カーテレマティクス市場に新たな動き(3)

 
前回のエントリーに対してこんなコメントをもらった。
というよりか、たぶんiPhoneでのナビ市場がたちあがるから
こんなことせんでいいという判断じゃないでしょうか?
はやくtomtomでないか楽しみにしてます。
(tomtom car kitは便利そう)

Posted by 通りすがり at 2009年10月25日 15:50
iPhoneで、カーナビプランはいらないでしょう。
iPhoneでやればいいので。
世界では、portable GPS naviが主流ですから。
tomtom for iPhone早く日本で出ないかな。
(tomtom car kitだけでも早くほしい)

Posted by とおりすがり at 2009年10月25日 16:19

って書き込みがあったので少しフォローを。

日本という国におけるカーテレマティクスは、まず第一に慢性的渋滞が発生することから、それを正確に情報として伝え、渋滞解消を図ることでドライバーのストレスを軽減し、無駄なCO2を出さないようにするというナビゲーションの精度向上が必要になるわけです。
そのために、渋滞情報や危険回避を目的とした次世代ETCのDSRCやITSのような仕組みが検討されているわけですな。

それに各種運転支援機能ならびにコンテンツ配信といった副次的な機能が加わってくる、と。

その意味で、プローブデータを活用したナビ精度の向上というのは、PNDなどGPS(+加速度センサー)だけを利用した簡易ナビゲーション(言い換えればルート案内だけを目的としたデバイス)とは別の、高性能ナビゲーションとしての方向性となり、それがカーテレマティクスということになるわけです。

で、コメントしてくれた人のtomtom car kitっていうのは不勉強で知らなかったので、調べてみますた。
TomTomというのは、iPhone向けにナビゲーションアプリと周辺機器を出しているメーカーのようですな。

TomTom for iPhone
Turn-by-turn car navigation for iPhone is here


これで実現できることというのは、上記のようにPNDと同じルート案内だけを目的としたデバイスであると言えます。

GARMINなどでも同じ問題を抱えてますが、ハードウェア的に世界共通にできても、その国の地図データをどうリリースするかという問題を抱えています。
(余談ですが、GARMINについては、日本の代理店の利益を守るために、直輸入モデルに日本の地図を実質的にインストールできないような施策が取られていたりして、ユーザーは代理店に高いマージンを取られているという状況があるわけですが)

で、テレマティクスの視点から日本の状況に合わせるというのは、もうひとつ重要なポイントがあります。
上記したとおり、プローブデータへの対応はどうするのかってことです。
この辺が液晶テレビにおけるB-CASカードのような参入障壁のようになりはしないかと心配しております。

で、iPhoneに関しては、3G回線という通信インフラを元々搭載していることから、アプリ側でプローブデータを蓄積、送受信することをプログラムすることで、ハードウェアの追加なしにカーナビゲーションとしてプローブ対応まで一気にもっていくことができるポテンシャルを秘めています。
(解像度ならびにディスプレイサイズの問題、メモリ&処理能力の問題がないわけではないですが)

問題はそれを作れるのはおそらくプローブデータの開発実績を持っている会社であろうこと。
また、それらの会社はカーナビ製造&開発を収益の柱にしているので、わざわざ競合するiPhone版を開発する積極的な理由がないこと。

この2点を考えると、やればできるのにやる人がいない、っていう状況になるのかなぁ、とか思ったりします。
ただし、ナビタイムやパイオニアから少し距離を置いているインクリメントPなんかには、ビジネス拡大のチャンスでもあるため、この辺をどう戦略的に動くか。

極端な話、コストでアジア勢と競合する安価なPNDを作り続けるより、ハードウェアの量産リスクを負わないで済むiPhoneアプリに注力するというのは、戦略的には十分いける話ではあると思うんですけどね。
 

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