【詳報】アフターサービスランキング2012を掘り下げてみる(2)


さて、アフターサービスランキング2012の掘り下げ企画の続き。
前回のエントリーとあわせてご覧ください。

【詳報】アフターサービスランキング2012を掘り下げてみる(1)

そんなわけで、ランキングの結果を考察するにおいて、全体の回答者数が2011年の2万人から、今年は16800人へと-16%も減少しており、自動車関連に限って言えば、昨年に比べて-20%と大幅に減っている。

これに伴い、30件未満の回答しか得られなかったボルボ、プジョーがランキング集計対象から外れてしまった。

そのため、全部で13ブランドの評価ということになり、前年比較といった見方があまり有効に機能しないものの、得られたデータを元にもう少し掘り下げてみよう。

前回は満足度指数による順位をグラフ化したが、今回はその具体的な中身を見てみることにする。

CS2012sisu_ranking.gif
▲クリックで拡大

ご覧の通りとなっており、1位のレクサスは満足度指数が72.1と、昨年より数字を伸ばしている。
2007年のピークにはまだ届かないが、他のブランドよりも明らかに評価が高く、レクサスブランドが定着してきた感じが見受けられる。
もうひとつ興味深い数字として後述するが、回答者数が全体で-16%減少しているのに、レクサスの回答者数だけは昨年に比べて増えている。
熱心なレクサスファンが付いているということなのかもしれない。
(組織票の疑いも捨てきれないのだが・・・)

ランキングで2位になったメルセデスは、昨年に比べて+16.6%も数字を伸ばしており、まさしく劇的に改善されたと言っていいだろう。
2012年のランキングでここまで数字を大幅に改善させたブランドは無い。
その意味でもメルセデスの取り組みが実を結んだことは評価すべきだ。

満足度の改善、という意味ではサンプル数が少なく集計対象外の参考値扱いになってしまったが、ボルボが+10.1%とかなり改善を見せている。
ランキングで言えば4位に入るほどの改善だ。

ボルボはここ数年の商品展開の巧みさから販売台数が復活する兆しを見せており、また先進の安全装備がブランド全体のイメージを良くしている。
販売現場も一時期の停滞から活気が戻ってきているので、そうした上昇ムードがアフターサービスにも影響を与えているのかもしれない。
しかし、リコールの発生件数を調べると24件と、あまり褒められた数字ではない。
品質とサービスを維持し続けることができれば、アンケート回答者も増えて来年はランキングに復活するかもしれない。


逆に急激にポイントを落としているのがアウディだ。
前年比で-10.7%も満足度を下げている。
前回も書いたとおり、昨年のCSに関する取り組みは立派なものだったと個人的には思うのだが、今年は何かポカでもやらかしたのだろうか?

そして最下位のBMWだ。
ランキングのグラフより満足度指数の方がかなり残酷に実態を表している。
2007年のピークを境に一貫して満足度を下げ続けている。
他のブランドでも同様の傾向があったりするが、大抵は途中で改善したりしている中、キレイに右肩下がりなのはBMWだけだ。

CS改善のためにどのような取り組みをしているのかは、残念ながら日経ビジネスには記載が無かったので推測するしか無いのだが、競合であるメルセデス、アウディをかなり激しく意識しているBMWが、現状をこれで良しとしているとは思えない。

ひとつ要因として考えられるのが、ここしばらくBMWが取り込んできた客層が、あまり筋のいいものではないのではないか?という仮説だ。

BMW乗りは、メルセデス乗りと比べて別の意味でプライドが高い。
要求するサービスレベルも高く(一歩間違えればただのワガママ)なるが、それに必ずしもディーラーが応えられない場合に極端なネガティブ評価を下す可能性がある。
これはもう、小金持ち特有のプライドみたいなものなので、しょうがないと言えばしょうがない。

で、気になったのがBMWに対するアンケート回答者数が、昨年に比べて96人と-33%も減っていることだ。
全体では-16%だから、BMWだけ回答者が突出して少ないことになる。

こうしたアンケートに熱心に回答するのは、よほどそのブランドに思い入れがあるか、よほど嫌な思いをしているかの両極端だったりする。
しかも全体のサンプル数が少なくなると、極端な意見が目立ちやすくなるという点には注意が必要だろう。

BMWもひょっとすると、こうしたバイアスを受けての結果なのかもしれない。
メルセデスが大きく評価を改善している手前で、説得力は無いのだがw

さてここで、最後の指標として再購入意向の数字も出しておこう。

CS2012_meisai.gif

再購入意向というのは、そのブランドの満足度とは別に、次もこのブランドを選ぶ意思があるかを尋ねたものであり、そのブランドに対するもっとも忠実な評価とおいらは考えている。

再購入意向の高い順に並べ替えるとこうなる。

CS2012_rebuy.gif

レクサスを始めとして、大半のブランドは前年より再購入意向が高まっている。
しかも、満足度では最下位のBMWでさえ、再購入意向は前年より+1.6%も増加している。

ということは、

 BMWは販売が好調ではあるものの、
 アフターサービスの満足度が低い。
 でも、次に買うときもまたBMWにしたい、という人が若干だが増えた。

ということだ。
BMWのクルマに対する満足度が高いと、こういう傾向になる。

逆に数字を落としているのはホンダ、日産、三菱、そしてアウディだ。
しかもアウディは-11.6%も下げている。

つまりこれは、

 アウディは販売が好調ではあるものの、
 アフターサービスの満足度が低いので、
 次に買うときにアウディは積極的に選ぶ人がずいぶん減った。

ということになる。
この状態が続くと、次年度のランキングでワースト有力候補の可能性が出てくる。
アウディは何か対策を考えなければいけない状況と言えるだろう。


このような感じでいろいろと見てきたが、やはり最初のエントリーで述べたとおり、回答者数が減ったことで、アンケート全体の精度が下がったという印象が強い。

同じ2万人集めて回答を集計してくれれば、前年対比がきちんと出来たであろうことを考えると、もったいないという気がする調査だった。


次のエントリーでは雑感などをちょっとばかり書いて終わりにしようと思う。


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