本日の映画:「おおかみこどもの雨と雪」


先週の話だが、「おおかみこどもの雨と雪」を観てきた。
珍しく自分の中でどういった感想を持ったのかまとめるのに時間が掛かる映画だった。

シネマハスラーで取り上げられる前に観た感想と、シネマハスラーで宇多丸師匠のハスリングを聞いた後の感想も、これまた微妙に変わっていたりするので、結局自分がこの映画で何を感じたのか、よくわからなくなりつつある。

思った事を備忘メモとして書き残しておくことにする。

観終わって最初に感じたことは、田舎の原風景を見事に映像化していたなぁ、ということだった。
田舎の原風景といっても、都合のよい理想的な田舎の姿ではなく、過疎化の進行しつつある山間部の景色、そんな感じ。

ここ最近、精神的な疲れと夏の訪れということもあって、おいらの中でこうした風景に触れたいという欲求が高まっていたこともあり、ストーリーそっちのけでこの映像美を堪能できたことが一番満足できた部分だった。


ストーリーについて。 
「おおかみこども」という人間と狼のハーフを題材にしていはいるものの、この映画は普遍的な子育ての素晴らしさを描いた作品だ。
そして、おおかみという設定から13年という短いスパンで子の成長と自立までを短縮して描いたものだ。

親のコントロールの効かない子供という存在に翻弄されつつ、自身の成長と時を重ねることのすばらしさというメッセージは、ストレートに心に響いてくる。

しかも、おいらのように子供が欲しいと思っている連中にとっては、ひときわそれが強烈に刺さってくる。

ひとつひとつの描写に意味があって、(すべてとは言わないまでも)その意味が少しでもわかってくると、この一見すると淡々と進む描写が愛おしく感じられるようになる。

逆に、ダイナミックなストーリー上の展開があるわけではなく、当然想定されるであろうおおかみこどもと人間との軋轢みたいなものは描かれていない。
そういった方面の展開を期待すると肩透かしを食うことになるわけだが、その意味でこの作品は大人向けのおとぎ話ということが言えるのかもしれない。
ジブリ映画ほど子連れで楽しめる作品ではないのかなぁ、と。

でも、文句なくいい映画だった。
感動で涙がうかぶとかそういうことはなかったが、淡々としつつも心が温かくなる、そんな映画。

観に行くなら夫婦や恋人同士で、レイトショーの落ち着いた時間に観るのをオススメしたい。
一人で観るんだったら、周りに客がいないような席で、じっくり堪能するような観方がいい。

で、いつもだったらネタバレ警報で観る前に聞くことはオススメできないシネマハスラーだが、この作品を楽しむための背景や細かい解釈の手助けをしてくれる、ここ最近の中でも出色のハスリングとなっている。
また、ハスリングの後に細田監督を招いてのやりとり(前編後編)も同日に放送されたので、あわせてポッドキャストで押さえておきたい放送となっている。

聞いてから観るか?観てから聞くか?

個人的には、「観る」、「聞く」そして「もう一度観る」というスタイルがいいんじゃないかと思う。

実は1回目は一人で観たので、2回目は嫁を誘おうと思ったら断られた。
さて、どうしたもんか・・・
 

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