1007 Premium Night。
ディーラーの営業マン曰く、プジョージャポンがこの手のイベントを大々的にやるのは今回が初めてだという。
新宿の小笠原伯爵邸の入口に飾られた2台の1007にはスポットライトが当てられてキレイに輝いていた。
そして最初に思ったことは、
プジョーは1007を本気で売ろうとしている
という事だった。
■一番の魅力はカラーリング
12色も用意されたボディカラーと、自分の好みによって好きにカラーリングできるカメレオコンセプト。
この2つの要素がもたらす魅力は、自分の部屋をコーディネイトすることに喜びを覚える人にとってはクリティカルヒットだろう。
以前にも例えとして出したが、カラーリングの多色展開はSMARTのfortwoが先例としてある。
ただし、後から自分の好みで変更できる自由度はない。
国産では三菱のコルトが初期にカスタマーフリーチョイスという方式で内装を自由に選べる展開をしていたが、現在は止めてしまった。
選択肢が多いということは、それだけ販売管理に手間が掛かることを意味する。
しかし、プジョーは2009年までに年間3万台まで販売を増やすと宣言している。
その足がかりとして、お洒落なユーザ層を1007で貪欲に取り込んでいくつもりのようだ。
■メインターゲットは奥さま&お嬢さま
会場に招待された客の、かなりの人が奥さんやお嬢さんを連れてやってきていた。
彼女達の目線をずっと追っていたのだが、個性的、お洒落というプジョージャポンが一番アピールしたい事が見事に伝わっていた感じだ。
例えが古いが、木村拓哉と常盤貴子のドラマ『ビューティフルライフ』の影響でオペルの赤いVITAが世のお嬢様に爆発的に売れたことがあった。
ターゲットとしては、そこがドンピシャだったりするので、恐らく広告展開もお洒落度の高い女性誌を中心に、ライフスタイル系の雑誌で展開されていくものと思われる。
30xや40x以上の車種のオーナーであれば、1007はコンパクトなセカンドカーとして魅力的に写るだろう。
世田谷の一軒家の駐車場にちょこんと収まっている光景が似合いそうではある。
また、DINKSや子供が小さい夫婦のファーストカーとしても、魅力的に写っているようだった。
選択権を奥さんが握っている場合は、国産より高めでも指名買いをしてしまいそうな勢いがある。
■ライバルは…
ポルテはライバルになり得ないだろう。
むしろ、同じトヨタのラクティスや日産のCUBEがコンセプト的に近い。
ただし、両側スライドドアやカラーバリエーションといった、1007唯一とも言える魅力があるので、実質的にはほとんど指名買いのお客さんで占められる事は想像に難くない。
■室内空間
幅は広い。コンパクトのクセして、十分な広さを感じる。
助手席足元が意外とせまい。シートを後ろまで下げれば十分なスペースを確保できるが、いわゆる足元の遊びがあんまりない。
ダッシュボードが足元付近まで縦に伸びているのが、遊びが少ない原因だろう。
後席もあんまり余裕があるとは言えない。助手席シートが前に倒れるので、ドライバーと後席に座ってる人との会話みたいなことがし易いような配慮がされている。
奥さんが運転して、後席に取り付けたチャイルドシートの赤ん坊を気遣うなんていうのは結構しやすそう。
後席をきちんとセッティングした状態では、カーゴスペースはベビーカーを横に詰める程度の奥行きしかない。
4人乗せて旅行へ行こうと思ったらかなり難儀しそうだ。
荷物を載せる場合には、メーカーオプションの『ルーフレール(39,375円)』を取り付けて、ジェットバッグなどを活用するべきなんだろうけど、女性はああいうゴテゴテした装備は嫌がるだろうね。
それと気になったのが、ドリンクホルダーがシフトノブ付近に2ヶ所用意されているが、この直径が小さい感じがした。350mmの缶が入らないんじゃないかなぁ?ここは要チェックポイントでつ。
もうひとつ。視界は良好だが、クルマ先端部の見切りが非常に悪い。
無理せずコーナーポールを取り付けたほうがいいかもしれない。
ちなみに、ボンネットオープナーはやはり助手席側中央部の足元付近にあったw
この辺、直すつもりはないんだろうね。
■電動スライドドア
ドアノブは大きめで、ロックを解除して軽く力を入れると、自動で開いていく。
閉めるときも、軽く力を入れると、あとは勝手に閉まっていく。
▲スライドドアノブは大人の手でがっちり掴めるサイズ
リモコンによって離れた場所から自動で開閉できるので、荷物を持っていた場合でも楽に乗り降りできる。
車内からはボタン一発で左右のドアが開閉できるので便利。
ドライバーシートに座ると、自分の横のドアがスライドしていく様は、ちょっと不思議な感覚だった。
挟まれ防止装置の度合いがどんなものかというのは、その辺をうろちょろしていた女の子が試してくれたw
手を触れたり、軽く押さえた程度では装置は働かないようだ。
プロモーションビデオでは、子供が挟まるとすぐに反応してキャンセルされていたが、国産の基準に比べるとこの辺の感度は少し甘いように感じられた。あくまで主観だけどね。
■組み付け精度は高い
思ったよりきちんと作ってある。
内装の質感は、206シリーズ以降の品質は確保している。
インパネ周りは、カメレオキットによって自由にカスタマイズができるように、極力シンプルに作ってある。
バンパーはキチっと組み付けてあって、部品の隙間は2、3mm程度だった。
307と違って、左右フェンダー部分はプラスチックではなく板金だった。
■カメレオコンセプト
標準で選べる内装飾は決められているが、宣伝文句にあるように『カメレオキット(31,500円)』と呼ばれる全12色のキットで自在にカラーリングを変更できる。
▲カメレオキットはこのようにパッケージ化されている
例えば、シートの部分は座面に沿ってジッパーで止められており、これを外すとカバーを交換することができる。
ジッパーも良く考えら得れていて、全部閉め終わった後シートとの隙間に隠すことで座ったときに衣服を引っ掛けることもなく違和感なく座ることが出来る。
同様にエアベント部もねじって外すだけで交換できるようになっており、本当に15分もあれば車内の模様替えも簡単にできる。
逆に言うと、シートカバーなどを被せてしまうと魅力激減なので、このカメレオキットをうまく活用することで汚れ対策をするといいだろう。
説明の人の話では、キット一式ではなく座席のカバーだけ単品で買えるみたいなことを言ってた気がしたが、カタログを見る限りではキット単位での販売になるようだ。
色を合わせるために複数のキットを買わなきゃならないとなると、ちょっと効率が悪い気がする。
値段も31500円と微妙なところが悩ましいですな。
■2トロニックは要注意
ブルーライオンの営業マンでも、1007を実際に運転した人は少ないらしく、注目の2トロニックについて語れる人が意外と少なかった。
その中で話を聞けたスタッフの人曰く、あくまでMTをベースとしたシステムなので、ATのスムーズさを求める人にとっては違和感を感じるかもしれない。
この機能はどちらかというとドライバビリティの向上に寄与するものであって、とりあえず走ればいいといったAT限定の女性にはミスマッチかもしれない。
また、クリープをまったくしてくれないらしく、坂の途中で止まった際、スタート時にクルマが後ろにずり落ちるような感覚があるとのことで、外見のお洒落さだけで運転に慣れてない女性が乗ると怖い思いをするかもしれない。
買う前に必ず試乗して欲しい、とのことだった。
■来場者はかなりポルテを根に持っているw
トヨタがコンセプトをパクったポルテについて、「あんなのとはさすがにデキが違うね」、といった感じで熱弁を振るっている来場者の光景を何度も目にした。
それに対してプジョーのスタッフが平静を保っているのがちょっと笑えた。
■ディーゼルを出せ
ダイムラークライスラーがディーゼルを積極展開することが報じられているが、国内でのディーゼル待望論は日増しに高まっている。
プジョーは欧州で高い評価を受けたディーゼルエンジンを持っているのだから早く導入したほうが強いアピールになるのに、って話をスタッフに振ったところ、やりたいのは山々だが思ったより解決すべき問題がいろいろあるらしい、とのこと。
声は日増しに強まっているのは感じているとのこと。
▲1400ccエンジン
▲1600ccエンジン
■まとめ
2005年実績ベースでは、1007は目標の7割程度の実績らしい。
しかし、日本人にとってクルマは嗜好品としての性格を持っている。そこにうまくはまるキャラクターではないかと感じた。
先のエントリーで、1007はニッチなところを狙っていくんだろうと書いたが、少なくとも取り組みは本気だし、日本人の感性に訴えるだけの魅力を持ったクルマであることは間違いない。
今回のようなイベントで、初速はかなり期待できる。
あとは広告展開をどうやっていくかで成否が決まることだろう。
個人的には、日本人の嗜好が二極分化(軽&個性的or高級車)している状況において、1007の投入のタイミングは絶妙だと思える。
クルマとしても、しっかり作ってあることがわかるので、値段相応の価値はあると思う。
オススメできるか?と問われれば、買ってもいいんじゃない?って抵抗なく言える車だ。
■そしておまけ
来場者の一人が「この手のクルマは勢いで買うもんだからね」と言っていたのが印象的だった。
確かにその通りだと思う。あれこれ悩むようなクルマではないから、気に入った色をビシっとオーダーするぐらいの勢いが欲しい。
ちなみに、初期デリバリーが完了してしまうと、かなり待たされるのではないかという懸念があった事を付け加えておく。
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