マツダ、日本市場に新世代クリーンディーゼル車を投入
-第1弾は新型クロスオーバーSUV「マツダ CX-5」-
ということで、発表になりました国内へのクリーンディーゼル導入。
SKYACTIVエンジンについては、世界初の圧縮比14.0を実現したことと、NOxの後処理システムを必要とせずに世界の排ガス規制をクリアすることができるため、製造コストを安く抑えることができる。
ある意味、日本がハイブリッドに続いて世界にチャレンジする数少ない事例として、特に基幹部品であるSKYACTIVエンジンには大きな期待を寄せている。
ただし。
CX-5のデーゼル仕様のJC08モード燃費が18.6km/Lというのは、思っていたほど燃費が伸びていない印象を受ける。
ガソリンエンジンの欧州複合モード燃費は16.8km/Lと公表されていたから、欧州複合モードより高い数値が出やすいJC08モード燃費が18.6km/Lぐらいなんじゃねーの?って予測をしていた。
ディーゼルに関してはガソリンエンジンに比べて約3割の燃費改善(プレスリリースより)ということなので、ディーゼルに関しては最低でも20.0km/L以上を出してくるものと思っていた。
クリーンディーゼルは環境性能に優れているだけでなく、燃費が良いという理由で選ばれる側面があることから、正直言うとスペックの上では燃費をアピールできる要素ではなくなってしまった。
(それでもSUVクラス最高の燃費という事実はスゴいことなのだが・・・)
もちろんカタログ燃費至上主義ではないので、実燃費および走りやすさという点がもっとも重要なのは理解しているし、ディーゼルならではのトルクを活かした乗り味には大いに期待している。
ただし、消費者がハイブリッドではなく、EVでもなく、ディーゼルを選ぶためのモチベーションとしては、わかりやすいアピール要素が必要になる。
たとえばデミオのように(10・15モードというズルはあったが)30.0km/Lというのは、インパクトの面でもわかりやすいアピール要素だった。
マツダの戦略としてネイティブなSKYACTIVエンジンは2.0Lあたりを中心としたラインナップを主力として考えているようで、小排気量のディーゼルエンジンの投入は現実的に厳しいと考えざるを得ない。
あまり意味の無い仮定の話だが、例えばガソリンエンジンで30km/Lの燃費を叩き出したデミオが、ディーゼルだったら更にどこまで燃費は伸びたんだろう?などと考えてもみたくなるわけだ。
燃費というポイントでは、来月にいよいよトヨタのプリウスPHVが登場してくる。
価格帯もカテゴリもまったく異なるクルマだが、燃費という点でさらにインパクトを与える存在になることは間違いない。
ハイブリッドに対するアンチテーゼとしてのSKYACTIVの魅力が、また少し薄れる事態が目の前に迫っている。
つまり、マツダはSKYACTIV-Dというディーゼルエンジンを、燃費スペシャルという武器としては使わない方針で腹を括ったと考えられる。
勝負すべきはクルマ本来の魅力としての商品性、というわけだ。
今回はCX-5への搭載の発表であるが、今後他の車種(同時に発表された次期アテンザなど)への採用も進んでいくことだろう。
その中で“突出した燃費ではない”ものの、維持費が安く、走行性能に優れ、環境性能にも優れたディーゼルという選択肢をどのようにアピールしていくのか。
SKYACTIV-Dには是非とも頑張ってもらいたい。
おそらくこの成否をいろんなメーカーが注目するはずだ。
というのも、マツダにはディーゼル戦略でコケてもらって欲しくないからだ。
欧州でディーゼルを展開している輸入車メーカーが、国産メーカーがディーゼルエンジンを展開することで消費者の心理的な嫌悪感を取り除くことと、燃費に対する関心を喚起してくれることを期待している。
環境が整えば、満を持してディーゼル仕様の日本への投入を行うことが出来る。
ある意味、国産メーカーに露払いをしてもらいたいという思惑があるわけだ。
しかしそのことが悪いとは思わない。
今の日本に必要なのは、ディーゼルという選択肢があるということを根付かせることが重要であり、そのために各車からいろんなディーゼルラインナップが揃うことで、相乗効果を狙った方がいいからだ。
その辺の話は過去にも書いてた。
特にVWとPSAが動けば、国内のディーゼル市場はそれなりの活気を取り戻すことも可能だろう。
内外メーカー共同でディーゼルを一つの勢力として構築できれば、ハイブリッド、EV、高効率ガソリンエンジンに加えて、「第4のエコカーw」なんて皮肉を交えたアピールもできるじゃないか、と。
そのための世論形成のために、ボッシュあたりに旗振らせて、そろそろ本気でスキーム作ってロビー活動から大衆向けのティザーでもやってみたらどうだい?
幸いにして、日経TRENDYあたりは昨今の環境性能に優れたクルマ特集でSKYACTIVを一押しするぐらいの対応はしているわけじゃないか。(そう書かせるためにいくら使ったかは知らんけど)
その流れを利用してディーゼルをアピールするキャンペーンを張るぐらい、大した手間とExtraCostも掛からないでしょw
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