「OVER DRIVE 2012」の先にある可能性

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■大観山で考える。

『もういちど、クルマと暮らそう。』

「For Sale」だったNAVIが仕切りなおして「NAVI CARS」と再スタートを切ったのが今年の5月。
再出発に向けてのプレイベントとも言えるミーティングが4月に開催された時も、大観山の天気は芳しくなかった。

そして、9月26日の第2号発売に向けて、今回はLOVECARS!の河口まなぶ氏と河西編集長が主催となって、「OVER DRIVE!V 2012」というイベントが同じく大観山で開催された。

前日からの荒天をそのまま引きずる形で非常にコンディションの悪かったにも関わらず、朝から多くのクルマが集まっていた。
当方が到着した10:00頃は、大観山の天気はかろうじて霧がかかる程度の曇天となっていた。
メインの2箇所の駐車場に入りきれないほどの盛況ぶりで、結果的に200台を超えるクルマが集まり、イベントとしては大成功だったようだ。

「ようだ」と言うのは当方は予定があったのでトークショーと写真撮影が終了してから撤退してしまったので、最後まで見届けることが出来なかったからだが、それでも限られた時間で会場を回ってみて、クルマを囲んで楽しそうに話している参加者の表情を見ていると、みんな充実した時間を過ごしているんだなぁ、という思いを強くした。

主催ならびに関係各位の皆様お疲れ様でした。

イベントの模様や持ち込まれたクルマなどについては他の人が写真を山ほどアップしているだろうから、そちらを参照してもらいたい。

おいらはどちらかと言うと、LOVECARS!からスタートし、NAVI CARSという受け皿となる媒体の復活、そしてその二者がタッグを組んで開催した今回の「OVER DRIVE 2012」というイベントの、その先にある可能性について考えてみたい。


■改めてエンスーを考える
トークショーの際に語られていたが、NAVI CARSの第2号の特集は「エンスー」なのだそうだ。

「enthusiast」を意味するエンスーという表現は、現在はほとんど死語・・・というか言葉を悪く言えばどちらかというと侮蔑の表現に近くなっている。

そこで改めてエンスーを特集するにあたり、現在入手できる新車の中から48台エンスーなクルマを選び出し、NAVI CARSなりの提案をしていきたい、とのことだ。

「今は昔と違って、いろんなエンスーの形があえりえるんじゃないだろうか。」

この言葉の通り、特集にどれぐらいの説得力を持たせることができるのか?
個人的に、この試みの成否が今後のNAVI CARSの方向性ならびに可能性を決定付けると思っている。


■データを集めること
夢野忠則さんがfacebookのコメントで

「台数だけではなくて、車種数もカウントすればよかったなと思いながら帰ってきました。」

とコメントしているが、まさにこれからのLOVECARS!やNAVI CARSに必要なのはこういう部分だ。

世の中に一定数のクルマ好きがいる。
その中で200台(そしてそれ以上の人数)が集まり、イベントは盛況だった。
じゃあ、集まったのはどんな人たちなの?

ここで集まった車のデータを取っておけば、いろんな分析ができる。
それこそ、メーカー別の傾向や年代別の傾向など、後からいろんな方法で検証することができ、そこから判ってくることは非常に多い。

その結果をもって、LOVECARS!TVでワイワイと話のネタにしてもいいし、もっと泥臭い表現をすれば、スポンサーを集める際に属性を可視化することで、期待される広告効果を数値で明示することだってできる。
(ここで集めるデータとは、個人のプライバシーに抵触しない程度の情報を意味しています。念のため)

データを取るということは、そこから何が出来るかの可能性を模索する上で重要なヒントがいろいろ隠れている。

個人的興味から、ここ数年の車山高原で開催されているFBM(French Blue Meeting)に集まった車種のメーカー別傾向を集計している(2010年2011年)が、個人の思いつきだけでもこんなデータが取れるわけだ。
面白いことに、このエントリーには各輸入車メーカーや、国産メーカーからのアクセスがひんぱんにあったりする。
彼らもやはり、ユーザーの動向を知りたがっているのだということがよくわかる。

LOVECARS!ならびにNAVI CARSは、現在のところ日本におけるクルマ関連のコミュニティの中では、極度にセグメント化されていない(≒一般度が高い)という点で、貴重な存在だと思っている。

『もういちど、クルマと暮らそう。』というコピーと、「エンスーの再構築」という方向性であるならば、今回のように荒天の中集まるような人々にスポットを当ててみることも重要な事だと考える。

その意味で、こうしたイベントの際はデータを取る集計班を用意して、参加者の可視化を進めてみることを強く提案したい。


■影響力を強めること
上記の「データを集めること」の延長上の話となるが。
コミュニティの拡大ならびに社会に対する影響力を高めていくのに必要なことは、情報を発信することにある。

「OVER DRIVE 2012」が開催され、大盛況だった。
200台ものクルマが集まった。
女性によるグループ参加もあった。

これらの情報はイベントで起こった事実であるが、それ以上の情報の深みがない。
参加者の笑顔や語り合っている姿、めったに見れないクルマ達の写真などは、イベントが楽しいもであったことを伝えるには十分だが、これだけではイベントレポートとして側面の情報発信しかできない。

ここに参加したクルマのメーカーや車種の傾向情報を添えることができれば、クルマ好きと呼ばれる人たちはどのようなクルマに乗っているのか?という情報も一緒に発進することができる。

これはニュースソースとしても価値を持つものとなり、この情報からいろんな議論が生まれる可能性がある。
これだけでも世間に対して「OVER DRIVE 2012」というイベントの影響力を誇示できる。

また、この結果から例えばあるメーカーの参加率が芳しくないという傾向が出たとする。
じゃあそれを改善するにはどうしたらいいのか?みたいなことをコミュニティを通じて議論をし、その結果を提言として発信する。

「LOVECARS!」はtwitter上での参加者が1700名を突破し、アクティブ率も高い。
そうした議論のできる土壌は整っているし、そうしたクルマを語りあうコミュニティを作り上げ、その情報を発信していくことが、新たなエンスーの再構築を促し、それが結果として新たな人を惹きつける原動力になると考えている。


■思考ゲームとしての議論
議論のできるコミュニティの影響力は大きい。
一番わかりやすい例えとして2ちゃんねるがある。

あそこで繰り返されるネタの応酬を、各種まとめサイトが編集しておもしろおかしく公開する。
すなわちこれは、2ちゃんねるというコミュニティによる議論を、まとめサイトを通じて社会に発信することで、2ちゃんねるの影響力を発揮している、ある種のエコシステムということができる。

玉石混交の2ちゃんねるとはいえ、ほとんどがクズのような書き込みでありながら、その中で珠玉のネタが次から次へと生まれてくるのは、成熟したコミュニティ故と言える。

では、これは他のコミュニティでは出来ないことなのか?
そんなことはない。
LOVECARS!はそれができる可能性がある。
例えば個人的にやりたいネタはこれ。

「ダメって言われたあのクルマ、でも見方変えればいいところもあるよね?」

という思考ゲーム。
一例をあげてみよう。

かつて日産のラシーンというサニーベースのRVがあった。
発売当時の雑誌ではボロクソに叩かれていた車種ではあるが、今でも大切に乗っている人は多い。一部では名車とさえ呼ばれていたりもする。

では、当時なぜあれほどにラシーンが叩かれなければならなかったのか?きちんと説明できる人はそれほど多くは無いだろう。
であれば、改めてラシーンという車種について「ダメだという視点」「イイという視点」にそれぞれ別れて議論をするという思考ゲームを展開しても面白い。

ラシーンの事例が古ければ、現行のトヨタヴィッツでもいい。
国内の評論家はボロクソに叩いているヴィッツではあるが、トヨタはこれを欧州戦略車として売っている。
本当にヴィッツはダメな子なのだろうか?

河口まなぶというジャーナリストが主催のコミュニティでこうした議論をするのに若干のデンジャラス感を感じずにはいられないが、こうした視点の議論を提言としてまとめることも、コミュニティの影響力を強めていく上では重要なことだ。

「最近の日本車はつまらないものばかり」

よく耳にするセリフだが、じゃあどこがどうつまらないのか、きちんと声をまとめてメーカーにフィードバックしているコミュニティはあるのだろうか?
無ければ作ればいいじゃないか。

“ぼくのかんがえたさいきょうのスーパーカー”みたいな低レベルな話ではなく、提言のレベルにまとめる思考ゲームのできる環境。

LOVECARS!設立当初に何回かツイートしたが、LOVECARS!、そしてNAVI CARSがそうしたことができるコミュニティに育つことができればいいな、と思う次第。
そしてそれは、当然マネタイズという方向性にも光を当てることになるわけで。


これだけの多くの人が集まった今回のイベントを俯瞰で眺めていて、こんなことを改めて考えみた。
相変わらずこの手のことを書き始めると長くなるな・・・

おしまい。

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