個別の見所については後でまとめられればまとめる。
とりあえず、今年のモーターショーは“展示会として”非常に有益なイベントになっている。
なんといっても、各メーカーほぼ共通して言えることは、コンパニオンのお姉ちゃんが少ない。
それに代わって、メーカーの説明員がブース内にかなりの数配置されている。
ということは、疑問に感じたことをメーカーの人に直接質問できるという環境なのだ。
これは楽しい。
そんなわけで、今回は入場早々、各ブースでいろいろと話を聞きまくったのであった。
午後3時からは、今回のおいら的目玉企画である『ジャーナリストと巡る東京モーターショー』(ガイドツアー)だった。
約1時間半を掛けて、ジャーナリストの解説を踏まえながら各ブースを巡るという内容で、この日も清水和夫や松任谷正隆をはじめとした有名なジャーナリストのガイドが行われた。
ただ漫然とブースを巡るのではなく、各メーカーが何を考えて何を出展しているのか。
その背景も含めて話を聞くことができるというのは、モーターショーを理解するうえで大いに参考になった。
むしろ、この企画は今後のモーターショーの目玉として、有償でもいいから行って欲しいと強く思った次第。
ってことで、個別に書くかもしれないが、思ったことを簡単にまとめておこう。
■三菱
三菱は先行者利益を得られずに苦心している。
せっかくiMiEVで先陣を切ったものの、その可能性はまだ未知数と言わざるを得ず、特に官公庁などの用途で様子を見ているといった段階からなかなか先に進めない。
今回展示されていたiMiEVのカーゴモデルは、200kgの荷物を積載して、iMiEVと同じ160kmは走れるスペックを実現してすぐに販売開始できる状態ではあるものの、たとえばこれを自治体などに収めようとしたら、導入要件を満たさなければならないかったりするため、先行きが不透明だとのこと。
要するに、「導入するためにはスライドドアじゃなきゃダメよ」とか、「航続距離は100kmでいいから、もっと安くして」とか、いろんな要望がありすぎて、今のカタチそのままで売るという話がなかなか進まないのだそうだ。
現状のカタチをスライドドア仕様に開発しなおすにはえらい時間が掛かることが想定されるため、先行者利益も何もあったもんじゃなくなってしまう。
将来の夢を描くには、現実の積み重ねが必要だが、現在の三菱はグループ間需要でなんとか食っている状況なだけに、先行者としてのしっかりビジネスをカタチにしてもらいたいと切に願う。
そのためにも、まずは現在の仕様で導入を進めるよう自治体や官公庁は積極的に動いてもらいたいものだ。
■マツダ
マツダが本気だ。
今回EVなどいわゆるマスコミ受けする出展が少なかったが、マツダは2015年までに燃費を30%改善することを公言している。
トヨタや日産であれば、これをEVやハイブリッドで済ますところだろうが、マツダは既存技術の延長でそれを達成しようとしている。
その原動力となるのは、『100kgを目標とした軽量化』『SKY-D&G新型エンジン(燃費15~20%改善)』『新型トランスミッション(SKY-DRIVE)』『アイドリングストップ』。
これらの既存技術の効率追求と新エンジンで本当に燃費30%アップをやるつもりだ。
このアプローチは欧州トレンドと同じ方向を向いていると言っていい。
目立つ要素ではないが、クルマの構造を基本から見直すことで30%の改善が出来たら、ここにハイブリッドを載せたりすると無敵とも言えるアドバンテージを取れるかもしれない。
しかも、多くのEVやハイブリッドが犠牲にしている走りの楽しさを維持したままで。
今回一番将来性を感じたのは、マツダだった。
■ホンダ
「ないものをつくれ。」
これがホンダのスローガン。
子供向けのステージイベントの時間にぶつかってしまったため、イベントスペース内に入れなかったから、何を展示していたのか良く見ていない。
だからU3-Xも見てないし、ピンとくる展示も少なかった。
むしろバイクの展示の方に目を奪われることが多かったのは、それが直感的に響くものだったからと言えるかも知れない。
すまん。興味がなかったんじゃなくて、時間の都合で印象が薄いだけだと思う。悪気はない。
■トヨタ
レクサスのLFAは本気だ。
これを世に出したことを日本人として誇りに思う。
部品メーカーでもLFAに採用された技術を誇らしげにアピールしていた。こういう姿こそが好ましい。
トヨタの一番人気はFT-86コンセプト。
ただし、他の出品の技術的な見所は多かった。
将来に対する伏線がいっぱい張られてたので、ここでは教えないから実際に見に行くことをオススメする。
■日産
日産はゼロエミッションを声高に叫んでいたが、その隅っこのほうにディーゼル担当者が不満げな顔をしてたのが印象的だった。
マツダと日産は欧州に対抗できるディーゼル技術がある。
それを潰すのは消費者の無理解といびつな宣伝戦略だ。
■スバル
・・・。
ごめん特に印象にのこる話はない。
FT-86がダブルブランドでスバル版が出るから、多分そっちが売れるだろう。
■ダイハツ
ダイハツは小型車をEV化するためにはトヨタとは違ったノウハウがいることを理解しており、それを独自にプレゼンしていた。EVは小型車には向いてないんだよな。
■スズキ
スズキはFREVとPHEVとEVと…
いろんな提携での成果を披露していたが、FREVが一番現実的かもしれない。
軽自動車が曲がり角を迎えつつあるなかで、ダイハツと共に新たな枠組みを提案しようという意識は感じることができた。
ただ、それがカタチになるのはもう少し先の話かもしれない。
■部品メーカー
部品メーカーはデンソーとアイシンAWとボッシュがおもしろかった。
曙ブレーキは、2007年からマクラーレンにキャリパーの供給をしてるんだって。ちゃんとした部品で日本メーカー品が採用されるのは快挙。展示もあったよ。
■COTY
COTY30周年ブースで懐かしのクルマを眺めるのも楽しい。
その年の他の候補や投票数なども表示されているので、COTYの選考がいかに迷走してきたかを確認するのもねw
ちなみに展示車のソアラのエンブレムを盗もうとした奴がいたとか。もう入手できなくてプレミア化してるそうだが、そういうバカがいるからクルマ文化は成熟しないんだ。
そんなわけで、最後の週末は混み合うかもしれないが、じっくり見て廻るだけの価値はある“展示会”になっているので、ぜひ自分の目でこれから5年先のクルマの未来を感じてみることをオススメする。
そして、説明員をつかまえて、ホンネのところを聞き出してみよう。
メーカーの人間は、こういった消費者との接点を持つ機会を重視している。
思っていることをぶつけ、それを商品に活かしてもらうことも、我々消費者に必要とされることであり、またクルマ社会の健全化にもつながっていくのだから。
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