DiGRAの大会に行ってきた

DiGRA(日本デジタルゲーム学会)っちゅうもんがあるのは知っていたが、社会人やってるとなかなかこうしたものに接することもできないもんで、どういった活動をしているかなんてことも含めてよく知らんかったわけですが。

なんか年次大会をやるっつうので、興味本位で覗きに行ってきましたですよ。

前日までどんなプログラム(PDF)なのかをぜんぜんチェックしていなかったので、2日間にわたって開催されるものだとは思ってもおらず、スケジュール的に土曜日だけの参加になりますたが、終始頭がフル回転するほどいろんなことを考えさせられましたです。

ただ、部屋の空調が異様に低温に設定されてたため、鼎談終わった頃に体調が優れず、懇親会の金払ってたんだけどその前に帰ってしまいました。


率直な感想を言わせてもらうと、実践的なゲームの研究というのは日本ではまだまだ進んでないんだなぁ、という気がしますた。
ゲームを多方面から要素を抜き出して研究する動きは既存の学術研究でも事例があるわけですが、いざゲームを中心とした研究となると、まずそれを学べる環境が極めて少ないということもあり、なかなか研究人口が増えず、結果として研究が進まないという状況なのではないか、と。

それを改善するための環境作りがDiGRAの大きな役割だと解釈しますた。

で、今回の年次大会ではいろんな切り口で研究内容の発表があるわけですが、大きく分けて

「ゲームのいままで」と「ゲームのこれから」

に分類することができるかと思います。
現場として逼迫した研究テーマとしては「ゲームのこれから」なんでしょうが、個人的にきちんと研究しなければならないのは「ゲームのいままで」ではないかと思っております。
そんな「ゲームのいままで」に関する発表の目玉になったのは立命館大学のゲームアーカイブプロジェクトの取り組みと、岩谷徹(DiGRA理事にしてパックマンの生みの親)、西角友宏(インベーダーの生みの親)、石村繁一(ナムコハード設計の父にして元社長)お三方+遠藤雅伸(厨二)司会の鼎談でありまして。
そのレポートはいろんな人が記事にするので割愛するとして、個人的に思ったのは、アーカイブのフォーマットをきちんと確定し、すぐにでも保存活動とそのための資金集めを始めなきゃならんということでありました。

というのも、アーカイブに必要なゲームの現物保存は、もはや一部の個人コレクターに頼らざるを得ない状況であるにも関わらず、その個人コレクターは財政的に疲弊しているケースが多々あり、RetroPC.netや、マイミクのKEIさんが主催しているアーケードゲーム博物館も、維持コストの面で大きな苦労をされていると聞くわけです。

コレクションをどうするか(権利を移管するのか、買い上げてもらうのか、資金援助を受けて今の活動を公的なものにするのか、など)という点は個々のコレクターの判断になるのは当然なわけですが、とりあえず今打つべき点は、そのコレクションが散逸しないために、せめて維持管理のための財政的な負担を軽減するにはどうしたらいいかということを早急に手を打つべきではないかと思うわけです。


立命館の取り組みは公的なゲームアーカイブ活動としての意義を主張しておりましたが、その内容は残念ながらほぼファミコンに限定されており、他のプラットフォームの収集活動までは十分手が回っていないという事情もありますた。

彼らだけで収集活動を行うのは、正直言って難しいと思いますです。

上記の通り、アーカイブのフォーマットを決めて、ソーシャルな展開で収集するような取り組みこそが、今の時代性と日本のコレクションの現存状況を考えると一番適していると思うわけです。
なんつっても、ニコニコ動画にキャリーラボの大脱走なんてマイナーなPCゲームのプレイ動画が上がってるくらいだから、こういう連中を活用しない手はないでしょ。



しかも、実況という新たな価値を加えてたりもするし。

鼎談の中心になったビデオゲーム黎明期以前のエレメカの時代に、技術者はどうやって人々を楽しませるゲームを開発していったか、なんて無形のノウハウなんかも何らかの形でアウトプットを残し、研究のための資料としてまとめることも並行して行うべきですが、すでに現存するエレメカは少なく、せめてこの活動があと5年早ければ、多くのエレメカを現物保存することもできたであろうことを考えると、事態は一刻の猶予もないという気がしましたです。

なんか語りたいことが山のようにあるんですが、産学官共同の難しさ(特に官)や、なんとなく見え隠れする組織間でのパワーバランスの駆け引きなんかがあるので、すべてがDiGRAで解決できる話ではないかもしれんですけど、ゲームを文化としてきちんと保存し、研究し、新しいものを生み出していくための土壌としてDiGRAであるのなら、個人的に手伝える事があるのなら喜んで協力したいと思った次第であります。

そういえば、文化庁から見学に来ていた人が、文化庁でもこうしたゲームに関する支援を行いたいとか言ってましたが、興味のある方います?
とりあえず、おいらの思う問題点と要望なんかを伝える予定ですが、何かあれば作戦会議などしましょうか?


DiGRAの話については、個々のテーマで思ったことがいろいろあるので順次うpしていく予定です。

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