販売店に情報が降りてきていない?

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昨今のマーケティングでインターネットの活用は必須であり、むしろインターネットを主軸として展開されていると言っていい。
ティザーマーケティングからプレスリリースの発表に至るまで、もっとも迅速かつ広域に情報を伝播させるための手段としてのインターネットの可能性については、もはや疑うべくも無い。

で、そのマーケティングの目的は、たいていの場合は自社商品(有形無形問わず)の告知であり、最終的に顧客が注文(利用)のアクションを取った瞬間がそのマーケティングの成果となるわけだ。

インターネットのサービスの場合、その注文(利用)のアクションはインターネット上で完結する場合が多く、マーケティングの施策とその注文アクションを取る着地点(ランディングポイント)を用意しておけば、そのマーケティングのサイクルの準備は万端と言える。
翻って、商品を販売する類のインターネットマーケティングの場合はどうだろうか?

インターネットで告知を行い、実際の商品は販売店やショウルームに展示されるのであれば、その販売現場への顧客の誘導を予め用意しておかなければ、せっかく行ったマーケティング施策も成果に結びつかなくなってしまう。

最近特にこの物販の現場において、インターネットマーケティングと販売現場との連携がうまく取れていない事例の多さに首を捻ることが多い。

その例として、新型プレマシーの事例を挙げよう。

先日のエントリーでも書いたとおり、今回の新型プレマシーに関しては、明らかに今までのインターネットマーケティングに比べて予算の掛け方が少ない。
発売1ヶ月半も前に商品のプレスリリースを行い、先行受注を開始するというびっくりアクションそのものが、新型プレマシー最大のマーケティング施策とも言える。


ちょうど6月末に307swの車検が切れるので、ギリギリ最後で乗り換えの検討をすべく土曜日に件のマツダアンフィニ東名川崎店へと出向いた。
エコカー減税&補助金の影響もあってか、多くの来客で賑わっていた中で新型プレマシーについての質問をぶつけると、

「お客様に説明できる情報が無い」


とのこと。
店には特に配布物も用意されておらず、新型プレマシーに関して見せられるものといえばチラシの一部分に記載された上記の画像程度の情報だけ。
現時点で判明していることは、価格と先行予約をすると10.5万円のオプション値引きを付けるということだけであり、その他に説明できることといえばWebに載っていることぐらいだ、と半ば困った顔をしながら話してくれた。

「まだ現行プレマシーの在庫を売らなきゃいけないんですけどねぇ…」


この店だけ情報が伝達されていないのか?
念のため近所のもう一店舗のマツダ店を訪れ、同じように情報は無いかを聞いてみた。
こちらの店も同じだった。


ティザーサイトをオープンして情報を小出しにするのであれば別に販売店に詳細な情報が下りてきていなくてもしょうがないとは思うが、今回の場合はもう商品発表と先行予約の受付開始というアクションなわけであり、そのランディングポイントである販売店が商品の詳細を知らされていないというのは、とても恥ずかしいことだと思うわけだ。

聞くところによると、販売現場に対するメーカーからの詳細な説明会は今週行われることになっており、そこでスペックや特徴といった売り要素の説明ならびに顧客向けの配布物が用意されるのだという。

他のメーカーの事例でもカタログなどの配布物が間に合わないケースはままあったので、別にその点に関してどうこう言うつもりは無いが、さすがに予約受付を開始している車種のスペックを説明できない状況というのはマズいだろう。

たとえば、現行プレマシーはそのボディサイズの割に意外と軽量に作ってあって、重量は1.5トン以下だったりする。
新型プレマシーはサイズが少々拡大されているので、この1.5トンという重量に収まるかどうかは、購入を検討する上においては結構大切な要素だったりする。

結論から言えば、新型プレマシーも1.5トン以下で収まっているらしい。
別にディーラーの営業マンから情報を得たわけではない。
価格表に載っている重量税の金額欄が22,500円であったことから1.5トン以下であることが推測されるわけだ。

しかしESP(横滑り防止装置)の有無などもわからないため、これでは見積もりの取りようがない。
こんな状況で先行予約開始っていうのは、ちょっとお粗末過ぎやしないだろうか?
iPadみたいな家電じゃなくて、これ200万円もするクルマの話だぜ?

最低でもマツダは、販売現場に対する説明会を行ったうえで、新型プレマシーのプレスリリースをすべきだった。


冒頭のマーケティングの話に戻るが、つまり今回の新型プレマシーのマーケティング施策においては、ランディングポイントをきちんと用意しておかなかったが故に、一番大事な初期需要を取りこぼしているということになる。

“アーリーアダプター(Early Adaptor)”という最新の情報に飛びつく層がいる。
(例えばおいらなんかはプジョーの情報に関するアーリーアダプターという事ができる)
こうした連中が話題にすることで、世間的な口コミの話題が伝播していくことは今更言うまでもない。

マーケティングの予算が限られているのであれば、こうしたアーリーアダプターに十分な情報を与えて口コミ効果を狙うのが新型プレマシーのマーケティングにおいては重要だったはず。

奇しくも現実的な検討をすることでおいらは新型プレマシーのアーリーアダプターとなったわけだが、今回のように具体的な話ができないようでは、現実的な検討はおろか、こうしてBLOGに何も書けない事態になってしまった。
良いところがあれば紹介しようと思っていただけに、残念ではある。

結局どういう話になったかというと、時間切れということで307swの車検を通す決断をした。
新型プレマシーに関しては、やはり2年後のSKY-Gが搭載されたモデルを検討することになるだろう。

新型プレマシーは「人とくるまのテクノロジー展2010」で国内初お披露目となるらしいが、これもマーケティング施策であるものの、ランディングポイントとしてのディーラーはちゃんと機能するのだろうか?
それよりも、どこか主要店舗に先行展示車を用意していてくれた方がよほどありがたかった。


こうしたマーケティングの先走りによることは別にマツダだけに限った話ではなく、インターネットを活用してモノを売ろうというメーカーと、実際に販売する現場がうまく連携できていないことが、結果としてうまく実績に結びついていない事例を多く目にするようになった。

メーカーは「現場が売ってくれない」と文句を言い、現場は「情報が降りてこない」と文句を言う。

もう少しメーカーと販売の現場が有機的に動いて情報共有ができていれば、こうした機会損失は無かったであろうことを考えると、“批難”するのではなく“もったいない”という気持ちが強く沸いてくる。

モノが売れないと言われる時代、しかも広告宣伝費は削らなければならない状況であれば、客を気持ちよく誘導する事こそがマーケティングに求められる最大のミッションだと思うわけだ。
特にマツダのような企業は、少ないタマ数で最大の効果を上げなければならないのだから、ひとつひとつの施策を大事にしていった方がいいと思うわけなのよ。
 
 
おいら、別に変なこと言ってないよね?
 

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