まだソニーは引き返せるんじゃないか?

市場に参入する者、撤退する者があるからこそ市場経済なんだろうけど。
で、ひとつのムーブメントを作りし者が衰退していく様を我々消費者はいろいろと見てきたわけで。
より新しい、より刺激的なモノを出し続けなければならないメーカーにとっては大変なことであろうと思うが、それはそれ、申し訳ないが消費者とは無責任だったりするわけで。

ただし。

過去に体験したムーブメントの思い出が強いほど、思い入れというものも残るわけであり、それが市場を去る者に対して痛惜の念を向けたりするもんだったりする。
直近の例で言えば、ニコンやコニカミノルタなんかがそうだよね。

”モノより思い出”なんてCMのコピーがあったけど、”モノにも思い出”を強く感じるのが日本人の特性でもあるような気がする。別に、海外の人もそれぞれに思い出があるとは思うけど。

で。

よせばいいのにソニーの話。

ロケーションフリーなどが地味に評価を得たり、乱売模様ではあるものの液晶テレビも少しは持ち直しつつある。
やはり、家電で育ってきた企業なのだから、家電の復調は明るい兆しと見ていいんじゃないだろうか。
その影で、AIBOや車載用オーディオ&ナビの市場から撤退といった、魅力ある製品を持っていながら妙な経営判断を下すあたり、疑問が残るのも事実だけど。

短期的に収益を回復させることが今のソニーにとって最重要課題であることはわかる。
しかし、長期のビジョンとして考えたとき、ソニーが抱える最大の爆弾は、PlayStation3であることは皆わかっていることだろうと思う。

次世代DVD規格争いにわざわざ首を突っ込むようにBlu-ray Discを採用したり、次世代HDMI端子を搭載といった、どんどん膨らんでいく仕様。
これを市場に投入して、どれだけの人が喜んで買うというんだろう?
また、この製品を発売することで、業績を回復させられると本当に思ってるんだろうか?

ハリウッド大作映画が思ったほど客を集められないのと同じく、高画質なゲームというのが必ずしも支持されてない状況というのは、Xbox360を見れば明白だったりする。

ゲームが一時期の生活必需品ではなくなり、キレイなムービーを見せる超大作から、遊びの原点に立ち返るようなゲームの再評価など、時代の波が完全に移り変わっている状況において、これほど重厚長大なゲーム機を投入する意味というのが果たしてあるのか?
また、デジタル家電との融合に色気を出しているが、そもそもメディアを介したコンテンツの閲覧というモデルさえ近いうちに崩壊するだろうに。
こうしたトレンドの変化によって、リビングセンターとしてのゲーム機というポジションは幻想になりつつある。

春に発売するという建前の割にはいつまで経っても準備されない開発環境や、現場レベルでのもはや諦めに近いような雰囲気。
これはもう、大きな判断を下すべき時に来ているんじゃないだろうか。

PS3は再度コンセプトを見直し、CELLを使うのはやむを得ないにしても、HDMIやBDのフルスペック対応などはスッパリ諦めて、ゲーム機として無理のない内容に落ち着けるべきではないだろか。
そして、ハイビジョンレコーダーなどの高機能AV機器にCELLで培った技術を投入するという判断のほうが賢明じゃないかと思うわけだ。
金を取れるところに最新技術は投入されるべきで、メンツのために最新技術を利益を圧迫してまで搭載する意味はまったくないからだ。

このまま言われてる通りのスペックでPS3が出てきたら、事業として成立させることが出来ずに業績悪化、組織解体&部門買収という最悪の結末を迎えてしまうことは目に見えている。
しかも、それがわかっていながら漏れ伝わってくる情報では、現場の士気は限りなく低い。

日本人なら誰でも、ソニーというメーカーならびに製品に対して憧れや好感を抱いていたことだろう。
だからこそ、心配になってしまうのだ。
アンチだとかどうだとかいう問題ではない。

コニカミノルタのカメラ部門を引き受けたとして、それをうまく展開できるかどうかわからない。
これが今のソニーに対するイメージだ。

超ビッグプロジェクトとしてPS3は位置づけられているからそう簡単に方針を変えることは出来ないだろうが、時代を読む目と過ちを認める心があれば、まだ引き返せると思うのだ。

自社の技術力に限界があるからといって、こういうことをやるのは優先順位から見ても違うんじゃないのかねぇ?

ソニーがPS3オンラインゲーム開発メーカー支援

ソニー製品というモノに対する思い入れが深ければ深いほど、現在のソニーに対する違和感の感じ方は強くなる。
また、不幸なことにその違和感は、得てして悪いほうに当たっている事の方が多い。

PS3を根本から見直し、任天堂のRevolutionより発売が遅れることになっても、コンセプトの再構築をすること。
それができれば、またソニーは息を吹き返す余地が残されているのではないかと思うわけで。

なぁ、ソニーさん。
頑張ってくれよ、ホント。
おいら達が欲しいのは、皆が便利で幸せになるような家電製品、ただそれだけなんだからさ。
 

この記事へのコメント

  • なおなお

    ソニーは引き返せない。
    そして、その場所を離れた時から引き返す場所さえなくなってしまうのがこの業界ではないのか。
    この業界に特に詳しくない自分の印象。

    一般消費者のイメージとしてソニーのDNAが引き継がれている感じがしない。
    収益の改善が目標である時には短期的思考になってしまうのはしょうがないが、その先方がいまのPS3では期待はできない。

    だからといって、ソニーが収益性の低い駄目な企業というわけではない。
    企業イメージと企業の力は比例するものではないし、企業の力を示すモノサシはたくさんある。

    で、PS3がどのようなスペックで出るのかはそんなに問題じゃないと思うのは間違いかな?

    ただの一般消費者の自分としては、「これから何が出来るか?」より、買った時点で「いま何が出来るか」が問題。
    そしてそれが、供給の面でも安定して、
    ハードとしてもソフトとしても安定してくれればいい。
    「仕様ですから・・・」なんて言い訳をされないような商品であればいい。

    付いていても役に立たないものだらけのハードだとしても、モノとしても基本的なところがしっかりしてれば大丈夫だと思うのは甘いか?

    そして、それを納得させる価格であればいいんじゃないかと・・・。

    なんて書いてて気が付いたのは、
    「ソニーなんてどうでもいいんじゃない?」
    と思う自分。

    じゃ、書くなって?









    2006年02月11日 10:16

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