欧州市場を語る上において今年間違いなくトップの話題となるであろう、PSAとGMの包括提携話。
正式に発表されたのを機にGMの日本法人からプレスリリースが発表されている。
GMとPSAプジョー・シトロエン、グローバル・アライアンスを発表
GMがPSAの7%の株式を3億2000万ユーロ(4億2300万ドル)で取得することでプジョー一族に次いで2番目の株主となり、主に欧州市場において協力関係を構築していくことになる。
この提携によって得られるメリットは、プラットフォーム、コンポーネント、モジュールを共有化することで量産効果を高められること。
そして、グローバルな部材調達の効率化を図り、コスト低減を実現すること。
これによって収益性を改善することが両者の事業を継続していくうえでプラスに働く…ことが狙いだったりする。
リリースにおいて欧州市場と言及しているのは、その提携内容がオペルを中心とした事業の建て直しであることを表しており、うまく事が運べばお互いの弱いところを補完する関係になれるかもしれない。
PSAの問題は、新技術への投資が中途半端で特筆すべき特徴を見出しにくいラインナップと、ボディタイプのバリエーションが市場のニーズと合致しておらず、新たな市場への対応が遅れていること。
オペルの問題は優れたデザイン力を持ちながら、リーマンショック以降の親会社の方針に翻弄され、まともな開発体制が築けなかったこともあり、結果として販売力を落としていったこと。
今回の提携による効果は、スモール&ミディアムサイズの乗用車、MPV、クロスオーバーを共同開発、2016年に新型車の発売というロードマップが描かれている。
4年。
あと4年も掛かる話だ。
両社に共通している問題点は、生産施設の高コスト体質が収益を圧迫しているという事実であり、今回の提携があってもなくても、工場のいくつかを閉鎖しなければならない状況にある。
この点は両社とも政府からフランス、ドイツの工場に関して政府の優遇支援を受けていたりすることもあり、単純に新興国へ生産をシフトするという方策が採りにくい。
提携効果が現れる4年間の間に、この辺りの手立てをしないと会社が傾くなんてことにもなりかねず、長期ビジョンとしての提携と、短期ビジョンとしての収益改善は別のものとして考えなければならないのが深刻なところだ。
提携発表の翌日に、ムーディーズはPSAの信用格付けをジャンク級に引き下げたりして、PSAの財務内容に対する懸念が広がっていたりする。
PSAとしては本業の回復によって市場の信頼回復を図っていくしかないわけだが、その切り札となる208の投入がどうなるか。
じっくり時間をかけて開発する姿勢は好ましいのだが、市場がこれだけのスピードで変化している状況を考えると、もう少し新型車のリリースを早めた方が良いのではないと思う次第。
などという話をGMの日本法人が出したプレスリリースを元に書いてきたが、、これに対してプジョーからは未だこの件に関するリリースは出ていない。
GMの日本法人なんてプジョーシトロエンジャポンに比べてはるかに規模が小さいのに、やることはきちんとやっている。
情報発信がまともにできないと、市場の理解は得られないよ、などと思いましたとさ。
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