一目惚れの話(4)

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前回までのおはなし。
一目惚れの話(1)
一目惚れの話(2)
一目惚れの話(3)



一目惚れ、っていう現象がある。以下略。

そんなわけで、The Road to KUGAの最終回。
長々とお付き合い頂きありがとうございます。
KUGAとの新たな暮らしを夢見るおいらの、このワクワク感は共有頂けましたでしょうか?

晴れ晴れとした気持ちで最後のエントリーを書き上げることにしましょうか。


そんなわけで商談中のマーズレッドのKUGAではあるが、契約書にハンコを押すには懸念材料を払しょくしなければならない。

 ・嫁に相談していない。
 ・現在取り組んでいる治療費のメドが立たない。
 ・立体駐車場に本当に入るかわからない。

嫁に対しては307swの車検を通すという方向だとは話してあるが、同時にいくつか新車を見て回っていることも伝えてある。
要は、トータルで見てムダな支出にならないようにすれば理解も得やすい。

車検を通してしまうと最低でも10万円は掛かってしまうので、車検前のこのタイミングで乗り換えをすればその10万円は車両購入費に充当できる。

つまり、

ここでの乗り換えはトータルで考えれば節約なんだよっ!

ΩΩΩ<ナ、ナンダッテー!?

こういう時の俺の頭は猛烈に冴えている。
見事に嫁を説得するためのロジックは完成した。


次に現在取り組んでいる治療費に関する懸念だ。
これに関しては現状ではなんとも言えないが、どこかのタイミングで見切りを付けなければいけない話だ。
よって、それはその時に考えればいい。はい論破。

だんだん思考が乱暴になりつつあるが、そんなことを気にしていたら買い物などできない。


そして最後に物理的な問題をクリアにしなければならない。
最近試乗したクルマの中で幅1800mmを超える、もしくはそれに近いクルマについては、我がマンションの立体駐車場に収まるかどうかを実際に入れてチェックさせてもらっている。

 トヨタ アベンシス(幅1810mm)
 プジョー 308sw(幅1820mm)
 プジョー 3008(幅1835mm)
 シトロエン C4ピカソ(幅1830mm)

このように、スペックでは幅1800mmを超える車種であっても、ギリギリではあるものの駐車場のパレットに収まることを確認している。

前回のエントリーで書いた通り、KUGAは全幅1850mmと今までの候補の中では一番幅広ではあるものの、張り出したフェンダーよりタイヤは内側にセットされており、最大幅からタイヤの外側まで-25mm程度、両側で-50mmは小さくなるという算段だ。

そう考えれば他のクルマ同様、ギリギリなんとか入るだろう、という見込みが立つ、というかこの時点でかなり楽観していたりする。


夕方になってきたので駐車場のチェックは後日にしようかと思っていたのだが、事態がこんなことになっているので、改めて試乗車を借り出して自宅まで戻り、すぐにチェックをすることにした。

ここで問題がなければ、嫁を呼んできてその場で説明すれば手っ取り早い。
自転車も積めるかどうかのチェックだって出来るじゃないか。
そうだ、ついでだからハンコ持ってこよう。
そしたら手続きがスムーズに進むぞ。

再度試乗車を用意してもらうと、助手席にはなんと店長が乗り込んで来た。

向こうはかなりやる気だ。
こっちだってかなりやる気だ。


家までの片道約7km。
その間になんでフォードに興味を持ったか、そしてKUGAの感想なんかを話しながら、頭の中では最後の整理をしていた。

 ・マイナーチェンジの予定は無いのか?
 ・中に自転車2台を積めるのが必須条件だったんじゃないのか?
 ・いいクルマではあるが、この時代に8.5km/Lという燃費はどうなんだ?
 ・307swに対する愛着を振り払うだけの価値が本当にあるのか?
 ・明らかに予算をオーバーしているのはどうするつもりだ?

自慢じゃないが、人生最大の買い物であるマンションの購入を検討から手続きまで2週間で決めたことのあるおいらだ。
別に電光石火で買い物をすること自体はそれほど珍しいものではない。
要は一目惚れというか、好みの条件を高度に満たすクルマが出てきたのだから、そこで躊躇う必要は無いじゃないか、ということだ。


現状のKUGAに関してネガティブ要因があるとしたら、車両価格が高いことと、今後フォードのラインナップは新たに開発した「エコブースト(EcoBoost)」エンジンへの換装が進んでいくであろうという点。

エコブーストは厳しくなる環境および燃費規制に対応するべく開発されたダウンサイジング直噴ターボであり、小型車から大型SUVまでをカバーする次世代型エンジンだったりする。

すでに北米版EXPLORERに搭載された2.0Lエコブーストはあの大きな図体を駆動させるのに十分な性能を持っており、評判も上々で、欧州でもフィエスタへ1.0Lのエコブーストが搭載され、順次切り替わっていくなんて話になっている。

当然KUGAもエコブースト化されることが予想されるので、本来であればそれを待ちたいという気持ちも強い。
(この辺、プレマシーにSKYACTIVが搭載されるまで待ちたいとペンディングにした心理と酷似している)

“欲しい時が買い時”という言葉と“妥協の無い買い物へのこだわり”がおいらの中でせめぎ合っている。
しかし、天秤はほんの少しだけ購入の方向に傾いている。

最後の駐車場の件だけ確認したら、嫁に説明した上で契約書にハンコを押そう。
内心ではそういう気持ちになっていた。


20分ほど走ると我が家に到着。

多少緊張しつつ、駐車場のパレットを上げる。

店長に運転を任せて、左右の余裕を見ながら誘導を始める。

ボディそのものはスペースに収める分には問題が無さそうだ。
あとはタイヤが1810mmのパレット幅に収まるのを確認する・・・だけ・・・なんだが?

意外と手こずる。
何度も切り返しをして左右の位置を均等に合わせて、少しずつバックさせる。

キュ~ッというタイヤのこすれる音が駐車場に響き渡る。

もう一度。

細心の注意を払ってバック。

キュ~ッ

「はいストップ!」


俺の中の全米が泣いた。
無情にも、パレットの幅より明らかにタイヤtoタイヤの幅の方が大きい。

9号のスカートを無理矢理はこうとする女子のように、なんとかねじ込もうとしても、物理的に入らないものは入らない。
感覚的にKUGAのタイヤtoタイヤは1820mmほどある感じだ。

店長が降りてきて一言ボソリ。

「入りませんね。」

「入らないっすね。」

とおいら。

この時点で店長の営業スマイルがフッと消えたのをおいらは見逃さなかった。

こうなるともうやることは無い。
パレットを下げて、試乗車を店に戻すだけだ。

帰り道は店長がハンドルを握る。
もうおいらは見込み客ではないので運転させてもらえないらしい。(かなり被害妄想)

「こういうことってよくあるんですかね?」
「港北エリアは駐車場が広いお宅が多いのでそんなに多くはないけど・・・」
「たまにあったりするんですかね?」
「ジャガーとかはタイプによっては入らないことはありましたね」

店長もこちらが買う気満々であったことは理解してくれてるので、なんだかんだでフォローはしてくれる。

「今回は残念でしたが、これもひとつの縁ですから、
 これからもお店に遊びに来てくださいよ」

そんな言葉を掛けてくれるあたりはさすが客商売だね。
トホホ・・・な感じでディーラーに戻る。

ローンの審査は問題なくパスしていた。
しかし、肝心のクルマが駐車場に入らない。

商談をしていた営業マン、フォードから派遣されていた応援要員、ローン担当者がそれぞれ落胆の表情を浮かべる。

そそくさと荷物を片付けて、なんともアレな感じで店を後にした。

そんなわけで、おいらのThe road to KUGAのお話は、こんな形であっけなく終わったのでありました。

いや、KUGA自身に悪いところはどこもないのよ。
単にこんな制約のある駐車場を使ってるおいらの方が悪い。
しかし駐車場の広いところに引っ越すわけにもいかないし、かといって近所のもう少し広い駐車場を契約するというのも維持コストという面でいろいろ問題もある。

おいらとしては別に高級車や大型車に乗りたいわけではない。
Cセグメントの実用車しか眼中に無いのだが、これだけクルマのサイズが大きくなると、ほしいクルマが駐車場の制約で選べないなんて事態を引き起こす。
これはもう、非常にストレスだ。

今年の後半に発表されるVWのゴルフが幅1800mmを超えてくる(ゴルフは長らく幅1800mm以下を貫いてきた)ようだったら、いよいよ駐車場の契約を見直すことにしようかな・・・

KUGA04.jpg

そんなわけでマーズレッドのKUGAよ、すまぬ。
おまいさんは最高にカッコよくて、セクシーだった。
そして欧州フォード車のレベルの高さを感じさせる、ほんとうにいいクルマだと思うよ。
ただ、ほんのちょっと幅が広すぎただけさ。

で、この一台は結局誰が買うんだろうか?
港北エリアで見かけたら、ちょっと挨拶でもしてみるか。

本気で惚れていただけに、落胆も非常に大きい。
果たして、これほどまで燃え上がる候補がこれから出てくるだろうか?
とりあえずもう車検まで新たなクルマを見に行くのは控える。
そして、307swの車検を通して、もう少し愛着を持って乗ってやろうと思う。
その中で、新たな出会いを探すことにしよう・・・
 
 

この記事へのコメント

  • しの

    こんばんは。スピーディー且つハイテンションな展開に、こちらもワクワク・ドキドキしながら読み進んでしまいました。(笑
    “欲しい時が買い時”と“妥協の無い買い物へのこだわり”のせめぎ合い。。。私もつい2ヶ月ほど前に身をもって体験いたしました。結果、いまはシトロエンC4に代わり、BMW 120dが手元にあります。
    今回は残念な結果に終わってしまいましたが、また素敵なクルマとのご縁がある事を祈っています!
    2012年05月25日 22:10
  • 海鮮丼太郎

    >しのさま

    うわー、遅レスすいません。
    お久しぶりでございます。

    なんだかんだで想いは果たせませんでした。
    クルマは選んでいるときが一番楽しいと言いますが、今回は一番苦しい体験だったような気がしますw
    もういろいろ疲れました。

    しのさまはついにBMW 120dを選択されたんですね。
    でもC4からの乗り換えであれば、きっとより楽しいクルマではないかと思いますです。

    で、購入の経緯を拝見したら驚きました。
    電光石火だったんですねぇ。

    でも、これもまた一期一会だと思います。
    C4の思い出も併せて、BMWを楽しんでくださいね。

    2012年05月31日 21:50
  • しゅうじ

    突然お邪魔してすみません。臨場感たっぷりでツイツイ完読してしまいました。わたしも一目ボレ組です。
    試乗どころか、実車に座ることすらなく購入しましたので、今になって、評価などを検索していましたらこの記事を目にしました。
    きっかけは、6年目のエスケープ乗り換えようかなあと電話入れたその晩のこと、深夜の店内へ案内され。。。わあーいい色。お願いします(お値段)って感じで成約してしまいました。
    家内には、「買い物ってそうよ」って言ってくれましたが、安くない買い物なので内心ドキドキもんでした。この記事のおかげで、ちょっと安心、感謝です。
    2012年07月14日 12:33
  • 海鮮丼太郎

    >しゅうじさん

    コメントありがとうございます。
    街中でKUGAを見かけると、ついつい目がそっちを追いかけてしまう今日この頃です。

    エスケープからの乗り換えですか。
    実車をチェックしていないというのはまたずいぶん思い切った決断をされましたねw

    でも、エスケープからの乗り換えであれば、きっと満足いくクルマだと思いますよ。

    アメリカンフォードのタフな部分と欧州フォードの洗練されたデザインの融合という感じで、特にAWDであることがシティクロスオーバーの中でも満足度の高いクルマとして一歩抜きん出ている観があります。

    色は何にされたのか非常に興味深いですが、納車されたらブログなどを書いて、その良さを広めてあげてくださいね。


    2012年07月16日 01:28
  • しゅうじ

    やっと、引き取りに行って来ました。うーん。やっぱり、いい色。前は「トマトで今度は野菜ジュース」って、家内に言われましたが、大満足です。エスケープの営業さんから、ドーンと100万引きますって、突然の話から。。。結局マースレッドは、100万引き適用外でしたが、これ以外の色にする気がないので、適当な値段で即日購入となりました。
    仕事の都合で3週間ぐらい預かってもらってまして、昨日ようやくご対面できました。
    アンテナが、自宅のリモコンゲートと干渉して、即取り外しとなりましたが、社外品の短いアンテナでも付けようと思ってます。なには、ともあれ、無事、我が家の一員となりました。
    2012年08月10日 16:28
  • 海鮮丼太郎

    コメント遅くなってすいません。
    お盆前の納車だったんですね。
    それにしても、エスケープからの乗り換えだとすごい条件が出てたんですねぇw

    それにしても、野菜ジュースですかwでもいい色ですよね。
    正直うらやましいです。

    先日街中で1度だけマーズレッドのKUGAをみかけて、ひょっとするとあれがしゅうじさんだったのかな?

    素敵なKUGAライフをお過ごしください。
    そしておいらもいつか仲間入りできたらいいなぁ・・・などとまだ諦めてない自分がいますw


    2012年08月24日 22:35

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