さて、この前書いた「Bagnole(バニョール)」だけではないクルマ関連媒体の電子化の流れ。
他にも続々と出てくる予定ですよ。
Bagnoleに1日遅れてしまったが、EPUBベースの電子雑誌で、主に安い輸入中古車の紹介に焦点を当てた媒体「クルマニスタ」の創刊準備号がリリースされた。
こちらはパブーからEPUBとPDFによる配信。
創刊準備号ということで価格は無料となっているが、パブーのページで全部見れてしまうのはいかがなものかと…
これじゃあダウンロードによる潜在読者数が把握できないけどいいのかね?
(と思って中の人に聞いたら無料版は全ページ公開されちゃうんだそうな)
創刊準備号ということで今回は0円コンテンツとして配信していることもあり、有料版のクオリティがどれぐらいになるのかはよくわからない。
12月5日の創刊号の価格は315円ということなので、この値段に見合った内容か?という視点で創刊準備号を評価してみる。
プジョー206をピックアップして、その魅力と特徴と維持するためのノウハウ、そして原工房というプジョー車のメンテナンスにおける有名店への取材という構成は、読み物としては一貫したテーマに則っていてそれなりに読める。
ただ、1テーマで掘り下げるならば、もう少し多岐にわたった情報が欲しいと感じた。
たとえばプジョーディーラーでは今から206に乗ろうという顧客をどのように対応するのか、といった取材や故障箇所はどんなところが多いのか、全国のメンテナンスの行える整備工場の一覧など、所有するにあたって不安になる情報をもう少し網羅しなければ、“中古車として206をオススメする”という特集の目的を達成することは出来ないんじゃないか、と思う。
また、21ページという構成は、専門テーマのムックとして捉えた場合はボリュームが少なすぎるし、雑誌として捉えた場合は情報が偏りすぎている。
紙媒体の雑誌が400円以下であのボリュームを展開していることを考えると、電子雑誌としての物珍しさがあったとしても、継続して購読者を繋いでいくのは難しいのではないかと感じる。
構造的には先日紹介した「Bagnole」と同じ問題を抱えているだけに、やはり5号ぐらいまでにどれだけ固定ファンを獲得できるかに掛かっている気がする。
ただ、この「クルマニスタ」は作り手が伝えたい情報をカタチにしたという、ある種同人雑誌のような側面もあるので、そこは変に萎縮することなくやりたいことをやってみればいい、とも思う。
“作る楽しさというモチベーション”は、継続の源でもあるわけだからね。
さて、その他にも既存の雑誌が電子化へとシフトする傾向も見られる。
「4x4 MAGAZINE」が、紙媒体との並立ではなく、全面的にWEBと電子へと媒体を転換することが発表されている。
紙媒体をあきらめて、完全に電子へとシフトするというのは、4x4 MAGAZINEという特性上どうなんだろう?という気になる。
いや、別に偏見を持っているわけではないが、クルマ好きの中でも4x4が好きな人は、それほど先進的な人々というわけでもないので、書籍の電子化をすんなり受け入れるデジタルネイティブとはギャップがあるように感じるのよね…
他にも電通様の主導によって鳴り物入りで始まったMAGASTOREや、Fujisan.co.jpでもネコパブなどがいくつかの雑誌を電子化したりしているが、総じて低調(というか、むしろなかったことにされているぐらい)の状況だ。
ちなみに「マガジンX」も今月号から電子化を始めたが、どうもチープな感じが否めない。
そんなわけで、既存の紙メディアをそのまま電子配信する取り組みはそれなりに行われてきたわけだが、どうにも普及しないということであれば、そこにニーズが無かったということになるのだろう。
ということで、次の潮流はどうなるか?というと…
「Bagnole」が目指すリッチコンテンツ化の路線と、「クルマニスタ」のように少数精鋭で低予算で仕上げていく方法。
そして重要なのが、ある程度のDRMのゆるさ(iPhone/iPadどちらでも再生できるとか、EPUBやPDF形式でビュワーや環境を選ばないとか)という点ではないかと思っている。
さて、もの珍しさが無くなった後に、どんな形の電子雑誌が残るのか。
興味深く見守っていくことにしましょう。
とりあえず、おいらはしばらくは「Bagnole」と「クルマニスタ」は購読し続けてみるつもりであります。
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