任天堂が渋谷パルコでプロモ・アート展-新作ソフト発表
明らかに従来と比較して異質なマーケティング展開を進めている任天堂が、今度は渋谷パルコ・パート1で妙な催しを展開中だ。
"bit generation"というキーワードで、水戸芸術館を思い出した人はかなりのツウだ。
2000年に水戸芸術館で開催された『BIT GENERATION 2000』と題されたこのコンピュータゲームの展示会のコンセプトは、単なる子どもの遊びではなく、時代を映し出す新しい表現であるという視点からさまざまな考察を行っており、ゲームの進化とはどういうものなのか?訪れた人それぞれに発想が委ねられているようなところが、あれこれと空想好きなおいらのツボにハマって、わざわざ水戸まで2回も行ってしまったほどだ。
それに比べると、LEVEL-Xなんてただ展示物を並べただけの凡庸なコレクション展示に過ぎない。
あれから6年経って、原点ともいえる任天堂自身がこのキーワードを以ってゲームに対するアプローチをしてきたことは、正直驚いたのと同時に、結構したたかだな、という想いが強くなった。
そんな興味もあって、アップルストア渋谷での買い物も兼ねて覗いてみることにした。
「bit Generations」シリーズは、"GAME"の原点を見つめ直し、新しい発見や提案を行うために開発されたゲームラインナップです。
シンプルなパズルや、誰でも遊べる簡単なアクションでデザインされており、単純な点と線で描かれた世界を、鮮やかな色彩とサウンドで表現しています。
ゲームボーイMICROにそれぞれのゲームがオートデモで動いており、現時点ではプレイアブルな状態にはなっていない。
それぞれのタイトルには簡単な説明が成されているだけで、見る側はその説明からゲームの内容をあれこれと推察するという感じだ。
各タイトルの説明は以下の通り。
■dotstream
カラフルなラインが交差しあって描く、シンプルグラフィックならではの動きで表現したレースゲーム。
■BOUNDISH
ラケットとボールをつかって遊ぶテニスタイプのアクションゲーム。
幾つかのタイプのルールがあります。
■DIALHEX
正三角形のパネルを回転させて、同じ色で六角形をそろえて消すパズルゲーム。
サウンドとパズルとの融合を体感できます。
■COLORIS
色をそろえてタイルを消す、パズルゲーム。
カラーグラデーションの変化が眼を引きます。
サウンドディレクションを小山田圭吾さんが担当しています。
■DIGIDRIVE
交通整理をモチーフに、同じ記号を集めて整理するアクションパズルゲーム。
記号化されたグラフィックによるデジタルアート的な表現が特徴。
■ORBITAL
重力によって、惑星の軌道をコントロールして遊ぶアクションゲーム。
宇宙空間の表現が、独特の浮遊感を生み出します。
■Soundvoyager
画面上から流れてくる「音源」と「コントロールポイント」が重なるように移動させ、様々な目的を達成。
画面を見ずに、音だけでゲームを楽しむことができます。
他にも既存の"Touch Generation”のタイトルが幾つかあったが、それは割愛。
どれも、シンプルな内容をセンスのいいグラフィックで色付けした、そんな感じの内容だ。
特に、アンチエイリアエスを極力廃したようなグラフィックは、むしろテレビゲーム創世記のベクタースキャン方式の画作りを髣髴とさせる。
もちろん、"bit generations"というぐらいだから、当然狙ってこういうグラフィックにしているんだろうが、デザインのトレンドをゲームに取り入れるとこういうことになるんだろうなぁ、というのは素人のおいらでもわかる。
パルコの、しかもビブロに来る客層ということもあって、センスを武器にしているような連中が、興味深げに展示を眺めている。
任天堂の狙いはドンビシャだろう。
かつて、ソニーがプレイステーションを投入した時に、一時期こうした取り組みに熱心だったことがある。
そうした努力がプレステ中期からPS2初期のバラエティに富んだタイトル群のパワーの源になったんじゃないかと思う。
それを、任天堂が現代の解釈を加えて展開していると考えれば、別に画期的なことでもなんでもないのだが、BIT GENERATION 2000でおいらが感じていたことがこうして目の前にカタチ存在している。
そのことがエキサイティングだと思うし、これだからゲームはやめられない、というジャンキー復活宣言の狼煙を上げたくなった、春のうららかな午後の話だった。
発売は今年中ということらしい。
ゲームボーイMICROとセットで、ぜんぶ買ってやる。
だから、止まらずにさまざまな提案をし続けて欲しい。
それをやらなければならないのが、遊びをクリエリトする人たちの務めなのだから。
そして、おいらたち Bit Generations には、自分の感性が錆び付いてないか?パルコに行って、何を感じるかを再確認することをオススメしてみたい。
この記事へのコメント