ピストン西沢さんには何の恨みもないですが。
で、試み自体を否定するつもりもまったくないんですよ。むしろ応援したいぐらい。
みんな良かれと思ってやってるわけですからね。
そんなわけで、先週金曜日の話ですけど、お台場のトヨタMEGA WEBで行われた、ピストン西沢さんが提唱する“みんなのモーターショー”のトークイベントを覗きに行ってきたんですけど・・・
こういうトークを面白いと思う一定数の人がいることは事実であり、そのことをまた否定するつもりもまったく無いんですよ。
ただ、ピストン西沢さんの訴える「モーターショーをおもしろくしようよ!」という提言が、個人的にまったくピンとこないのはどうしたものなんだろう?と考えてみたんです。
東京モーターショーの抱えている問題はいろいろあるわけですが、中でも消費者のクルマ(に対する興味)離れの問題と、国際的な影響力低下という問題が大きいわけです。
前者は来場者数の減少。後者は参加メーカーおよびワールドプレミアの減少という具体的な影響として現れているわけで、それに対してどういった対策を採っていくべきかという問題があるわけです。
ある意味国策レベルでなんとかしなきゃ、といった状況であるにも関わらず、あんまし運営当事者達の間で議論が盛り上がっているようにも見えません。
だからこそ、外部からモーターショーに対していろんなアプローチがあること自体は歓迎すべきことなんですけど。
ピストン西沢さんの活動も、そういったアプローチの一環であることは間違いないんですよね。
ただ、それが大勢にどういった影響を与えるのか?という視点で見た場合、その発想はあまりに限定的なんじゃないか、ということでありまして。
話はトークイベントに戻りますけど、正直言ってピストン西沢さんの話、おいらにとっては、おもしろくないんですよ。
高級車のあれがいいこれがいい系の話や、トラブル自慢、爆音立ててサーキットでドリフト云々といった話も、楽しいと思う人がいる一方で、おいらの琴線にはまったく触れないわけです。
一応クルマ好きを自負しているおいらではありますが、その興味の対象は自分の手の届く範囲の実用車が中心ということもあって、アンマッチが起こっているわけです。
これはどちらが良い悪いの話じゃなくて、明らかにピストン西沢さんとおいらのクラスタが異なるということなんですね。
クルマ好きとして知られるピストン西沢さんのクラスタは、やはりクルマ好きの集合体であり、良くも悪くもクルマ好きの結束を強める以外の効果は生み難いんじゃないかと思うわけです。
これはおいらがLOVECARS.jpにも危惧していることと同じなんだけど、結局は好きな者が限られたクラスタの中で騒いで終わり、という自己満足の域を出ないじゃないかと思うわけです。
モーターショーが抱えている問題は、それすなわちモーターショーに魅力がなくなったことで、一般の人々の来場が減ったということなわけでありまして。
コアな連中は放っておいても来場するので、取り組むべきは
(1)一般層へのアピール
(2)ほどほどのクルマ好きを呼び戻す
ということは明白なわけであります。
で、その視点で考えた場合、特に重要になるのは(1)であり、いろんなクラスタに向けてのアプローチがあれば、全体のパイを広げることに貢献できるんだろうと思うわけですが、ピストン西沢さんの取り組んでいる「みんなのモーターショー」って、例えば6月1日のゲリラUstreamを見てもわかるとおり、こんな感じの嗜好なわけです。
・その場でクルマを売るつまりこれは(2)のほどほどのクルマ好きを呼び戻すという発想なわけですね。
・土屋圭市の新しいドリフト競技「ドリフトマッスル」のデモ走行
・ステージを作って、みんモーのイベントをやる!
いやまぁ、ドリキンさんにも何の恨みもないんですが、果たしてこれで喜ぶのは誰なんでしょうね?という話なのであります。
ちなみに今年の自工会が行うテーマ事業は「SMART MOBILITY CITY 2011」でありまして。このあたりのギャップもまた味わい深いものがあります。いやはや。
以前どこかでも書いたけど、昨今のクルマが好きな人は必ずしもドリフトや大きなエンジン音が好きというわけではない時代です。
また、官能的なエンジン音とか言われても、耳をふさいで嫌な顔をする子供が多いことも事実なんです。
ピストン西沢さんのクラスタの中で一般層として新たにモーターショーへの興味を惹きつける可能性があるとしたら、GROOVE LINE Zのリスナーというクラスタが考えられるわけですが、それもかなり限定的にならざるを得ないんじゃないの?というところなわけであります。
個人的には、ピストン西沢さんはギャラクシー賞も受賞するなどすばらしいDJだと思ってますし、トークもキャラも立つ存在だと思っております。
また、知名度を生かした社会への影響力も持ち合わせている、クルマ関係者の中では(1)の一般層にアピールしやすいポジションにいる人だと思うわけですね。
そういうポジションの人が、「みんなのモーターショー」と銘打って活動する内容が、(2)のクルマ好きならびにクルマ関係者だけに限定されるような動きは、“もったいないなぁ”というのがおいら的見解なわけであります。
アンテナ感度の高いピストン西沢さんのことだからおいらに言われるまでもないだろうけど、(1)の一般層ではなくて(2)のクルマ好きを対象にこんな活動をしなければならないほどモーターショーの魅力が失われているんだという危惧の元に、あえてこういう動きをしているのかもしれませんけどね。
もうひとつ、みんなのモーターショーの取り組みで6月17日にXaCAR編集部でUstreamで放送されたダイジェスト版が上がっているのでちょっと目を通してみる。
生放送を見ていたのでダイジェストの編集が恣意的だなぁという気がしないでもないですが、調子のいい日産の広報担当は別格として、トヨタやホンダの広報担当とのやりとりを見ていると、どうもメーカー広報とピストン西沢さんの想いに温度差があるよなぁ、というのがひしひしと感じられるわけであります。
XaCARの城市編集長の思いや抱いている危機感などは非常に共感できる部分が多く、こうしてクルマに関わっている人たちの“なんとかしなければ”という想いは共通している部分が多いんだよなぁ、との思いを強くしました。
でも、それで出てくるアイディアがこれなのかい?
ってことで、モーターショーに対する外部からの取り組みとしては、クルマ好きの求心力としてピストン西沢さんと河口まなぶwithLOVECARSの連合が動くことになりそうなので、これはこれとして、一般層への取り組みを誰がやるんだろう?というところについてうぉちを続けていくことにしようかと思います。
個人的には超ロングパスにはなりますが、このアプローチができるのだから、文化系トークラジオLifeでひとつシンポジウムを仕掛けてみるのは、いろんなクラスタへのアプローチするひとつの方法としてアリなんじゃないかと思うわけです。
モーターショーにおいてこちら方面からのアプローチって、ぜんぜん弱いからねぇ。
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