ずいぶんとまたイメージ刷新しましたね。
なんつっても、先代のCMがコレでしたからね・・・
ってことで、新型オーリスが発表になりました。
先代はノーマル仕様をオーリス、ホットハッチ仕様をブレイドという2本立てのラインナップにしてしまい、それがオーリスの認知度を薄めてしまう結果になったため、今回はオーリス一本に絞ってのリリースとなったようであります。
で、今回のオーリスの最大の特徴は、全高を-55mmも下げ、全長を+30mm伸ばすというデザインで、ハッチバックのお手本のような先代のスタイルから、背の低いショートワゴンのようなスタイルへと変容しました。
(誰ですか?最終版カルディナみたいとか言ってる人は?)
これはオーリスの主戦場である欧州Cセグメント市場において競争力を確保すべくトヨタの出した答えでありまして。
とはいいつつ、背が高めのハッチバックから全高を下げたスタイルに変わるっていうのは、プジョーが307⇒308でやったことと同じだったりするわけですが、さすがにトヨタはもう一捻り入れてきたという感じであります。
欧州では新型オーリスにはさらにワゴンボディが用意されているらしい、なんて話もありまして、アベンシスよりひと回り小さいCセグメントワゴンとしてこちらも非常に興味があるところであります。
トヨタは欧州市場においては車種をある程度絞って展開する方針に転換したので、逆に1台1台が気合いの入ったクルマになっているという考え方ができます。(ヴィッツはどうなんだ?というとアウアウアーなんですが。)
実際のところ、イギリスより輸入する形で展開しているアベンシスワゴンは、華はそれほど無いものの、ステーションワゴンとしての基本をキッチリと押さえ、使い勝手と上質感をうまく演出した、非常に良く出来たクルマだったりします。
新型オーリスは国内生産ではありますが、欧州市場で勝負することを前提に開発された車種なので、パッケージングと走行性能に非常に期待を持っております。
(国内仕様が欧州仕様に比べて手を抜かれているかどうかはマガジンXなどの検証記事を待ちたいところではありますが・・・)
さて、そんな成り立ちの新型オーリスでありますが、今回話題にしたいのはそのCMであります。
ずいぶんと思い切った内容だなぁと思うわけですが、個人的にはチャレンジングでいいCMだと思います。
正直言うと、一般の消費者層の評価は別れると思います。それこそ、拒絶反応が多いくらいに。
また、ある種のセクシャルマイノリティからクレームが付きそうな気がしないでもありません。
しかし、この新型オーリスというクルマの成り立ちを考えると、必ずしも一般ウケを狙う必要はなく、むしろ尖った層に刺さるアピールこそが目的であるわけです。
先日新型スペイドのCMについて酷評しましたが、ああいう低レベルのCMを作ったかと思うと、こういったチャレンジもできるところが、トヨタという企業の奥の深さなのかもしれません。
「常識に尻を向けろ。」
というコピーをベースに複数のバージョンが存在しますが、やはり一番インパクトがあるのは、イスラエルの19才のモデル、スタヴ・ストラスコの存在感でありましょう。
トヨタがスタヴ・ストラスコを海外CMに起用したということであれば特に驚くことは無いのですが、これを国内向けのCMで放映するというのは、見る側にもある種のリテラシーが求められることになります。
Youtubeでもすでにいくつか「きもちわるい」的なコメントが付いておりますが、これだけ価値観が多様化した世の中にあって、タレントを使ったわかりやすいCMばかりが流れる時代ではないということを消費者側が受け入れられるかどうか。
そんなことが試されるきっかけになるCMかもしれませぬ。
プリウスやアクアなどを国の補助金に頼ってバカスカ売りまくり、「クルマ=エコカー」という常識を作り出した張本人が「常識に尻を向けろ。」とはちゃんちゃらおかしい気がしますが、一方でそれを自らぶち壊そうという心意気があるのは評価しないわけにはいきません。
・・・それにしても、「常識に尻を向けろ。」ですか。
尻を前面に打ち出したCMというと、偉大なる先例がありまして。
そう、言わずと知れた(知れてないか・・・)先代のルノーメガーヌであります。
"Hip Drive."のコピーとお尻を強調したCMは当時物議を醸しましたが、いかんせんCMだけでなくメガーヌというクルマのヒップ(リア)デザインがあまりに微妙だったこともあり、ウケはあんまりよろしくありませんでした。
グッドデザインを受賞したからといって、必ずしも一般ウケするわけではないという顕著な例でありますね。
これに比べれば新型オーリスのデザインは、コピーで強調するほどヒップ(リアデザイン)がセクシーという感じは受けませんね。
確かに特徴的ではありますが、リアコンビランプが最終型カルディナを明確にイメージさせている以外は、最近のトヨタのデザインの流れに則った造形だと思います。
欧州戦略車としてのオーリスという存在が認知されていない日本においては、CMのインパクトで話題喚起を図るという戦略なのでしょう。
それはそれで、悪いとは思いません。
繰り返しますが、オーリスのCMは見る人を選び、評価が別れると思います。
また、オーリスというクルマも、人を選ぶクルマだと思います。
月販目標台数2000台ということから、エコカーのように誰でも飛びつくとはトヨタも考えていないでしょう。
燃費とコストダウンばかりを重視して走行性能が疎かなクルマばかり出てくる中で、一定数のクルマ好きが輸入車へと流れている現状を引き戻す。
それがオーリスに与えられた使命であって、その使命を果たすためにあえて戦略的なCMで勝負してきたということなわけです。
スペイドのCMには無くて、オーリスのCMにあるもの。
それは“覚悟”だと思います。
ともすれば「きもちわるい」という声に押されて放映が中断する可能性もありえます。
そうならないためにも、いいCMにはいいという声を上げるべきだと思います。
そうならないためにも、いいCMにはいいという声を上げるべきだと思います。
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