昨年10月に話題にした件が、ついに正式に発表された。
ソフトバンクモバイル、通信カーナビサービスのパケット通信料が定額対象となる「カーナビプラン」を提供
今までもケータイとカーナビを接続する方法はあったのだが、問題はその通信料。
いわゆる外部機器接続という扱いになって、通常のパケット定額対象外になってしまっていたため、何の契約もしていなければ料金は青天井。最近でこそやっとPC接続プランなどによって月額1万円ちょっとで利用できるようになっていたものの、そもそもの疑問が浮かぶ。
なんでカーナビ使うのが別料金なの?
パケット定額でカーナビも使えないの?
と。
今まで通信料金定額での利用方法がなかったわけではない。
先日お亡くなりになったウィルコムの通信モジュールを契約すれば、プランにもよるが月額1000円ちょっとで利用することができた。
しかし、ケータイほど毎日使うわけでもないものに年額1万円近い出費を喜ぶ消費者はそう多くはない。
ホンダのインターナビプレミアムクラブは健闘しているが、主要3社のテレマティクスサービスはその母数に対して有料会員数は思ったほど伸びていないというのが実情だ。
■テレマティクスサービスとは
カーナビをベースに通信機能を持たせてインターネットに接続できる情報端末化されたものおよびサービスの総称。
渋滞情報をリアルタイムに共有することでより正確なナビゲーションを可能にしたり、メールやWebの閲覧だけでなくコンテンツのダウンロードなどのサービスを受信・閲覧できる仕組みのこと。
この辺の事情は下記にまとめたのでお暇ならご一読を。
カーテレマティクス市場に新たな動き(1)
カーテレマティクス市場に新たな動き(2)
今回のソフトバンクの発表によって、ケータイのパケット定額プランに+210円を払うだけでカーナビのテレマティクスサービスが利用可能になる。
年額にすると+2520円で済むわけだ。
この影響力は大きい。
しかも、メーカー&消費者双方にとってのメリットになる。
■メーカー側のメリット
・低迷するテレマティクスサービスの加入者数増加
・インフラが整備されることでコンテンツサービスへの導入を図ることができる
■消費者側のメリット
・あまり料金を気にせずにテレマティクスサービスが利用できるようになる
「卵が先か?鶏が先か?」の議論ではないが、G-BOOKが当初熱心に実現しようとしていたコンテンツ配信などのサービスは、別途通信料が必要だったこともあり、まったく加入者数が増えなかった。
加入者が増えないからコンテンツも増えず、結果としてテレマティクスサービスは全般的に魅力が欠けていた。
すべてのボトルネックは“通信料金を誰が負担するのか?”という問題だった。
このインフラが整わない限り、消費者は使おうという気にならない。
クルマメーカーは通信事業者ではないので、自前で通信回線を用意することができない。
結果として通信事業者の協力を仰ぐことになるわけだが、どのキャリアもビジネスとして展開する以上あまり劇的な低価格を実現することは難しい。
結果として月額1000円程度というラインに落ち着いたわけだ。
しかしそれでも、加入者数はそれほど増加していないところを見ると、それでも高いという判断なのだろう。
そこでソフトバンクの話になる。
今まで月額1000円程度だったものが、いきなり210円である。
しかも、自分の持っているケータイの料金プランに統合されることで、請求も一括化できることが心理的に安心感を生むことになる。
(消費者心理とは不思議なもので、請求が一括化されていれば多少高くなっても受け入れるという側面がある)
これにより加入者がさらにパケット通信を頻繁に行う可能性が高まるものの、ソフトバンク的にはしたたかな計算が透けて見える。
というのも、現状のカーテレマティクスサービスは、帯域を圧迫するほどのデータ通信は発生しないという読みがあるようだ。
インターナビプレミアムクラブなど、割と頻繁にデータのやり取りが発生するサービスでも、ウィルコムの通信モジュールで間に合っているという現状がある。
詳細スペックは知らないが、恐らくは128Kbps程度の通信速度でまかなえる程度のデータ量ということだ。
通信インフラに投資をしないことでおなじみのソフトバンクであるから、あまり帯域に余裕があるわけではないが、着うたを頻繁にダウンロードされるより、テレマティクスの通信に端末を占有されていた方が実はパケット通信量が少なくて済むなんて思っているんじゃないだろうか。
しかも、テレマティクスサービスは常時接続を保証するサービスではないので、通信が遮断されてもそれほど大きな影響は受けない。
山間部などでの通信は、現状のウィルコムもそれほどちゃんと繋がるわけではないので、これも保障しなくて済むというのはソフトバンクにとって都合がいいはずだ。
つまり、このサービスを展開したからといって、ソフトバンク的にはパケット通信増加によるリスクはそれほど大きくない割に、利用者のARPU(月間ユーザ利用単価)を上げることができると考えているのだろう。
対象になる機種はソフトバンクのBluetooth対応ケータイということで、いわゆるガラケーのラインナップのみにする模様。
iPhoneもBluetoothを内蔵しているので、対象機種にiPhoneを含めて欲しいというニーズは根強くあるだろうが、ソフトバンクからするとただでさえ人気があるiPhoneに、これ以上の付加価値を持たせることには否定的だろう。
最近伸び悩んでいるガラケーに対する付加価値としてこのサービスを展開し、恐らくiPhoneなどは段階的に対応していくことになるだろう。
つくづく
カーテレマティクスが普及で足踏みをしている間に、iPhoneなどのスマートフォンがカーナビ代わりになったり情報端末としても飛躍的な進化を遂げてしまった。
自動車メーカーはカーテレマティクスを新たな収入源として期待していた部分もあっただけに、焦りはかなりのものだろう事は容易に想像がつく。
ソフトバンクは日本の自動車メーカーにも貸しを作った、なんてことになるのかもしれない。
薄気味悪い気はするが。
この記事へのコメント
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海鮮丼太郎
ただ、それをやらないのは自動車メーカーにまだ良心が残っているからというところなんでしょう。
とか書いてたらホンダが条件付で通信料無料のキャンペーン車を投入しはじめたな。CR-Zとインサイトで。