一目惚れ、っていう現象がある。
とはいっても、初見でいきなり惚れるということではなくうんたらかんたら。
そんなわけでKUGAである。
KUGAはFOCUSやマツダアクセラと同じプラットフォームを使用しているCセグメントのクロスオーバーだ。
仮想敵はおなじみ日産のキャシュカイ(日本名:デュアリス)であり、欧州においては非常に好調なセールスを記録しているとのこと。
2010年10月に国内に投入されたKUGAではあるが、国内仕様は2.5Lターボエンジンを搭載したAWD(四輪駆動)であり、シティクロスオーバーよりもう少しタフなシチュエーションでも使えるというイメージを狙ったそうだ。
フォードはEXPLORERやESCAPEで骨太なSUVのイメージを前面に打ち出しているため、その整合性を取るためにKUGAもタフな仕様で導入したものと思われる。
とはいえ、キャシュカイ同様基本的には街乗りがメインで使われることを想定したクロスオーバーであり、そのイメージは北米産のEXPLORERやESCAPEと比べるとかなり洗練されたデザインとなっている。(逆に北米産はヤボったい)
このあたりは昨今の欧州フォードのデザインアイデンティティである「キネティックデザイン」が優れているからと言える。
KUGAは「TREND(3,390,000円)」というグレードと、快適装備を追加した「TITANIUM(3,780,000円)」という2グレード展開になっている。
そこにちょうど港北ニュータウン店の開店と同じタイミングで「TITANIUM」に特別仕様が追加された。
それが「KUGA TITANIUM KINETIC MOTION(3,890,000円)」だ。
ショウルームにはこの特別仕様の限定カラーである「マーズレッド」が展示されていた。
「マーズレッド」とは言いつつも、光の当たり具合でオレンジのようにも見え、それが引き締まったデザインと非常によくマッチしていた。
そしておいらはコイツに一目惚れしてしまった。
「今日は情報収集を兼ねて軽く見に来ただけだから…」
などと寄ってきた営業マンに話をしつつも、目を皿のようにして展示車をチェック。
デザインのディテール、居住性、積載性、他にも山ほど独自で決めたチェック項目があるのだが、大雑把に以下のことが出来るかを見極める。
(1)立体駐車場に入るか?
(2)車内に前輪をはずした自転車を立てて2台積めるか?
(3)適正なドライビングポジションを取った状態で後席に座って足が組めるか?
(4)ストレスなくドライビングを楽しめるか?
だいたいこんな感じでチェックをする。
まず最大の懸念材料である(1)について。
KUGAはスペックでは幅1850mmと、Cセグメントの中でもかなり幅広なクルマになっている。
しかし一番張り出しているのはフェンダー部分であり、そこからタイヤの外側までは実測でだいたい-25mm程度であることがわかった。
つまり両側で-50mmとなり、タイヤtoタイヤの幅で言えばちょうど1800mm程度になるのではないか、という見込みになる。
おいらのマンションの立体駐車場のパレットは、幅が実寸で1810mmなので、ほんの少しではあるがマージンを持って入れられる可能性がある。
俺の中の全米が震えた。
幅の問題がクリアになれば、マインドは一気に高まる。
(2)の積載性については後席シートがダブルフォールディングするのでほぼフルフラットに荷室のスペースを確保できる。
その状態で計測したところ、奥行き1500mm、高さ880mmのスペースを確保できそうだ。
実のところ、これだとMTBを2台立てて積むのはちょっと厳しいような気もするのだが、最悪の場合サイクルキャリアを取り付けてクルマの上に乗せればいいので致命的な欠点ではない。
さぁ、だんだん盛り上がってまいりました。
(3)についてはCセグメントのクルマを選ぶときの基準にしている方法で、ドライビングポジションをきちんと取った状態でそのまま後席に座ってみる。
膝が当たらないのは当然のこととして、足を組んで座ることが出来るかを試してみる。
実際に乗るときに足を組むかどうかは別として、足を組むぐらいの余裕があれば後席が窮屈に感じることは無い、とまぁそういう理屈。
で、なんとか足が組める。
これはいよいよもって本格的に興味が沸いてきた。
こうなったらもう試乗するしかない。
登録したばかりの試乗車で、近隣を走ってみる。
2.5Lターボということで加速性能は十分すぎるぐらいだ。
AWDの安定感も手伝って、街乗りでなんら不自由を感じることはない。
ただし、この手のクルマとしては排気量が大きく車重もあるためカタログ燃費が8.5km/Lという点はかなり引っかかる。
メーター部にインフォメーションディスプレイが内臓されていて、瞬間燃費が表示されるが、アクセルワークと手動でシフトチェンジを早めに行っていくと、16km/Lぐらいはコンスタントに出るようなので、乗り方次第で燃費が大きく異なるエンジンであることがわかった。
これだったら307swで通算燃費がカタログ燃費を上回っているおいらからすれば、許容範囲で収まるだろう、などという目論見が立てられる。
また、クロスオーバーであるKUGAは運転視界が高くなるものの、見切りが非常に良いためストレスは感じにくい。
また一番感心したのが、5速ATではあるものの、シフトダウンできちんとエンジンブレーキが利くこと。
この感覚はプジョーのAL4の制御に近いものがある。
(エンジンブレーキが利くことがAL4の唯一褒められる利点)
減速の際にエンジンブレーキを併用できれば無駄にブレーキを踏むこともなくなるので、これは非常に好感触だ。
そんな感じで思いのほか乗りやすく、(4)のチェックはまったく問題なかった。
さて、このあたりで冷静な判断が効かなくなり始めていることを自覚しつつ、気持ちはさらに前へ、前へと行こうとしてますよ。
さて、ニヤニヤしながら試乗車から降りると、必然的に流れは商談へと進むことになる。
307swの車検が6月末なので、この時期まで来てしまったら車検を通してからじっくり商談するのが本来あるべき話ではあるのだが、「マーズレッド」の限定車はもともと台数が非常に少なく、今確保できるのがこの展示車だけという話を聞かされ、またオープンしたばかりのディーラーにとって初期受注が大切なのでいい条件を出しますよ、なんて話になってくる。
スタイルはいい。
パワートレインもいい。
立体駐車場も大丈夫そう。
しかも好条件が出そう。
そして何より、「マーズレッド」がすばらしくいい。
ここで完全にスイッチが入った。
短期決戦モード突入。
そして商談は開始されたのだった・・・
この記事へのコメント
なおなお
久々の戦闘モードですな。
続編を楽しみにしてます!
smtk
ハリソン太郎
FORDといっても欧州FORDだから。というつまらないツッコミが頭から離れなくなってしまいました。
海鮮丼太郎
いや~
>smtkさん
まったくもって
>ハリソン太郎
オチがあれでもってすいません。
でも改めて、KUGAはいいクルマ。
エコブースト化されたマーズレッドが出たりしたら、外に駐車場借りて買い替えるかなぁ、などとまだ未練たらたら。