ついに16万台割れ -2009年の輸入車市場-

 
衝撃を受け入れる準備はできたかい?

ということで、12月の輸入車販売実績が発表されました。これにより、2009年の輸入車販売実績が明らかに。

2009年の輸入車全体の市場は、

159143台(前年比 82.8%)

となりました。
ついに16万台を割ってしまいました。
2008年の年間台数は193902台で、2007年から17.2%の下落であったことを考えると、ほぼ同じペースで縮小したということになるわけです。


ってことで概況です。
12月の全体の数字は18590台(前年比107.5%)で、1月からの累計は159143台となっております。
4月に基準値70%で見ようと言ってた状況からは全体的に改善されて、前年比82.8%で落ち着いたわけではありますが、今年の日本市場はエコカー減税&助成という輸入車にとっては激しい逆風が吹き荒れる状況であったこと、そして12月の各社の実績を見るとそれでも軒並み数字を上げていることを考えると、ひょっとすると数字を上げるために大量の自社登録を行っている可能性も捨てきれないんですな。
中古車市場に走行距離が極めて低い車両が出品されていないか、要チェックな気がしますです。


ほいじゃ、ブランドごとに見ていきましょうか。

 メーカー 12月実績 前年比
 VolksWagen 3675 82.4%
 BMW 4220 129.1%
 Mercedes-Benz 3353 119.7%
 Audi 2210 105.4%
 MINI 1355 118.9%


最後の最後でトップ3が入れ替わる驚愕の展開。
今年全般的に精彩を欠いていたBMWですが、12月に怒涛の販売実績を積み上げて、なんと350台差でメルセデスを抜いてしまいました。
今年のBMWは販売が芳しくなく、かなり必死なキャンペーンを張っていた状況から考えると、12月に一気に数字が上向いたのは自社登録ではないか?という疑惑を持たざるを得ませんが、事実は事実。とりあえずおめでたいことです。

メルセデスがぼんやりしていたわけではないと思うんですけど、今年の状況ではあまり無理に動かない方がいいという判断だったのかもしれません。

1位はやっぱりVWでした。まぁこの会社については磐石といっていいでしょう。
ただし、高級路線のシロッコやパサートCCが売れてないようで、モニターキャンペーンを打つなど苦戦している模様。
シロッコは価格が高すぎることと、パサートCCについてはもともと需要が低いということもあるので、戦略の練り直しが必要ということでしょうな。
ポロの比率がかなり高くなってきていることは、利益という面で見るとあまり喜ばしいことではないので、2010年は高価格帯のマーケティングをテコ入れするのではないかと思われ。
ちなみに今月のトップ5で唯一12月の実績で前年割れしてますが、昨年のVWは大量に自社登録をした前科があるので、今年は自重したと見るべきでしょう。

4位のアウディについては、今年もまた対前年比で100%を超えてくるなど、好調を持続しております。
昨日もプレスリリースを誇らしげに出していたりすることからも、自信の表れが見て取れる。
ただし、やるべきことをきちんとやっているという点についてはさすがだとは思いますよ。
2010年はますますBMWとの争いが熾烈になってきそうな感じです。


つづいて第2グループを見てみましょうか。

 メーカー 10月実績 前年比
 Volvo 741 148.8%
 Peugeot 482 113.9%
 Fiat 604 120.6%
 Porsche 273 92.5%
 Ford 235 118.1%
 AlfaRomeo 256 161.0%
 Renault 137 95.8%
 Citroen 148 111.3%


12月は第2グループも総じて好調な結果となりました。
今年前半はどうなることかと思いましたが、年間実績では順当な結果となりました。
第2グループで前年実績を上回ったのはフィアットだけということになりましたが、2008年の実績より勢いが鈍ったとはいえ立派なもんだと思います。
その他のメーカーは抜本的な対策を2010年に打てるかどうかがカギになりそうです。

6位のボルボに関しては、2009年はPowershiftシリーズで主要ラインナップの価格を300万円を切る設定にして勝負に出ましたが、ボルボの社内で今年の結果をどう総括しているんでしょうか?
個人的には画期的なことだったと思うんですけど、後からPowershift+とかいう上位グレードを出してまた値段を上げようとしてたところが往生際が悪いなぁと感じました。
装備のカスタマイズが柔軟に出来るのはありがたいのですが、納期が掛かりすぎる点をどうするかが今後の課題でしょうね。
中国資本になることで今後のボルボがどうなるかはわかりませんが、少なくとも現行車種についてはよく出来ていると思うので、お手ごろ価格であればボルボを選ぶという選択も悪くはないと思います。

さて、ボルボに完全に水をあけられた感のあるプジョーさんですが、今年の実績は4365台ということで、目標だった6500台にも遠く及ばない結果となりました。
もう2009年のことは忘れてしまいたいというところでしょうが、PCJはここ数年の失策を挽回するために社内組織を変更すると聞いているので、2010年のアクションに期待するところ大であります。
プジョーさんについては別のエントリーでまとめます。

そして、残念ながらプジョーを追い抜くまでには至らなかったフィアットですが、後半の失速はあったものの大健闘といっていいでしょう。
販売店網も、従来のアルファロメオ店を、『フィアット・アルファロメオ店』と改めることで認知度を高めていく戦略のようなので、買いやすい環境が整備されていくことでしょう。これはとても重要なことです。
気になるのは、2010年の新車投入予定が見えないこと。
なんか新しい車種が出る予定ってあったっけ?
パンダもそろそろ古くなってきたし、Fiat500もそろそろ需要が落ち着いたと見るべきであり、そうすると特別仕様車だけで販売を続けていくのはなかなか難しいと思われるので、2010年はフィアットにとって正念場であると見ております。

ルノーに関しては、現在の販売網の中ではよくやってる方なんじゃないかと思いますが、やっぱり厳しいですなぁ。
新車の投入が無いわけではないのに、それが実績にあまり結びついていないのは、ルノーオーナーが買い替えというアクションを起こしていないことが原因じゃないかと思っておりまして。
他社からルノーに乗り換えるという話はけっこう聞くんですが、その逆の方が多いのかなぁ?
ルノーオーナーは謎な人種なのでよくわかりません。

シトロエンに関しては、今年はもうディーラーの閉鎖騒動が記憶に新しいですが、結局目標としていた年間1500台には届きませんでした。
これはもうしょうがないですな。
2010年は新型車の投入が続く予定なので、その前に販売体制をどうやって持ち直すかが緊急の課題です。

その他は特に目立ったトピックはないですが、エコカー減税対象車にアメ車が入っていないのは不公平だ、というお約束のツッコミが米議員から入りましたが、こればっかりはどうにもならんので、頑張って環境対応してください、ってところですかね。

2010年の展望については、別エントリーで考察しようかと思っております。
 

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