高齢者向けスマートフォンについて考える(1)


実家の親父がスマートフォンに興味を示し始めた。
外出先でいろいろ調べごとをしたり、地図を確認したりという光景が羨ましいらしい。

そろそろ80歳も近くなってきたのだが、この手の新しモノが好きと言うほどでもないが、最低限のPCに関するリテラシーは持っているので、この手の便利な道具が欲しくなったりするらしい。

そこで高齢者向けのスマートフォンについて考えてみる。

現在はらくらくガラケーを使っており、月の使用料金は夫婦で5000円程度。
ケータイサイトの類はまったく使っておらず、電話とメールと写真を撮るぐらいという使い方。

この前提条件から、スマートフォン導入にはいくつかの条件が付く。

 (1)画面が見やすいこと
 (2)操作が簡単なこと
 (3)月額使用量があまり上がらない事

簡単なようで、実はこの条件を満たす選択肢を考えるのがけっこう大変だったりする。

既報のとおり、ドコモかららくらくスマホが発売されており、高齢者向けの市場が立ち上がってきたところではあるが、おいらはらくらくスマホについてはかなり懐疑的だ。理由は後で述べる。


高齢者にスマートフォンがどういったものかというのを教えるためには、まずは使わせてみることが一番だ。

ってことで親父で試してみた。
意外と簡単にギブアップした。
曰く・・・

「文字が小さくて見えない」

これに尽きるのだ。
触らせたのはiPhone4SとIS11N。

どちらも4インチ程度のディスプレイで解像度は高いのだが、逆にそれが文字を小さくしてしまい、高齢者が判別するのは非常に難しいつくりになっている。
物理的な画面サイズがある程度の大きさでなければ、高齢者が使うのは難しいわけだ。

ガラケーは3インチ程度の大きさではあるが、フォントをかなり大きく表示させることができるので、判読性としては4インチのスマートフォンより良好かもしれない。

また、もうひとつ問題になるのが入力だ。
ガラケーは物理キーがあるおかげで、慣れてくればブラインドタッチに近い入力が可能だ。
目でキーを確認することに加えて、指の感触でキーの場所を推測できるからだ。
高齢者でもそれなりに長文のメールを送ってきたりするのがその証拠だ。

それに対してスマートフォンでの入力は、フリック、ケータイ式、QWERTYと選択肢は豊富だが、いかんせん物理キーが無いせいで、目視でタッチして入力していかなければならない。
これが意外と手間取ることが多い。
ある程度慣れの問題でなんとかなる部分もあるが、これまた4インチ程度のスマートフォンで入力させるのは非常にハードルが高いと言わざるを得ない。

画面のサイズ、解像度、物理キーの有無。
とにかく、慣れるまでに超えなければならないハードルが高く、また多過ぎるというのが現在の高齢者とスマートフォンにおける関係と言える。

勢いでガラケーからスマートフォンに変更したとして、思い通りの操作ができなかった場合、2年間の縛りや払い続けなければいけないパケット定額料金など、懸念材料が非常に多いことからも、流行だからといって安易に高齢者にスマートフォンを薦めてはいけないことは肝に銘じておくべきだろう。

とは言いつつ、興味があると言っている高齢者に対して、

「使いこなせないんだから止めておけ」

などと切り捨てるのは、それはそれで問題だ。
そこで、おいらは高齢者に対しては以下の方法を提案する。

 ・通話などライフラインは従来どおりガラケーを使う
 ・スマートフォンは情報端末として、画面の大きいものを使う
 ・使用頻度はそれほど高くないだろうから、低速定額回線を契約する

つまり、2台体制にするというやり方だ。


長くなりそうなのでつづく。

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック