PlayStation3(PS3)で仕切りなおし

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話題が無いよりあった方がいい。
そんなわけで、精彩を欠き続けてきたソニー陣営から、PlayStation3(PS3)が正式に発表になった。
改めて書くが、PlayStation3(PS3)の発表だ。PLAYSTATION3ではない。

このあたりにソニーの苦渋と前任者(久多良木)に対する辛辣な感情が透けて見える。


思い起こせば、初代PLAYSTATION3の発売騒動に嫌気をさしつつも、予約せずに購入できる状態になったら買うと宣言し、なんとなく63000円で買えちゃったのが2006年12月末のことだった。
遊びたいゲームがまったくないという状況の中で、『モーターストーム』という奇跡に出会えたこと。そして、『まいにちいっしょ』という金にはならないが“継続は力なり”ということを証明してくれたオンラインコンテンツに出会えたことが、PLAYSTATION3を買ったことの数少ないメリットだった。

それから数ヶ月間電源が入らない日々が続き、後にPS2互換機能が削除された廉価版の登場とともになぜか初期型60GBモデルの需要が高まったのを機会に売り払ったのが2008年9月。60000円で売れた。
それ以前もそうだったが、それ以降現在に至るまで、PLAYSTATION3本体を買いなおしてまで遊びたいと思うゲームは未だに発売されていない。

世の中の流れがそうであるように、ゲームそのもののプレイ時間減少に加えて、据え置き機より携帯ゲーム機の稼働率が上がったことも大きい。
少なくとも、PSPとDS Liteは月に1本程度のソフトを買い続けているが、据え置き機としては数ヶ月ぶりにWiiResortを買ったぐらいだ。
そりゃPLAYSTATION3の本体が無くても困らないわけだよな。

そんなわけで、据え置きゲーム機というのは、よほどのメリットが無い限り購入されにくい娯楽商品となってしまったわけだが、そんな中で安くなったとはいえ4万円のゲーム機を売ろうというビジネスモデルはなかなか通用しない。
世界的な不調を見ればソニーにもその辺は理解できていたであろうが、なにぶん初代PLAYSTATION3には初期投資が掛かり過ぎた。
舵を大きく切るのに時間を要したことは止むを得なかったと思う。それが正しかったとは思わないが。

で、PS3の発表となったわけだ。
PLAYSTATION3ではなく、PlayStation3(PS3)。
29980円。
普及を図るための価格としてはこれだったら買ってもいいか、というギリギリの及第点だろう。

PlayStation3(PS3)のロゴからは、新たに仕切りなおしをしたいという思いが伝わってくる。
リビングセンターで何をするのかよくわからない存在から、明確に“ゲームを中心としたコンテンツ”を楽しむための存在へ。
背伸びをしないその姿勢こそが、本来PlayStationが支持されてきた理由なんじゃなかろうか。

個人的には、ダウンロードによる供給モデルを実現するプラットフォームとしては、PlayStation3(PS3)が先陣を切るべきだと考えている。
すでにXBOX Live!やWii Shop Channelでもオリジナルゲームのダウンロード販売が開始されているが、メインストリームはあくまでパッケージというビジネスモデルは堅持したままだ。

かつてSFCのソフトの定価が1万円を超える異常事態の中で、リッジレーサー 5800円という衝撃的な価格設定で登場した初代PlayStationは最高にカッコ良かった。
今の時代、ゲームソフトの単価は他の娯楽に対して相対的に高くなりすぎている事、そしてネット時代により瞬間的に発生する需要に対処する必要がある現状を踏まえると、ダウンロード販売によるさらなるコンテンツの低価格化と即時性というのは避けては通れない道になりつつあるのは、現場の人々であれば十分理解していることだろう。
もはやFF13のパッケージを9000円で売る時代から、TheLastGuyを500円でダウンロード販売する時代なのだ。(いや、ちょっと例えが違うか…)
初期の初音ミクブームに触発され、瞬間的に沸騰した『くまうた』の需要に対し、1000円程度でダウンロード販売がされていたら、パッケージが市場に枯渇していた状況でどれほど売上げに貢献することができたか。
それを機会損失といわずしてなんと言うのだ。

ソニーだったらそれが出来る社風がある。
そして、幸いなことにダウンロードへ移行したとしても、失うものはそれほどない。

パッケージの存在を否定するつもりは無いが、そもそも我々はパッケージにお金を払うのではなく、その中のコンテンツに対してお金を払っているのだ。
(一部にオマケで釣るという『限定版商法』というしょうもない連中が存在するのも事実だが)
高騰する開発費とそれに伴う採算分岐点の上昇がゲームの幅を狭めている現実を打破するために、もっと柔軟な販売手法が求められている。
それをソニーがサラっとやってのけたら、それほどCOOLなことはあるまい?

SCEの平井社長は何もしないという不評があるが、少なくとも余計なことを言う久多良木に比べれば遥かにマシだ。
ロゴをPlayStation3(PS3)と刷新することで過去との決別を迎えた今、ソニーはPlayStation3(PS3)で新たなチャレンジができるステージを迎えた。
言うなれば、マイナスをリセットしてゼロ地点に立ったわけだ。

戦略次第で過去の不利を挽回するだけのチャンスは確実にある。
しかも、マイクロソフトや任天堂が手を出していない(出せていない)方法がある。

カッコいいソニーだったら応援するのもやぶさかではない。
ぜひとも、ユーザーが“やればできるじゃん!”って思うようなところを見せて欲しい。

応援の意味で、新型PlayStation3(PS3)を購入することをここに宣言する。

ただし。
ゲームをプレイすることに対する解釈が年齢とともに変化している昨今、PlayStation3(PS3)を買ったからといって、アクティブに稼動することはそれほど多くは無いだろうな、という自覚はある。
ゲームを楽しむという観点からすれば、WiiResortで得られる体験を超えるものが提供されない限り、おいらは財布の紐を緩めないだろうし、文句も言い続ける。

ソニーにそれが出来るだろうか?
出来なきゃ死ぬで。
出来るであろう事を信じたい。
 

この記事へのコメント

  • 売れる環境は出来たけど、マーケティング次第かね。
    って、早くも新CMに対しては非難轟々だけど。
    2009年08月20日 04:45

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