ガンプラの例を出すまでもなく、プラモデルを始めとした模型工作がここまで国民的な趣味として定着している国も珍しいんじゃないでしょうか。
プラモデルが入口だとすると、そこから先にはありとあらゆる世界が広がっているわけで、そんな最先端かつ先鋭的な世界の見本市ともいえるイベントが、毎年夏と冬に開催されているワンダーフェスティバルであったりするわけです。
で、このイベントに合わせてさまざまな企業、個人が己の自信作をアピールするために出展してくるわけでして、幕張メッセの2ホールを使った会場は、毎年ものすごい熱気と人で賑わうわけであります。
そんなわけで、昨年は会場をビッグサイトと間違えるというポカをやらかしたものの、今年は滞りなく会場に到着。昼の時点でメッセ駐車場がほぼ満車、一番遠い場所に停めさせられたことからも、このイベントにどれだけの人が来ているかは想像が付くというものであります。
入場するまでに軽く20分は歩かされるこのホスピタリティ。痺れます。
なんだかんだで年に1度は来ているような気がするのだが、目的はどちらかというと静岡からやってくるイケメン造型師兼企画屋のいる会社のブースに顔を出すというのが恒例になっておりまして。
しかし、今回のブース展示は事前の情報がボカされていたのでなにやら不穏な空気を感じずにはいられなかったので、わざわざ行くほどのこともないかな?とかちょっとだけ思ったりもしたのは内緒の話。
しかしそれを察したらしく、ワンフェス直前になにやら意味不明の写真付怪文書を送りつけてくるという念の入れよう。
さすがネタの仕込みに余念がないと思ったら、ごにょごにょであります。
さて、話を本題に戻ります。
例のガンプミッションではないところの、ソルバルウ 3機合体の件ですね。
詳細は会場で発表ということで、何が発表になったのかというとこういうことでした。
■商品概要
商品名 ゼビウス ソルバルウ3機合体セット
作品名 ゼビウス ファードラウト伝説
受注開始日 2011年 8月25日(木)
申込締切日 2011年 9月24日(木)
発送時期 11月上旬より順次出荷開始
価格 13,440円 (税込・送料別)
原型製作 伊世谷 大士
対象年齢 15歳以上
発売元 有限会社 RCベルグ
生産国 日本
(C) NBGI
8月25日発売の電撃ホビーマガジンでの2ページにわたって特集掲載ならびに電撃ホビーWEBで受注を開始するんだそうです。
なにやらいろいろと大事になってきましたな。
ブースには実際の商品とキットの構成パーツが展示されておりましたが、まず一番に目に付くのが「細かなディテールへのこだわり」と、「カラーレジンキットとしてのパーツ構成の緻密さ」ですかね。
ガンプミ・・・くどいですね。
3機合体については、1/48スケールでナムコ自身が発売したソフトビニールモデルキット「スーパーゼビウス 3機合体セット(これが正式名称)」を参考に、RC BERGにて過去に発売された1/144スケールソルバルウとのマッチングも含めてデザインを起こしたんだそうです。
▲当時のソフトビニールモデルキット
もちろん3機合体とか書いてあるわけですから、合体、分離ができるようになっていなければならず、そのあたりの造りこみをどうするかというのは、原型師である伊世谷氏の腕の見せ所でしょう。
合体させる際には
もう一点注目すべき点。
この製品が、ガレージキットではなくカラーレジンキットでの発売である、ということ。
おいらみたいに塗装の腕が無い人間にとっては、ガレージキットを買っても塗装して組み上げるというところまでなかなか出来ないので、カラーレジンキットというのは非常にありがたいわけであります。
(以前発売された1/144ソルバルウも、実はイケメン造型師兼企画屋につくってもらった)
模型工作の趣味が広がっているとはいえ、フィギュア的な興味(作る工程ではなく、完成形を飾って楽しむ)で欲しいと思う人もかなりの数いるわけですが、ガレージキットではそうした層を取り込むことが難しい局面もあるわけです。
皆が皆、ガレージキット制作のテクニックを持っているわけでもないですから。
それに対する回答が、カラーレジンキットであるわけです。
カラーレジンキットは、色の異なるパーツ単位で成型されており、それらを組み上げればカラフルな完成品になりますよ、というのが特徴なわけです。
つまり、最近のガンプラに見られる塗装いらずのプラモデルに近いコンセプトなわけですな。
これであれば、塗装というハードルがなくなる分、フィギュア的な趣味の人でも手が出しやすいということで、より多くの人に買ってもらえる可能性が高まる、とこういう話なわけです。
とはいえ、カラーレジンキットの商品を開発するというのは、単色素材のガレージキットに比べてはるかに手間の掛かる作業なわけです。
単色素材のガレージキットは、組み上げればモデルが完成するように各パーツを設計すればいいだけですが、カラーレジンキットというのはそれに加えて、パーツを構成するカラー毎に分割してパーツを設計しなければなりません。
それでもある程度の大きさのキットであればカラーレジンキット化はそれほど難しくないらしいのですが、今回の3機合体については1/144というスケールなわけです。
ソルバルウ単機を例にすると10cmにも満たないサイズなので、このスケールのカラーレジンキットを3機分、しかも精密なディテールで実現するというのは、実は世界初に近い試み(誇張なし)だったりするわけです。
たまたまブースにいた原型師の伊世谷氏は多くは語りませんでしたが、「出来上がった製品をこそ見てもらいたい」とのことでありました。
“好きだから”という情念と、飽くなきカタチへのこだわりを強く感じた次第です。
一般的なプラモデル感覚で見れば、13,440円という値段は高いと思われるかもしれないけど、このクオリティでこの値段というのはむしろかなり良心的な価格設定をしてきたなぁと感心してしまいました。
オリジナル版ゼビウスが来年でいよいよ30周年を迎えるわけですが、そこから生まれたさまざまなストーリーとそれを織り成すキャラクターたち。
画面の中のドットで構成されていたキャラクターが、それに思い入れのある人々によって、こうしてカタチとなるってことは、結構すごい事なんだなぁ、という思いを新たにしたわけです。
もちろん、こんなものを本気で作るっていうのはけっこうアレな人たちだなぁ、とは思いますが。
リスペクトの意味も込めて、そしてソフビ版3機合体を購入できなかった恨みを晴らすべく、おいらも予約を入れることにしますよ。
受付は1ヶ月先の話だけどね。
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