渋滞学ってなんだ?

日曜日の朝のTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」を聴いていたら、ゲストにおもしろい人が出ていた。
西成活裕という、東大工学部で『渋滞学』という学問を研究している人だという。
もともと数学を専攻していたそうだが、「数学なんて世の中の役に立たないじゃない」という指摘が元で、渋滞を数学的に解析し、その原因と対策を学問にしたのが渋滞学、なんだそうな。
渋滞学という書籍が出ているとのことで、現在アマゾン様から取り寄せ中。


高速道路の渋滞は何故発生するのか?
事故渋滞を除くと、自然渋滞と呼ばれるものの大半の原因は、上り坂による速度低下が関係していることは以前より知られていた。
長く続く上り坂に差し掛かった場合、人間は今までの平坦な勾配と同じようにアクセルを踏んでいるため、平均速度が低下する。
後続は、この速度低下に合わせてスピードを落とし、その後続はその減速を見てブレーキを掛ける。
ブレーキを掛ける奴が増えると、その後ろは断続的な渋滞が発生する、と。

これを解消するのは簡単なこと。車線を増やせばいい。
実際、東名高速は、以前渋滞の名所だった綾瀬バス停付近の車線拡充が終わったことで、この一帯の渋滞はほとんどなくなり、今度はより東京寄りの大和トンネルが渋滞の名所となってしまった、ということなのだそうな。

しかし、車線を増やすといっても限度があるわけで、ドライバーの運転で渋滞を無くす努力をするしかない。
とはいっても、これもやるべきことは実に簡単。無駄なブレーキを踏まなければいいことだ。
渋滞の原因はブレーキの連鎖が引き起こすというのは上記の通りだが、車間を十分に取って、必要な場合はまずアクセルから足を離してエンジンブレーキを使って速度を調節するようにすれば、たとえ断続的な渋滞になったとしても、停止してしまうほどの混雑にはならない、ということか。


一般道での渋滞の原因はもちろん信号だ。
前後の信号の連携が悪く渋滞するような場所は全国各地に存在するが、そもそも赤信号で停止することで行列ができても、青信号になって皆が一斉に再スタートを切れればそれほど渋滞は発生しないはずだ。
しかし、実際は人間が判断するわけだから、どうしても一斉に動くことはできない。
調査では、赤信号で停止した状態から青信号で再発進まで、最短でも1.5秒は掛かるんだそうな。
これは世界的に見てもほぼ同じぐらいで、人間の反応速度がこんなもんだということなんだろう。
ってことは、自分の前に10台のクルマが居たとすれば、自分が動き始めることができるのは15秒後になる、ということだ。
これを理解しておけば、信号待ちのイライラも少しは軽減できるんじゃないか、という話。
確かに、そう考えると次の信号で自分が通過できるかどうかの予測を立てたりすることもできる。

余談だが、プーケットで見た信号機は、それぞれの信号の色があと何秒で変わるか、残り時間をカウントダウンする表示がセットでついていた。
実はこれ、非常にわかりやすく合理的な信号だという気がした。
いつ変わるのか、どのぐらい待たされるのか。
これが目に見えて理解できれば、たとえ渋滞していてもイライラは軽減できるし、先の再スタートまで1.5秒という数字と併せて知識として持っていれば、皆焦って交差点に侵入しての事故も減るだろう。
なんで日本はこういうのを導入しないかね?

ってことで、渋滞学によって、渋滞のメカニズムと解決方法の理論的な解明は進んでいるそうだ。
つまり、渋滞を解消するための答えは見つかっている、と。
あとは実践あるのみ。
ただ、その実践をするためには国を動かさなければならず、しかも役所がいくつも関わってくるから大変なんだそうな。
結局、国がタコだから渋滞も減らない、ということのないように。
とりあえず、渋滞学にこれからも期待だ。

ついでだが、渋滞学というのは単に交通渋滞だけを研究しているわけではなく、人の混雑をどう無くすかとか、体内の血液の停滞をどうやって防ぐかといった、ありとあらゆる意味での流れが滞る理由を研究する学問なのだそうな。
だから逆に、お店に行列を作る方法なんていうのも研究の対象になるんだって。
なんかおもしろいね。
 

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