Aと同じくIC50シリーズのインクを使用)


 

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