VW、スズキ子会社化の可能性…独誌
独誌シュピーゲルは18日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が、スズキへの出資比率(19・9%)を引き上げて子会社化する可能性があると報じた。
VW首脳が、「スズキ買収の可能性を排除しない」と発言したとしている。
同誌によると、両社は提携時に、VWがスズキの同意なしに出資比率を引き上げないことで合意した。しかし、スズキが提携解消を決めたことで、この合意は無効になったと判断できるという。VWはスズキをグループ内の小型車事業の拠点として位置づける。
両社は2009年、資本・業務提携を結んだが、「対等な関係」を求めるスズキと、筆頭株主として主導権を握りたいVWの思惑の違いから関係が悪化し、スズキが12日、資本・業務提携を解消することを決めた。
いよいよ第二幕の始まりですな。しかも、かなり辛辣な。
まぁ、記事を全面的に信頼するつもりもないですし、VWも振り上げた拳の降ろしどころを模索している段階でしょうから、適当に距離をとってやり過ごし、スズキ株を買い取ることで手打ち、なんてオチが付けば両者のダメージが最小限で済むんじゃないかと思うわけですが。
それにしても。
個人的にスズキの最大のリスクは、鈴木修社長兼会長の存在であると思っております。
その舵取りについては多少の迷走はあったものの、ここまでスズキという会社を大きくした事からも賞賛すべき偉大な経営者であることは事実なわけです。
ただし、ご本人も認めているように後継者への世代交代が進んでいないことが、事態を深刻なものにしていると思うわけです。
(いろいろと不幸な事案があったのが原因でもあるのですが…)
国内事情はさておき、スズキにとって海外展開をどのように回していくのかという点がもっとも重要であり、そこでの活路を見出す目的でVWとの資本提携に臨んだわけですが、結果としてその思惑通りには行かなかった、と。
この点についてのスズキ側の主張も理解できなくはないですが、なにも突然資本提携に踏み切ったわけでもなく、事前交渉から予め互いの腹の探りあいをしてきたわけだから、結局のところ思ったとおりの成果を出せなかったという点について、修会長兼社長に責任がまったくなかったという訳にはいかないでしょう。
また、スズキという企業は情報発信があまりうまい企業ではないというのも、この際は統制が取れているというよりは株主対策という点でリスク材料になり得りえるのではないでしょうかね。
グローバル展開や環境対応など、策を講じてないわけじゃないのに、それが表面化するのにずいぶんと時間が掛かっております。
もちろん何でもかんでも情報開示すりゃいいってもんじゃないですけど、将来的なビジョンを語ることで株主の安定的な支持を取り付けることも、敵対的買収を防ぐ意味では大切な戦略なのは言うまでもありません。
特にスズキはハイブリッドやEV、そして第3のエコカーwと言われる内燃機関の効率化への取り組みがどの程度のものなのか。
目立った技術的なアピールはあまりお目にかからないのは非常に気になるところです。
もう一点、グローバル展開についても、インドでの成功など素晴らしい実績があるものの、今後の舵取りは副社長四人衆が主導していかねばならず、また今回の件でVWを敵に回しての立ち回りが必要になるだけに、早めに後継体制で事業を回していける体制にしないといかんと思うわけですよ。
修社長兼会長には、早めにアドバイザー的な立場に退いてもらうことこそが、スズキにとって必要なことだと思うわけです。
おいらだって本音を言えば修社長兼会長が死ぬまでスズキの指揮をとっているところを見続けていたいですけど、世の中はもうそれを許容できる状況ではないと思うんですね。
引き際の見せ方もまた、優れた経営者の手腕の一部ですから。
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