アフターサービス満足度を掘り下げてみる(2)

 
 
アフターサービス満足度を掘り下げてみる(1)

プジョーさん、アフターサービス満足度まさかの最下位

とまぁ、アフターサービス満足度に関するエントリーを書いてきたわけだが、今回でとりあえず終了。

前回までは満足度をランキング形式で見てきたわけだが、もうひとつ重要な視点がある。
それは、満足度の中身だ。
これをグラフ化したのがこの画像になる。

afterservice_ranking_2007-2011_sisu.jpg
▲クリックで拡大

ランキングを形成する根拠となったこの満足度指数の数値だが、5年間の推移で見てみると意外な部分が見えてくる。

 ・全体的に2008年に大きく数字を下げて、そこからだんだん復調傾向
 ・今年評価が急激に良くなっているのは富士重とアウディとプジョー
 ・今年評価が急激に下がっているのはレクサスとVWとボルボとメルセデス
 ・レクサスは歴代1位ではあるものの、満足度は下がっている
 ・BMWが毎年評価を下げ続けている
 ・最下位とはいいつつ実はプジョーは評価を上げてきている
 ・2007年に調査対象だったルノーは12.5とダントツの最下位


他にもいろいろあるが、レクサスが70ポイント近くを獲得している以外は、40~60ポイントの間にひしめきあっている状況があるわけだ。

前回にも指摘したとおり、高級ブランドの中で評価を下げているメルセデスとBMWについては、5年間の推移を見てもわかるとおり一過性の問題ではないことがわかる。
このあたりの数字をアウディがおいしく戴いている感があるだけに、満足度改善の施策は急を要する話になるだろう。


もうひとつ、関連する数字があるので載せておこう。
2011年の満足度指数を構成している回答者数と、そのブランドの再購入意向だ。

afterservice_ranking_2011shosai.jpg

回答者数は文字通り2万人の中からこのブランドに対する評価を行った人数ということになる。
当然のことながら母数が一番大きいトヨタが約1400名、続いてホンダがその半分の約700名、約600名の日産と続く。
日本におけるビッグ3に回答が集中するのは当然のことだが、これ以降は回答者がぐっと減少する。

実はこのアンケートで見えない要素として、対象者2万人のうち、当該ブランドを所有している者が必ずしも全員回答しているわけではない、という点も結果にバイアスを与える可能性があり要注意だ。
こうしたアンケートに熱心に回答するのは、よほどそのブランドに思い入れがあるか、よほど嫌な思いをしているかの両極端だったりする。
結果として極端な評価に繋がりやすいという点には注意が必要だろう。


わかりやすいので再び例に挙げるが、BMWとメルセデスはここ数年ほぼ同じぐらいの台数を販売しているわけだが、アンケートの回答者数には倍近い差が出ている。

前回のエントリーで書いたとおり、アンケート回答者の属性が一部インテリ層に偏っていることもあり、ITリテラシーの低いメルセデスオーナーの回答者が少ない傾向が出てるんじゃないか、なんて邪推も成り立つ。

もう少し見ていくと、トップのレクサスの満足度については、たかが66人の意見の結果でしかなく、最下位のプジョーについても同じく33人の意見の結果でしかないわけだ。

別にプジョーを擁護するつもりもなく、つまらないトラブルが出ることを否定もしないが、サンプルとしてはあまりに数が少ない気がしないでもない。

まぁ、30人以上の回答者を対象にするという調査基準があるから、まぁこれはこういうものだと言うことにしておくが、回答者が4人少なければプジョーはこの集計対象から外れ、大々的にアフターサービス満足度のワーストなどと報道されることもなかったであろうことを考えると、涙を禁じずにはいられない。
 

だがしかし。
もうひとつの数値である、再購入意向を見てみよう。
アフターサービスが不満であれば、当然次にこのブランドを改めて購入しようという気持ちは大きく減退する。
つまり、本来であれば満足度が高ければ再購入意向も高いと思いがちだ。
しかし、結果は必ずしも同じではない。
再購入意向の高い順に並べ替えるとこうなる。

afterservice_ranking_2011rebuy.jpg

再購入意向のトップはトヨタの77.3%、次点のホンダは74.2%、レクサスは73.9%で3位に着いている。まぁ僅差ではあるわけだが。
これを見ると、クルマがつまらないと言われるトヨタも、しっかり消費者の支持を得ていると言える。

最下位は意外にもスズキ。
軽自動車は全般的にディーラーの規模が小さく、また地域の業販店から購入するケースも多いので、アフターサービスについてはいろいろと問題が起こる可能性がある。しかし競合しているダイハツの評価は高いことから、スズキ特有の問題があるのかもしれない。

そしてここではブービーになったプジョーでも、再購入意向は半分以上の54.3%もいるわけであって、この数値がある意味一番そのブランドに対する正直な評価なのではないか?という気にさせられる。

つまり問題はあるものの、半数以上の人が次もプジョーを選んでも良いと考えているわけだ。
しかも全般的に高い数値を見せていることから、なんだかんだ言いながら実はみんな結構満足してるんじゃねーの?とか思ったりする。


つまり何が言いたいのかというと、明確なオチがなくてどうしよう?ってことだ。
強いてあげるなら、最初のエントリーでベストとワーストを論ったサマリーだけ見て一喜一憂するのは、じつは底の浅い話であってちっとも生産的じゃないですよ、と。
その中身の方が大事であって、たった5年間の集計からだけでもいろんなものが見えてきますよ、ってことが言いたかったわけだ。
 
おぉ、なんか落としどころがそれっぽい。
以上、データ収集に1000円(日経ビジネスの雑誌と記事ダウンロード購入)近くを費やして得た結論でありましたとさ。

なんかBLOG書くために赤字になって、おいらはいったい何をやってるんでしょうか?
 
 
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この記事へのコメント

  • これ、とても秀逸な分析ですね。
    ブランドごとのサンプル数にバラつきがあるので、標準偏差を用いて比較すれば有意性がより明確になりプジョーのランクがグッとあがるかも?
    国産車から乗換えたオーナーを除いた数値が見てみたいところです。

    2012年02月16日 08:31
  • 海鮮丼太郎

    コメントありがとうございます。
    興味本位で調べてみたら、いろいろと面白いことが見えてきて楽しかったです。

    書くのは結構苦労したんですけどねw

    いろんな切り口の満足度調査がありますが、プジョーさんの評価も実はそんなに悪くはないんじゃないかと思っております。

    一部、変なところもありますがw
    2012年02月17日 20:39

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