ヤナセのチャレンジ

 
ヤナセが扱う車種はアウディ、BMW、メルセデスといった高級ブランドが主体となっており、それに伴いどうしても顧客の年齢層が高めになってしまうという実態があった。

ヤナセといえば独の国民車であるVWを長らく販売してきたことで幅広い年代の顧客がいたわけだが、VWとの縁が切れ、代わりに一時期はオペルなどを取り扱うことで奥様需要を掘り起こすなど努力していた時期があったものの、最近ではそちら方面への興味は完全に削がれてしまったようで。

象徴的なのがスマートの販売でありまして、メルセデス店と併設してスマートを取り扱っていると掲示を出しておきながら展示車の一台も無いなんて状況は、寂しいの一言につきる。
車両価格が200万円を超えるといったメーカー側の戦略にも首を傾げたくはなるものの、月販100台にも満たないのは売る気がないと言われてもしょうがない。

初代スマート元オーナーとしてこんなに残念なことはない。


若年層の取り込みはその層に響くような宣伝手法が常に求められるわけで、スマートを例に取ればポップアイコンとしての打ち出し方が必要になるわけで、今その路線を見事に体現しているのがFiat500でありBMW MINIであるわけだ。

商品の宣伝の仕方はメーカーの責任でもあるわけだが、一方で販売パートナーとしてのヤナセがそんな状況の中で独自の努力をしていた形跡も見られない。

単なる販売会社ではないヤナセとしても、メーカーだけに頼らず自ら客を取り込む必要性を感じていたようで、こんな組織を立ち上げるらしい。

ヤナセが情報発信部署 ネット活用し若手顧客掘り起こし
輸入車販売大手のヤナセ(東京都港区)は13日、インターネットを活用した顧客への情報提供体制やマーケティング活動を強化する方針を明らかにした。情報発信戦略を統括する専門部署の「CRM部(仮称)」を4月をめどに本社に設置。電子メールやインターネットの交流サイト(SNS)などを活用し、若年層など新規顧客の掘り起こしにつなげる。


若手の顧客開拓は今までのヤナセがもっとも苦手としていた部分でもある。

しかもSNSを使って仕掛けていくとなると、そのマーケティングにGOサインを出す立場の人間がソーシャルメディアとは何かということを体験的に理解していないと話しにならないので、単に部署を作ったからうまく行くというわけでもない。
(現場に全権委任するとかいう話ならおもしろいとは思うが)

今までの一方的な情報発信でさえうまくやってるところは少ないのに、さらに巧妙な仕掛けが必要となるソーシャルメディアを使った展開はどうなんだろう?という多少の不安を感じざるを得ない部分はある。

また、情報発信してもそれを受け入れるディーラーの体制も柔軟にしないといけないってことは理解できてるんだろうか?
(ヤナセの店かどうかは知らないが)未だにアウディの店に行ったら完全無視された、って話を耳にすると、相変わらず客を選別してるんだなぁ、と思ってしまう。
若年層を取り込むってことは、客を選別するような接客を改めるってことでもあるわけでありまして。

意外と大変よ、この辺を改めるのって。
 
まぁ、不甲斐ないインポーターに対して有無を言わさぬ発言力と存在感を見せつけることがヤナセに必要とされることなので、こういうチャレンジは応援していきたいとは思うけどね。
 
 

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