本日の映画:「ドライビング Miss デイジー」
本年5作目はまだまだ残ってる年末年始に撮り溜めしておいた作品の消化。
■「ドライビング Miss デイジー」
初見。
1989年の劇場公開当時の宣伝を見た限りでは、
「おばあちゃんが悪戦苦闘しながらも運転を楽しむ」
というコメディ映画だと勝手に思っており、当時母ちゃんが免許を取得したばかりでクルマの運転に苦労していたこともあったので、この映画のLDを買ってプレゼントしたことがある。
プレゼントをしておきながら、実はまったく観たことがない映画だった。
非常に評判の良い映画で、アカデミー賞を受賞したなんて話も聞いていたので、いつかじっくり観ようかな、などと思っていたら20年経っていた。
ということで感想なんですが、おいらが思っていたのとまったく違う映画でした。
●おいらが想像していた内容
「おばあちゃんが悪戦苦闘しながらも運転を楽しむ」
●本当の映画の内容
「運転できなくなったおばあちゃんと運転手の“老い”をテーマにした交流」
想像してたのと180度内容が違っていたことに衝撃を受けるとともに、老いていく主人公のおばあちゃんの描写と、心温まるものの決して明るくはない結末であることを知り、この映画を母親にプレゼントしたことを超絶的に後悔した。
これ観て、母ちゃんなんて思ったんだろうか…?
っていうか、予告編の作りがサギみたいなもんだよコレヽ(`Д´)ノ
で、映画そのものは淡々と1960年代のアトランタにおけるユダヤ系老人と黒人運転手の日常を描くものになっており、コメディというよりヒューマンドラマと言っていい内容だった。
ユダヤ系と黒人に対する根強い人種差別のあった時代背景をエピソードに盛り込みながらも「You are my best freiend.」という関係を築いていく様を丁寧に描いているところが、心に静かに響いてくる。
老いていく自分と、そして周りがそれをどう受け入れていくかという重いテーマに対して、なんら奇跡が起こるわけでもなく、介護施設で最後の時が来るのを待つというシチュエーションの中、何気ない会話で映画は幕を閉じる。
上記の母親へのプレゼントの件を思い返すとジタバタしたくなる衝動に駆られていたため余韻を楽しむことができなかったが、自分の中で大切にしたい映画の1本に加わったのは間違いない。
うちの母ちゃんもあれから20年経って、そろそろ映画と同じように老いを正面から受け入れなければならない年齢に差し掛かりつつある。
今後老いとどう付き合っていくのかという点も含めて、いろいろと考えさせる映画でありました。
しかしこの黒人運転手役のモーガンフリーマン、どこから見てもマンデラ大統領にしか見えないのは「インビクタス」のイメージがあまりにも強かったからかね。
「ドライビング Miss デイジー」で当時52歳なのに70歳の役どころを演じ、昨年の「インビクタス」でも同じような役どころを熱演している。
20年経っても同じクオリティで枯れた老人の演技が出来るこの役者はスゴいもんだな。
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