ビッグデータとプライバシー

  
※本エントリーはあえて説明を簡略しております。
 その筋の方が見ればツッコミどころ満載ですが、そっとしといてください。


世の中、“ポイント乞食”とも言うべき人々がたくさんいらっしゃいまして。

「ポイントカードで1回の買い物で●ポイント付きます」

なんていうのは序の口で、最近ではケータイやスマフォなどでバナーをクリックしたり、特定サイトやサービスに関してちょっと使ってつぶやいたりレビューをしたりするとけっこうなポイントがもらえたりするもんだから、彼(っていうか圧倒的にヒマな彼女たち)は時間を作ってはせっせとポイント獲得に励んでおります。

これがいわゆるステマ(ステルスマーケティング)の温床になっていたりするわけですが、当事者達はそれが悪いとはちっとも思ってないようで、この手の騒ぎはあとを絶ちません。

で、その集めたポイントはどうするんだ?というと、GREEやモバゲーでのアイテム入手に使用したり、電子マネーに変換したり、まぁ実生活において何らかのメリットある方法に交換しているわけですね。


新手の広告手法として認知されたこのポイントで釣るというビジネスモデルは、出稿側は対象の商品やサービスへの接触率が高まり、利用者側もポイント獲得で相互メリットのある素敵な仕組み・・・と思いがちであります。

しかしながら、ポイントと引き換えに、大事なものを失ってやいませんか?って話でありまして。


最近IT関連業界でバズワード化している『ビッグデータ』なる概念がありまして。
今までBI(Business Intelligence)という形でデータを分析、活用していく動きが一般的だったところに、個人の行動履歴(ライフログ)を広く取得していくことで様々なデータのマッチングが可能となり、これを利用して新たなビジネス(客にいろんなものを売りつける)を展開しようという流れが生まれております。

『ビッグデータ』というのは文字通り、ありとあらゆる情報を取得して活かそうという発想なのですが、その大前提となる情報の取得に、きちんとユーザの許諾を得ているのか?というのが昨今大きな問題になっておりまして。

だってそりゃ、通話履歴やGPSでどこへ行ったかの行動履歴、サイトの閲覧履歴、ECでの購入履歴といった情報を勝手に吸い上げられて、個人の属性などを詳細にプロファイリングされることに対して、気持ち悪いと思わない人はいないでしょう。

しかしこれを積極的に展開してビッグビジネスにしましょうとIBMさんがはりきっておられます。

顧客との接点は「ビッグデータ」にある

企業側からすれば魅力的な話ではあるものの、消費者側としてはどうなんでしょうね?とも思うわけです。
少なくとも、情報を取得するということをきちんと告知した上でやるって前提は守ってくれるんでしょうね?

別にIBMが突然こんなことを言い出したわけでなく、すでにビッグデータのトップに君臨するGoogleなんかはこの辺のことをしっかり展開済みで、Googleの検索を利用していると、

 ・どこから検索したか
 ・何を検索したか
 ・いつ検索したか
 ・どういったサイトを訪問しているか


なんて履歴がGoogleに吸い上げられ、その結果から利用者の性別、年齢、居住地、趣味嗜好といったことがしっかり把握されているわけでして。
特にあまり人に言えないような趣味とか嗜好に関する情報を握られているというのは、ゾワゾワって来ますよね、ホント。

こんな感じでGoogle検索を利用するということは、自分の情報を提供するトレードオフな関係にあるということなわけです。

さて、Googleがこんな感じなもんですから、その他の企業も個人の情報を集めることがどれだけ旨みのあることか十分理解しているわけです。
だからあの手この手で情報を集めようとするわけです。

で、冒頭のポイント乞食の話に戻りますが、この手のポイントゲットのウラには、自分はどんなことに興味があるってことを積極的に情報提供していることになるわけですね。

ポイントサイトに登録する際にメアドや生年月日や何らかの個人情報を入力させられており、それが自分の所有しているスマフォやケータイの固有IDと紐付いた形でどんどん送信されるわけですよ。

いろんなサービスでポイント乞食をやってるから問題ないだろう、とか考えてるとしたら甘い。
ビッグデータの恐ろしいところは、それら個々のデータを持つ業者同士がお互いのデータを勝手に売買したりといった極端な例も含めて、横断的に紐付けて個人の属性を丸裸にすることが目的なので、一度集めて紐付けられた情報は、自分の意思では容易に削除できないことになるってリスクは覚悟しておいた方がいいと思うわけですよ。

つまり、ちまちまと手間を掛けてポイントを稼いでいるように思っていたら、企業が喉から手が出るほど欲しい個人の趣味嗜好情報をご丁寧に提供してあげているってことなわけです。

割に合う行為でしょうかね?それが。
少し考えてみた方がいいですよ。



話が行ったり来たりして恐縮ですけど、これと関連してGoogleがポリシーを変更して、よりえげつない方法で個人情報を取得、活用する方向で動いているなんて話がかなり騒ぎになっているわけですが、ご存知でしょうかね?

ちなみに明日から施行されます。

Google検索だけでなく、YoutubeやGoogle+といった関連サービスの個人情報取扱のポリシーがすべて統一されることで、あなたの趣味嗜好は紐付けられ、見事にバレバレになるわけです。

一応、ある程度の拒否設定をすることもできるんですが、一般の人は何がどう問題なのか理解し難く、どういった拒否設定をすればいいのかよくわかりませんよね。

Google自身もその点についてあまり親切に答えるつもりも無いようですし。

ってことでこちらの記事を参照のうえ、最低限の対策だけでもやっておいた方がいいですよ。

Google履歴を消去する方法

“ソーシャルなつながり”だの“すばらしいユーザエクスペリエンス”だのといった言葉の裏には、こうしてトレードオフのように個人の情報が取られるんだということを理解したうえで、ネットとの距離を一定に保つことが大切なんじゃないかと思うわけですよ。

ビッグデータ=究極の管理社会

なんと素敵なディストピア。
俺達の描いていたコンピュータの未来は、こんなことだったんかなぁ?とかちょっと考えてしまうわけです。
 
そんなわけで、この辺で今何が起こっていて、どうすればいいかなんてことを知りたい人は、高木浩光せんせぇのところでしっかりお勉強してください。
かなり劇薬ではありますが、考えられるリスクをきちんと理解することが、大切だと思う次第であります。
 
 

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