http://kaisendon.seesaa.net/article/398181937.html
クルマの開発において電子制御の要素が増えれば増えるほど、電気系トラブルの発生しやすくなるわけです。
How Shocking: Electrical Issues Plague Modern Cars
イギリスでの調査によると、年間のクルマの故障の中で電気系統の不具合が原因となっているケースは全体の27%にも達するとのお話。
しかもその確率は5年前に比べて17%も上昇しているとのことで、電子機器への依存が高まっている割に、その品質については満足いくものとは言い難い状況もあるようですな。
とはいえ、その故障発生にも傾向があるようであります。
ってことで、電気系故障発生ランキングを見ると、トップはルノーのメガーヌ(2代目)で、次点にはプジョーの607というフレンチツートップが着けております。
607に関しては、プジョーのフラッグシップだったわけですが、なにぶんこうしたクルマを作り慣れていなかったという事もあり、あちらこちらでトラブルが出てしまい、10年売ってた割に実績は芳しくありませんでした。
メガーヌについては基幹車種ということでそれなりに力を入れて開発したはずなのに、電気系の故障がここまで多かったということは、やはり設計に難があったということでしょうかね。
あの特徴的なお尻と共に、後世に語り継がれる不名誉な車種となってしまいました。
その他にもBMWのZ4、アウディA2、A3、A4コンバーチブル、ランドローバー、スマートロードスターといった車種が並ぶわけです。
ここから見えてくるのは、フレンチカーにおける電子機器の信頼性の低さと、ドイツ勢においてはスペシャリティの高い車種=電気系統が複雑化という構図から故障率につながっているという点でしょうか。
特にアウディの信頼性の低さが際立っていますな。
逆に同じグループであるVWがまったくランクインしていないのも注目です。
実用車としてのVWはアウディに比べて電子制御への依存度が低いということの現われとも言えますな。
まぁ、VWについてはDSGのトラブルなど別の懸念材料があったりもするわけですが。
それと、変態装備が多いシトロエンがランクインしておりません。
ハイドロ制御などあれこそトラブルの元になる爆弾を多く抱えていながら、アウディより故障が少ないっていうのはちょっと意外ではあります。
記事でも触れられていますが、日本車、韓国車はランキングに入っておらず、この辺りの品質管理という点では日本メーカーの信頼性は頭一つ抜け出ているところであります。
品質を維持しつつ、魅力あるクルマづくりを進めていけば、欧州勢に対してもじゅうぶん対抗していくことができるでしょうから、欧州市場を諦めるのはまだ早いと思いますよ。
そんなわけで、電子制御が増えれば故障も増えるということで、過剰な電装品の装着は考えものですよ、ってなお話でありました。
で、ここまでだと単なる海外記事の引用で終わってしまうので、日本における状況はどうなんだろう?ということでちょっと調べてみましたよ。
国土交通省のWEBにはクルマのリコール情報ならびに不具合情報を検索するページがありまして、ここをちょっと使ってみます。
まず、2010年1月~2011年6月までの1年半の間に、各輸入車メーカーの不具合情報件数を出してみましょうね。
順位 | メーカー | 2010年販売台数 | 不具合報告件数 | 発生率 |
1 | VW | 46704 | 227 | 0.49% |
2 | BMW | 32426 | 191 | 0.59% |
3 | Mercedes-Benz | 30920 | 190 | 0.61% |
4 | Audi | 16854 | 80 | 0.47% |
5 | BMW MINI | 11338 | 96 | 0.85% |
6 | Volvo | 7767 | 48 | 0.62% |
7 | Peugeot | 6021 | 65 | 1.08% |
8 | Fiat | 5562 | 26 | 0.47% |
9 | Porsche | 3335 | 28 | 0.84% |
10 | Renault | 2536 | 19 | 0.75% |
11 | Ford | 2507 | 16 | 0.64% |
12 | Citroen | 2402 | 15 | 0.62% |
13 | Jeep | 1877 | 6 | 0.32% |
14 | Alfa Romeo | 1816 | 40 | 2.20% |
15 | Jaguar | 1138 | 18 | 1.58% |
16 | smart | 1101 | 24 | 2.18% |
なお、順位は2010年販売ランキングに基づいて並べています。
発生率については2010年販売台数を不具合報告数で割った数値ですが、これは本来であれば現在国内に存在している総数から出さなければならない数値なのであくまでも参考値としてご覧下さい。
こうして見ると、上記イギリスの調査の傾向と必ずしも合致しているわけではありませんが、アルファロメオやスマートが2%を超えているというのは興味深いところです。
アルファロメオはイタフラ車の中でも不具合が多く発生する車種として有名ですし、スマートはあまりに独特な設計のため、考えられないような部分で故障が発生することも多かったりします。その影響があるんでしょうね。
逆に絶対数で見るとやはりVWの227件が目立ちますな。
まぁこれは今まで国内で販売してきた総数が多いだけに、故障発生率と必ずしもリンクしているわけではないと思われます。
ただし、DSG関係の不具合が目に付くのが気になるところです。
イギリスで事例の多かったアウディについては日本では80件ということで、不具合はあまり多く発生していない模様であります。
ただし、これはここ数年の間に急激に国内販売を伸ばしてきたのと、品質改善が成されてきたタイミングが合致したからという要因があるものと思われます。
同じくイギリスで不具合発生率でトップツーを貼っていたルノーとプジョーですが、日本においてはプジョーが1.08%と目立っておりますね。ルノーは0.75%ということですがどちらも比較的年式の古い車種のトラブル報告があるのが数字を押し上げる一因になっているようです。
国内でそれなりに歴史のある輸入車ブランドというのは、それだけ不具合報告も増えるということでしょうかね。
そんなわけで、不具合情報については面白そうなので、改めて細かく分析してみようかと思いますです。
この記事へのコメント
Kakiuchi Yasuhiro
大変貴重な情報を頂きました。大いに参考にさせて頂きます。有難うございました。