なんだかんだで、やっぱり気になるCX-5。
とりあえず全幅問題については頭の中をいったんクリアにして、1台のクルマとしてどうなのよ?という点について見てきましたよ。
(試乗車が無かったので、あくまで展示車をあれこれ眺めた感想であります)
その前に軽くおさらい。
マツダが発売したCX-5は、CとDセグメントの中間ぐらいのサイズで登場したクルマでありまして、国内の競合としては日産デュアリスとエクストレイルの中間ぐらいと考えるとキャラクターを把握しやすいかと思います。
▲デュアリス
▲エクストレイル
マツダのクロスオーバーとしては、国内では販売終了してしまったCX-7という先輩格がありまして、こちらに比べると全長が短く、全高を高くしたようなスタイルをしております。
▲CX-7
▲CX-5
ぱっと見た印象としては、クロスオーバー然としていたCX-7に比べると、CX-5はよりSUVチックなキャラクターを与えられたという感じになりますでしょうか。
なので、厳密には両車は異なるカテゴリーのクルマと言ってもいいかもしれません。
CX-7が国内で販売終了になってしまった大きな要因は販売不振だったわけですが、その理由として国内で取り回すには全長と全幅が大きすぎたという点がありました。
少なくとも国内において消費者がマツダに求めているサイズを超えていた、ということなんでしょうね。
このあたりのディメンジョンに関する考察は過去エントリーを参照していただきたく。
絶不調のビアンテと並んで、マツダが国内ニーズに合わせたサイズのクルマを作れないというのはもはや伝統芸のようになっているわけですが、それを差し置いて初代アテンザやアクセラ、デミオなどがヒットしていたのはそんなデメリットを超越するほどクルマとしての出来が良かったから、という点もあるわけです。
良いものを出せば(それなりに)売れる。
もはや過去の話となったモノ作り信仰のように、マツダが市場からこのような誤ったメッセージを勝手に受け取ってないか心配でなりません。
とはいいつつ、利益の大半を海外販売で上げており、かといって財務状況が厳しいマツダが国内市場にどこまでコミットできるか?という点を考えると、あまり過度な期待をしてはいけないとも思う訳ですが、その落としどころとして世界と日本の両方でメリットをアピールできる方法が、スカイアクティブテクノロジーであるわけです。
理念と効率については理想的な考えだと思います。
だからこそ、この技術に期待もするし、熱いものを感じたりもするわけです。
前置きが長くなりました。
で、CX-5です。
第一印象としては、
「デカい。」
この一言に尽きます。
隣に置いてあった決して小さくはないプレマシーが小型車に見えるぐらい、CX-5から受ける印象はデカかったのであります。
プレマシー 全長 4585mmx全幅 1750mmx全高 1615mm
CX-5 全長 4540mmx全幅 1840mmx全高 1670mm
全高、全幅が大きくなるとここまで印象が変わるのか、というぐらい圧倒的な存在感であります。
一応これ、欧州ではコンパクトSUVらしいんですけどね。
この大きさで、16km/L超の燃費を実現したのは立派だと思いますが、逆にこの大きさを軽快に走らせられるわけがない、ということも瞬時に理解できてしまうぐらいの大きさでありまして。
体感的には、CX-7より大きく感じます。
フロントノーズはグリルのところでスパっと切り落とされており、サイドの処理も無駄なデザイン上の張り出しが少ない分ギリギリまで使っており、外寸に対して体積の密度が高い感じを受けるわけです。
それが心理的に大きく感じられる主要因かと思われます。
このあたりは、デュアリスから受ける実寸よりコンパクトに見えるのに実用性が高いというイメージとは正反対な感じでありました。
エクストレイルに近いという指摘は、わからなくもないです。
この大きさを活かして室内の居住性は抜群なものがあります。
ダッシュボードも変に傾斜させずスパンと切り落としているので、着座している状態で感じられるスペースに余裕が感じられる演出もいいと思います。
内装の質感に関しても、200万ちょっとのクルマとしては十分です。
マツダの内装もずいぶん良くなりましたね。
シートのクッションが少し柔らかい(腰が無いのではなく、座りはじめのタッチが柔らかい)のが、身体をホールドする際にどうなのかちょっと気になりました。
後席シートも足下のならびに頭上の余裕も必要十分なものがあり、居住性については特に指摘すべきネガティブ要素はありません。
むしろ非常に好印象でした。
後席シートを倒してもカーゴスペースがフルフラットにならず微妙な出っ張りが出来るのはなんとかならなかったんでしょうか?とも思いますが、前輪を外した自転車を車内に立てて入れられるぐらいの室内高は確保されていて、アウトドアでガシガシ使う用途にも十分応えてくれそうな感じではあります。
(ラゲッジの素材がアウトドア向きではありませんが)
ただ、他のメーカーだったらこの居住性を確保しつつ、やっぱり全幅はもう少し小さくしてくるだろうなぁ・・・とは思いましたが。
その意味で、隣に置いてあったプレマシーのパッケージングの良さというものを改めて感じてしまうのでありました。
▲プレマシー
マツダとしては、CX-5がネイティブスカイアクティブ第一弾ということで、異なるカテゴリ、サイズのクルマ(たとえばコンパクトだったりミニバンだったり)から乗り換えてもらいたいという目論見は少なからずあると思うんですが、心理的にこの大きさは異なるカテゴリからの乗り換えを促すにはかなり厳しいという印象を受けました。
酷な言い方をすると、スカイアクティブである事以外はデメリットの塊のようなクルマでありまして。
もちろんこのサイズを求める層がいるのは間違いなく、彼らにとってはドンピシャなクルマではあるのですが、問題はその絶対数の少なさであります。
つまり、
「最初からCX-5が欲しいと思う人しかCX-5を買わない」
ということなのであります。
その意味で、月販1000台という国内の販売目標は妥当、というかこれでもかなり期待値が高めなんじゃないかなぁ、と思いますた。
そのために、ディーゼルを前面に押し出したプレスリリースを出したのかもしれませんね。
欧州で日産のキャシュカイ(デュアリス)が火をつけたコンパクトクロスオーバーの市場ですが、既にそこには多くの競合がひしめきあっており、主戦場はさらにその下に移りつつあります。
しかもそこではやはり日産がJUKEで市場に火をつけており、3月のジュネーブショーでもフォロアーが山ほど出てきます。
どちらかというと日本においてもこの手の車種のニーズは、JUKEのクラスであります。
なので、マツダに求められるのはCX-3的なクルマではないかと思います。
JUKEより少し大きいサイズ=マツダ版キャシュカイが出てくればあるいは、という気がしないでもありません。
だからといってCX-5に失望したわけではありません。
おいらのニーズに合致していないだけの話でありまして、ニーズの合致する人をうまく掘り起こせば必ず支持を得られるクルマだと思います。
だからこそ、売り方が非常に重要になってくると思います。
なので、スカイアクティブテクノロジーを売るというのと、CX-5を売るというのは別の事として考えた上で、あんまし欲張らない方がいい気がしましたとさ。
ちなみに、マツダのショウルームは盛況でした。
現行型プリウスでやってきた、子育てを終えたぐらいの初老のおっちゃんが、興味深そうにCX-5をあれこれと眺めているという光景も目にしました。
単なる燃費ヲタか、新しモノ好きな感じにも見受けられましたが、一応こんな事例もありましたってことは報告しておきます。
この記事へのコメント
k100rskai
土曜日にCX-5を見に行ってきました。
初めて実車を見て思ったのは、同じく「デカい!」ってことでした。
ショルダーラインが高く、それもかなり力強く張り出しているせいかなぁとも思いましたけど。
四国のとある営業所で、実車(試乗車兼用)は1台。試乗車はガソリン車とのこと・・・と言うか、まだガソリン車しかないとのことでした(Dは3月からだそう)。
試乗希望者がボードにズラッと書かれており、注目度は結構高いようですが、殆どの人がディーゼル目当てだったようです。私もディーゼルに乗ってみたかったのですけど・・・。
時間もなく試乗はしませんでしたが、駐車中の実車には乗り込んでみました。
前席はかなり大きくシートバックがかなり柔らかく感じましたが、後席はかなり前後長が短いですね(ちょっとガッカリ)。
また時間を見て試乗しに行きたいとは思っております。
かつてのマツダ車の如く、発売当初だけかなり売れて、その後は尻すぼみ・・・って事にならなければいいのですけど。まあ、CX-5は息長く売れるカテゴリーの車ではないかな。
しかし、あのカラーバリエーションは、初代ロードスターを思い出してしまいました(笑)
海鮮丼太郎
ディーゼルが3月って話はこちらのディーラーでも営業マンが申し訳なさそうに言っておりました。
発売を前倒ししたなんて話もあるようなので仕方が無い部分もありますよね。
CR-Vとも競合する感じではあるようですが、いずれも月販台数が少ない車種なので、どう推移していくか気になるところであります。
カラーバリエーションは確かにロードスターっぽいっすねw
海鮮丼太郎
"でも"はいったいどこに掛かってるんでしょうか?
仰りたい意味がつかみ兼ねますが。
海鮮丼太郎
色々書いたエントリーを最後までご覧頂きありがとうございます。
最後まで読んでいながらその読解力の無さが悔やまれますねw
とっぴん
マツダがお嫌いなのですか?。
私は、トヨタ車に長年乗り続け、前車で初めてスバル車に乗り、本当のところ乗らないだろうと思っていたマツダ車を購入しました。
マツダファン以外の人も買うから、SUVでNo1.になったのじゃないのかな。
SUVという車種は、好き嫌いがはっきり分かれるもの。
「こうあるべき」などと書くより、「私はココが嫌い」と書くほうがスッキリすると思いますよ。
海鮮丼太郎
コメントありがとうございます。
当BLOGのマツダ関連のエントリーをご覧頂ければ理解できるかと思われますが、むしろ当方はマツダに対しては非常に好意的な書き方をしております。
叱咤もありますが、それは激励とセットを心がけて書いていますし、世間がマツダに冷たい視線を送ってた一連の初代アテンザの発売までの苦労については、むしろ最大限に声を上げて応援をしてきました。
また、CX-5関連のエントリーの推移を見てもらえばわかるとおり、当方も条件が整えばCX-5を買う気満々でした。
一般の方が入れないテストコースでCX-5のディーゼルを全開走行する体験にも参加し、そのポテンシャルはじゅうぶん理解していますし、評価が高いことも未だ変わりません。
ただし。
日本市場には日本市場に適した条件というのが存在します。
特に都市部のおいて顕著なのが、ボディサイズです。
立体駐車場の制限は言うに及ばず、公共パーキングや一軒家の駐車場でも1800mmの制限を想定したつくりになっているところは多いのです。
赤坂の高級住宅街の駐車場でさえ、1800mm幅制限がまだあったりするわけです。
なぜBMWの3シリーズがわざわざ日本市場のためだけに幅を1800mmに抑えてきているのか。
この一例だけでも、その意味は理解いただけると思います。
5ナンバー信仰はさすがに消滅しましたが、未だに1800mmというのは根強く日本のインフラにおける制限として残っているわけです。
そうした日本のインフラ状況において、1840mmというC/Dセグメントで登場したCX-5は、日本におけるボリュームゾーンであるCセグメント(1800mm)に収まる範囲を、「海外での販売を重視するため」に外さざるを得ないという決断をしたわけです。
その点について、日本の消費者として残念に思うと声を上げることがそんなにおかしく、恣意的なことでしょうかね?
あえて修正はしませんが、あまりにCX-5に期待し過ぎたために、期待を裏切られた感が文面に表れている部分があるのは否定しません。
まぁ、このエントリーだけを読んで不快感を感じる人がいても不思議ではない書き方ですが、そもそも当BLOGは好き嫌いを単に主張するようなBLOGではありません。
むしろ、当方の目線においてあるべき姿の提言をしていきたいと考えておりますので、よろしければ他のエントリーにもお目通しいただければと思います。
ちなみに、当BLOGはマツダを始めとして多くのクルマ関連のメーカーの方にもご覧頂いております。