F1をおもしろくしたのがセナならば、F1をつまらないものにしたのもセナだった。
圧倒的な走りゆえにチャンピオンシップの行方が早々に決まってしまうことのつまらなさや、その普段の言動がどうしても好きになれなかった。
典型的なにわかファンだったおいらは、ご多分に漏れず鈴鹿サーキットへ毎年通うぐらいの熱さでF1を見ていたが、セナとプロストの確執ならびにそれに伴うFIAの政治的な介入に嫌気がさして、急速に離れてしまった。
とはいっても、セナについてはそれなりに思うところもあったりするわけで、やはり彼の現役と同じ時代を生きたことは重要だったと思うし、やはり鈴鹿サーキットであの走りを生で見ることができたという経験は貴重なものだったと思う。
で、そんなセナも生きていれば今年50歳。
享年34歳だから、あれから16年も経ったということか。
就職して最初のゴールデンウィーク、1994年5月1日のサンマリノで、セナは逝ってしまった。
セナの生涯をドキュメントとしてまとめた映画『アイルトン・セナ ~音速の彼方へ』が今日から公開されたので観てきた。
なんとなく、ひさしぶりにセナに会いたくなったから。
ユニバーサル製作の映画ではあるが、フジテレビの中継でセナの事故を伝えて泣き崩れるアナウンサーと今宮&川井両名。
そんな映像が挟まれている所から、日本用に少し編集されているようではあるが、セナのデビューから脅威のパフォーマンスを発揮し、プロストやチームとの確執を経て最後の刻までを追っかけた、記録集としては楽しめるものだった。
セナを取り巻く人々のコメントなどからセナの人柄を垣間見ることができたが、やはり天才ゆえの協調性の無さといった印象は拭えず、好感度を改善するには至らなかった。
ただ、アイルトンセナ財団の管財人をアラン・プロストが担当しているという事実には、少し驚かされた。
またセナの事故以降、F1マシンの安全性の徹底的な見直しが行われ、それ以降F1で死者は出ていないという事実は、同じ過ちは繰り返さないという関係者の努力の賜物だろう。
天国のセナも、これは喜んでいるんじゃないだろうか。
カートを楽しそうに走らせている笑顔と、あの頃が純粋にレースを楽しめたと語るセナ。
そんな彼の記憶をもう一度呼び起こすためにだけでも、この映画を観る意味はあるんじゃないかと思う。
ちなみに、初日のレイトショーではあったが、観客の9割以上が中年男性。
はい、わかりやすいですね。
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