東京モーターショーに出展することの意味

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ってことで、2011年の東京モーターショーの開催概要が発表されました。

これに伴い、出展する国内外のメーカーも確定したことになります。

2009年の時はリーマンショックの影響で輸入車メーカーが軒並み辞退するという非常事態であったわけですが、今年は状況も落ち着き、改めて日本市場に対してどのぐらい力を入れるべきか、という各社の思惑が思いっきり形となって現れた格好となります。

2010年順位メーカーTMS2011出展状況
1VW出展
2BMW出展
3Mercedes-Benz出展
4Audi出展
5BMW MINI出展
6Volvo×
7Peugeot出展
8Fiat×
9Porsche出展
10Renault×⇒出展
11Ford×
12Citroen出展
13Jeep×
14Alfa Romeo×
15Jaguar出展
16smart出展
17Chrysler×
18Land Rover
Range Rover
出展
19Dodge×
20Chevrolet×
21Cadillac×
22Ferrari×
23Lotus×
24Maserati×
25Hummer×
26BMW Alpina出展
27Bentley×
28Aston Martin×
29Hyundai×
30Rolls Royce×
31Lancia×
32Rover×
33Saab(PCI)出展
-AMG出展

※以下省略

これを見ればわかるとおり、販売ボリュームの少ない欧州メーカーの息切れが感じられます。
また、中国市場へのシフトを明言しているデトロイト3についても同様ですが、この辺は想定の範囲内というところでしょうか。


市場は徐々に持ち直してきたものの、3.11により今後の先行きがまったく見えなくなってしまった事で、日本市場に対する戦略を見直さざるを得ない事態になってしまったことは、止むを得ないことだと個人的には考えております。

東京モーターショーの出展に関しては、正式発表こそ無かったものの、当初は欧州各社が乗り気だという話も伝わってきていただけに、トップ10のメーカーの中でボルボとフィアットとルノーが、そしてステータスシンボルとしてのフェラーリが出展しないというのは、ある意味象徴的な出来事になったなぁと思うわけであります。
そして、当然ながら想定されるのは、これらのメーカーの今後の日本市場での展開が、決して積極的なものには成り得ないだろうということ。

逆にPSA(プジョー、シトロエン)がよく踏みとどまってくれたと思います。
上位にいるボルボや同じフレンチメーカーのルノーが出展を取りやめる中(訂正:ルノーは出展することになりました)よくぞ決断したものだと思います。

販売ボリューム的には非常に微妙なラインにいるPSAなだけに、今後の市場予測を考えた場合、良くて現状維持、悪くすれば日本撤退なんてことにもなりかねないと思っていたわけですが、こうして出展という形でアピールしてくれるということは、日本市場に対する無言のコミットメントでもあるわけです。

これはすなわち、プジョー・シトロエン車は今後も日本市場で安心して買って、乗っても大丈夫ですよ、ということを訴えているわけです。


残念ながら、これからの日本の輸入車市場は大幅に拡大することは当面ありえないでしょう。
我々の所得や生活環境についても、残念ながら3.11以前のように消費を謳歌するということも難しくなるでしょう。

それに伴い、選択肢が減るということも覚悟しなければなりません。

日本は世界中のメーカーのクルマを買うことの出来る、珍しい国でありました。
しかしそれは、過去形で語らねばならない時代がそう遠くないうちに訪れることになるかもしれません。

そうならないためにも、自分が欲しいと思うクルマがあり、少しの妥協で済むのであれば、今そのクルマを選ぶという選択も必要なのかもしれません。
失われてから嘆くよりも、可能性のあるうちに楽しむ方が建設的だと思うわけですね。

いや、別に強制するつもりはありません。
ただ、こういった可能性があるということも考慮しておきましょう、ということで。


さて、今年の東京モーターショーは国産車も輸入車も、どういったビジョンを掲げてくるのか非常に楽しみであります。

部品メーカーも含めて、そのメッセージをひとつひとつ吟味して、これからのクルマについて考える機会にするとしましょう。

ただ、今年はAJAJのジャーナリストによるツアーや、COTYとの連動はやらないみたいね。
2009年の取り組みは非常に有意義だと思っていたので、今年もやろうという機運にならなかったのはハッキリ言って失望しております。

(訂正:東京モーターショー会場でのCOTYの発表ならびにジャーナリストによるツアーは開催されることになりました)

クルマの魅力を伝えるための努力をする気がないということは、来場者数が少なくても文句はないということなのでしょう。

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