ルノーが好調な理由

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ルノー・ジャポン、8月までの販売台数が昨年実績を上回る好調

昨年までが悪すぎたとか、日産系ルノー店にやる気が無さ過ぎるとかいったツッコミはこの際不問にしておいて。
とにかく今年のルノーの好調はすべてそのインポーターの努力の賜物でありまして。

特に目立つのが、特別仕様車を限定台数で販売する手法。
カングーやルーテシアの特別仕様などは、通常のカタログラインナップに比べて若干割高ではあったものの、装備やボディの特別色の採用などどれも魅力的であり、結果として完売が続いている。
(一部例外もありますが)

また、マーケティング施策として「FTS(フレンチタッチ、トレンディ、スポーツ)戦略」を打ち出し、プジョーなどとは対照的に、オーナー達との交流イベントを開催したりすることで、直接的な意見や要望の吸い上げなどを地道に行っていた。

そんな中でも印象的だったのが、「ルノーはフランス車として楽しいクルマを出し続けてほしい」という要望に応じる形でポップなカラーの限定車を発売した、というエピソード。
(ソース失念。たしかこんな話だったと思う)

同じくフランス車として国内ではシェア1位のプジョーとどこが戦略的に違うんだろうか?
これはもう、規模と方針の違いとしか言いようがない。

ルノーの国内市場規模はだいたい2000台程度。(2009年実績は1775台)
対するプジョーの国内規模は5000~7000台程度。(同じく4365台)

いずれも今年は販売増を受けて数字を伸ばしているが、両者のボリュームは大きな開きがある。
プジョーぐらいの規模になれば当然年間通しての販売計画を綿密に立てて、どの車種、グレードをどれぐらいのスケジュールで販売していくかというのが決められていく。
プランどおりに受注が進めばタイムラグなく顧客に納車できるが、アテが外れると国内に在庫車を溜め込むことになってしまう。
また、一度決まったプランを変更するのはそう容易なことではない。

それに対してルノーはもともとの規模が少なく、また素のカタログラインナップのままではあまり売れないという事情から、国内在庫をあまり積極的に持っていない。
これが逆に小回りの利く施策を打ち出すことが可能になっている。

どういうことかというと、国内在庫の処分にこだわる必要が無いので、特別装備や特別カラーといった限定車を少量ロットで企画して、都度本国から船便で運んでくればいい。
こうしたやり方は、まとめて船便で運んでくるのに比べれば販菅コストが掛かるため利益率はかなり落ちてしまう。
実際のところ、ルノージャポン単体のインポーターとしての運営は赤字だろう。
しかし、1台でも多くルノー車を販売して、その存在感を高めることが直近のマーケティングの課題であるとするならば、こうした戦略もまた正しいということになる。
年間2000台規模の販売であれば、こうした小回りの利いた戦略の方がうまくいったりするわけだ。
ただし逆の見方をすれば、

特別仕様が売れる≒特別仕様しか売れない

という構図を招くことにもなる。

特別仕様というのは、通常のやり方ではうまく行かない時のドーピングのようなもので、それに頼りすぎると薬物中毒のような副作用(利益の圧迫)が出ることになる。
今年はこのままでいいとしても、来年以降どうしていくのか、という点について慎重な戦略が必要になるのは避けられない。


それに対してプジョーの施策はどうなのか?というと、上記した通り販売計画に基づいた国内在庫をどうやって売っていくかという発想になるため、ルノーに比べればハンディを抱えている。

プジョーの特別仕様は、たいていの場合NaviPlusやVoyageといったベース車両にお得な装備を追加したものが多かった。
これは、在庫している車両に対して装備を追加したものになるわけで、“場合によってグレードやカラーが選べません”と注意書きが出るのはそうした理由による。

もちろん、純粋な特別仕様車を設定して本国から輸入するケースもあるが、ルノーに比べてその事例は極めて少なかったと言える。

両社のビジネス規模とスタンスが異なっているわけで、同列に比較することはできない、というのがおいらの言いたい趣旨であったりする。
むしろ正しいあり方としてはプジョーのほうが正常であり、今のルノーは異常だ。
ただ、単純に消費者目線からすれば、どちらが魅力的か?と問われれば言わずもがなでありますが。


さて、こうして両社の違いを見てきたわけだが、ルノーの特別仕様車が好評な理由の大きな要素として、フレンチらしいカラーリングというのがある。

象徴的なのがKangoo Couleur(カングー クルール)で、このある意味クレイジーなカラーリングを持ってきたのは大英断だと思う。
カタログラインナップにするには台数を見込めない分リスキーだが、限定台数であればそのリスクをぐっと減らすことができる。

『VWはよく出来ているが、色気が無い』

とよく言われるとおり、日本の消費者がフランス車に対して抱いているイメージは、ドイツ車の後追いではない部分、すなわちそれは感性に訴えかける要素に期待している。
(ステレオタイプな言い方ではあるが、実際にそうしたイメージが強いのもまた事実)

デザインももちろん重要だが、それにも増してフランス車に重要なのはボディカラーであることを、ルノーの中の人もきちんと把握している。
また、ルノースポールの積極的な投入も、ほとんどが限定扱いであるがゆえに売り時を逃さない。
(ヘタにカタログラインナップにしてしまうと、いつでも買えるからと受注が伸び悩む要因になる)

いずれも「感性」という切り口でうまく客を掴んでいるよなぁ、と思う次第であります。

このボディカラーの話、せっかくだから別の機会にでも。
 

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