地下鉄でも聞けるTOKYO FMアプリ

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TOKYO FM Web Radio (iTunesStore)

ってことで本日より始まりました、iPhone向けTOKYO FMのストリーミングアプリ。
見えるラジオやデジタルラジオでの失敗など、我を通しすぎて挫折することの多かったTOKYO FMだが、今回は珍しくリスナー本位のサービスを提供してきた。

テスト期間ということもあり帯域を絞っているとのことだが、“ながら聞き”には十分な音質を確保しており、注目を集めたスタート初日にしては上々の出だしと言っていいんじゃないだろうか。

権利処理の関係から、GPSによって聴取可能エリアを限定してのスタートということで、必ずしもFM放送を聞けている人がすべてアプリを使えるわけではないが、これは実験という性格上止むを得ない部分もある。その辺は理解してやってくれ。

ってことでサイマル放送とはいうものの、CMおよび一部の番組はカットされる仕様であることが判明し、思いのほか中の人の苦労は多かろうと思われるが、音楽が流れるというのは画期的。
それがなければTOKYO FMの番組じゃないしなw

で、気になったことがある。
ストリーミングを流すというのはよくあるサービスなのだが、「地下鉄でも使える」というつぶやきがあったので、そのカラクリについて聞いてみた。すると…
駅でバッファ蓄積→トンネル走行→駅で蓄積。以下続く。端末側でバッファしています。 RT: @kaisendon: どういうカラクリ? QT @tokyofm: 地下鉄いけますよ。お試しを。 #tokyofm
4分前 Echofonで
http://twitter.com/tokyofm/status/6882478163

ということで、バッファを多めに確保することで、通信が遮断されている状態でも聴取を可能にしているとのことだった。
これはちゃんとラジオの利用環境をリサーチして、より多くの人に聞いてもらうにはどうしたらいいか?という点をちゃんと想定した上でアプリを開発していたことを意味する。
今回のこのアプリのリリースの中で一番感心したのがこの点だ。

ケータイ(iPhone含む)で通信を使うサービスを利用するにあたり、忘れられがちだが重要度の高い要素として、通信が断続的に遮断される環境においてどうストレスなくサービスを提供するか、という視点がある。
肝はバッファ(キャッシュ)をどう使うか、という話になるのだが。

おいらがiPhoneを使い始めて2ちゃんねるを使う頻度が落ちたのは、2ちゃんねるブラウザがどれもスレッドを開くたびに通信してデータを取る仕様でありキャッシュを残してくれないため、地下鉄に乗りながらスレを行き来することが事実上不可能なので、イライラして止めてしまったのが理由だ。

つまり、地下鉄の移動区間でもつながる通信インフラが構築されない限り、アプリ側でキャッシュを駆使して利便性を高めるという発想は、特に日本の都市圏においては非常にニーズの高い要素であると言える。
しかしその点が意外と認知されていない状況に使う側としては結構イライラしていた。

いや、技術的に高度な話じゃないんだよね。
音質x時間で導き出されるデータ量を、一駅に停車している間にバッファに溜めるにはどれぐらいが現実的か?という落とし所さえ決めてしまえば。

TOKYO FMはバッファを活用することで、今まで地下鉄の中で聞くことのできない状況を改善することができた。
単にFM波の環境をiPhoneに持ってきただけではない、新たなリスナーの獲得の手段を実現させたという意義は大きい。
これがエポックメイキングな出来事でなくてなんだというのだろうか。

TOKYO FMでは半蔵門線での検証は完了しているという。
回線投資をしないソフトバンクモバイルの貧弱なインフラに左右されるため、駅によっては通信環境が芳しくなく、うまくバッファに溜めきれない可能性もあるが、そんなのは許容範囲だ。

今後の課題としては、TOKYO FMアプリを立ち上げているとその他のアプリが使えないという点をどうするのか。
(限定的にブラウザ機能は使えるのでtwitterを使うことはできる)

データ通信の帯域が有限である(利用者が増えると帯域が圧迫される)という物理的な制限がある以上、広くリッチコンテンツを流通させるプラットフォームとしての3G回線は、音声ストリーミングは落とし所としては非常にいいネタではないかと思う。

1年間ほど実験を行うということだが、これが本格サービスへと繋がっていくことを期待したい。
また、各放送局もフォロアーとして後に続いて欲しい。
実際にやってみることで開けてくることもあるんだからさ。

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