ネイティブスカイアクティブであるところのCX-5が正式発表になりまして。
新型クロスオーバーSUV「マツダCX-5」を発売
-「SKYACTIV技術」を全面採用、クリーンディーゼル車はすべてのSUVの中でトップの燃費性能-
今まで追ってきた情報から大きな変更はないので、ちょっとプレスリリースの出し方に注目してみましょうかね。
プレスリリースというのは要約でアピールしたいキーワードを、記事として取り扱いやすいようなトピックとして散りばめておくわけです。
新聞や各種媒体はこのプレスリリース(および独自取材による+α)を加えて記事を書くわけですから、伝えたいことをきちんと盛り込むのが非常に大切であるわけです。
CX-5についての最も重要なトピックは、デミオ、アクセラがスカイアクティブテクノロジーの一部採用だったのに対し、CX-5ではすべてのテクノロジーを投入した始めてのクルマという点があるわけで、その結果として優れた環境性能と高い走行性能というアピールポイントが続くわけです。本来は。
しかし、リリースの書き方を見るとちょっと意外な感じを受けました。
前面に出してきたキーワードは「スカイアクティブテクノロジー」と「ディーゼル」の2点なんですよね。
エンジンラインナップの紹介もディーゼルが先、ガソリンエンジンが後。
価格表も商品概要も、ディーゼルの説明が先、ガソリンエンジンが後。
(普通価格表は値段の安い順に書いていくのが慣例)
マツダはディーゼルエンジンを徹底的にアピールすることで、第3のエコカーなどと呼ばれる状況から一歩踏み出そうという欲を出しているように思えます。
逆に言うと、ガソリンエンジン仕様の16.0km/Lという数値が、SUVとしては優秀ではあるものの、ハイブリッドなどと比較されると地味な印象を受けるため、あえてディーゼルを前面に押し出したんだろうなぁ、などという気もします。
環境性能っていうのは経済的というキーワードともセットで語られるわけで、ガソリンエンジン仕様の最廉価グレードとディーゼル仕様の価格差が53万円もあるわけですが、果たしてこれはアピールとして一般の消費者に届くのでしょうか?
恐らく売れ筋はガソリンエンジンの20Sあたりがメインになると思うんですが、月販1000台、年販12000台が目標(対して全世界では16万台目標)は、あまり国内で無理をするつもりは無いという宣言なんでしょうね。
恐らく、乗って悪いクルマではないと思います。
しかしその魅力はいわゆる通にしかわかりにくいという側面を持っていると思われ、良くも悪くもいつものマツダ車らしいね、って話になりそうな気がしてなりません。
SUVっていうのはある程度目的が明確な人が選ぶクルマであり、彼らのニーズをどれだけ満たすことができるか、またどれだけ彼らの興味にリーチできるのか。
「だったらお前、何かアイディア考えてみろ!」
って言われると、正直具体的なプランがあんまし思いつきません。
・ディーゼル&MT仕様を出す
・JUKE-Rと対抗できるようなバカ仕様デモカーを作ってネットで煽る
・ディーゼルの1週間貸し出し試乗を実施する
・レンタカー&カーシェアリングと組んで手軽に体験できる環境を整える
・欧州仕様をそのまま発売する
欲しい人が買うカテゴリである以上、欲しい仕様を用意してあげるしかないでしょう。
ソーシャルコミュニティに関して言えば、ハチロク&BRZというエサが撒かれてしまったせいで、自称クルマ好きな人たちの興味があちらに向いていることから、CX-5への興味がスポイルされている点も気になるところでありまして、国内についてはじっくり育てていくぐらいのロングスパンで考えておいた方がいいかと思います。
そのためには段階的なテコ入れ策を今のうちからしっかり仕込んでおき、タイミングよく投入することが重要になってくるわけです。
インサイトがプリウスより想定で30万円安い!って出したら、トヨタがガチで対抗してきてその後まったく対策が打てずに撃沈してしまった事例があるわけで、「戦うべきは世間の無関心」というところを、2nd、3rdインパクトをどのように仕掛けていくか。
いっそのこと、海外での評価を高めてしまえば、ブランド進行の強い一部の層を後から取り込むことも可能なので、主戦場である欧州、北米でのマーケティングに注力する方が巡り巡って得策かもしれませんね。
とりあえずスタートはこれでいいと思います。
これからの施策に注目します。
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