
VWエコドライブトレーニングを考える(2)
VWエコドライブトレーニングを考える(3)
ってことで、VW主催のエコドライブトレーニングに参加してきた。
各自動車メーカーがさまざまなユーザー体験型トレーニングを実施している中、VWがエコドライブを前面に打ち出してきたのは何か理由があるんだろう、それはおいらの持ってる知識とどれぐらい違うんだろうか?という純粋な疑問から参加してみようと思った次第。
抽選に当たったから、というのもあるんだけどね。
で。
これはVWのトレーニングプログラムであって、当然のことながらVWにとって都合の良い内容になっていると推測される。
VWと言えば、現在はTSIエンジン(直噴エンジンにターボチャージャー+スーパーチャージャーを搭載)と、DSG(2ペダル式デュアルクラッチトランスミッション)を前面にフィーチャーしており、
『これらの特徴を理解することで最適なドライビングを楽しもうという趣旨』
であることは容易に想像がつく。
そこを割り引いて何を見出すか。
プジョーとスマートというVWとはまったく性格の異なる2車種に乗っているおいらであれば、俯瞰して見ることができるんじゃないかと思うわけだ。
それとも、本来の目的であるTSI+DSGの魅力にどっぷりハマることになるのか?
おら、なんかワクワクしてきたぞ。
■TSI+DSGだけで活かせるエコドライブテクニック
話が長くなるので、まず結論めいたことを先に書いてしまおう。
エコドライブの方法についてはいくつか具体的に有効な施策があるが、TSI+DSGに限っては、それらに加えて以下の2つのテクニックが有効である。
(1)ギアのN(ニュートラル)を活用する
(2)2000回転以下で積極的にシフトアップする
これは、DSGが機構的にマニュアルトランスミッションであることから、走行中にギアをニュートラルにすることで惰性で走行することが可能である、ということ。通常のATでは、トルクコンバーターが介在しているため、走行中にニュートラルにすることは機構へのダメージから推奨されない。
また、TSIエンジンはその特性から低速トルクが厚い。そのため、積極的にシフトアップしていっても十分な加速トルクが得られることから、早めに高いギアに持って行き、早めに巡航させることで燃費を良くするという発想によるものだ。50km/hで7速に入れることも可能だったりする。
ニュートラルと燃料カットオフの切り分けが難しいところではあるが、この2点に関してはTSI+DSGだからこそ使えるテクニックであると言える。
それ以外のテクニックに関しては、既存の他車にも応用可能なため、まとめて後述する。
■清水和夫だっ!
何の前知識も持たずに会場に着いたのだが、時間になって挨拶の後に説明を始めたのが、自動車ジャーナリストの清水和夫(当サイトのスタンスとして敬称略)だった。
おぉ、BLOGをチェックしていたのに気が付かなかった。

実は、最近自動車ジャーナリズムに対してかなり悲観的になっていたので、一度清水氏の話を聞いてみたいと思っていたところだった。
話を聞き、どんなことを考えているかというのを直に知った上で感じたのは、自動車の未来に対して真剣にアプローチをしようとしている姿だった。
『どれだけ安くてもブラウン管テレビを買う人はいない。液晶だから、高くてもお金を払う価値があると消費者は認識している。』
『クルマはこうしたパラダイムシフトを起こせずにいる。その状況をなんとかしたいと考えている。』
こう話す清水和夫の視点は、おいらが漠然と感じていた危機感の方向性と同じものだった。まさに我が意を得たり、の気分。
ただ、そうした考えがBLOGからも一般のメディア露出からも伝わって来にくいのは、本来伝えなければならない本質が言葉足らずによってきちんと伝わっていないからではないか?という結論に至った。清水和夫はもっと声を大にして言うべきことを主張すべきだ。
この件に関しては別の機会にでも。
で、今回のエコドライブトレーニングだが、企画をしているのが清水和夫も参加するNPO法人mobility21だ。設立の趣旨にはこうある。
クルマを「被告席」に座らすことは、断じてさせない・・・。
自動車の大量生産が始まって約100年。以降、世界中で急速にモータリゼーションが発展を遂げ、その反面、大切なモノも失ってきました。
交通事故によるかけがえのない命、取り返すことの出来ない大切な自然環境、国際紛争の原因ともなる化石エネルギーの争奪など、数えあげればキリがありません。
人々がモータリゼーションの拡大に伴うリスクを肌身に感じるまでには、それから70年近くの歳月を要し、その最終的な解決策を結論づけられず今日に至っています。
しかし、悲観的な話ばかりではなく、人類こそが持ち得る英知や技術力、なにより情熱によって、モータリゼーションにおける幾つもの難題を解決し、クルマは人々の生活に利便性や快適性、エモーショナルな魅力を提供し続けてくれています。
本来、クルマは人類が発明した物の中で、最も夢がある素敵な機械です。
クルマや道を安易に悪者にしたくない。
こんな発想からクルマ社会に対し、さまざまな提言を行なうべく「mobility21(モビリティーニジュウイチ)」が設立されました。
ドライバーの啓発活動も理念のひとつということで、それに賛同(っていうか利害一致)したVWが企画したのが、エコドライビングトレーニングだったというわけだ。
このプログラムの運営スタッフも同乗するインストラクターも、基本的にmobility21のメンバーが中心になって進行した。
名前とかちゃんとチェックしてなかったが、それなりに有名な人も居たようであります。
■で、エコドライブってなんなのよ?
まず、エコドライブとはいったい何なのか?
清水和夫の弁を借りれば、それは、
『安全にドライブすること』。
事故を起こしてしまえばそれはエコではないし、周りに渋滞を生んだりすることで無駄なCO2排出にもつながる。
事故なく安全にドライブすることが、エコの基本である。
だから、昨今語られる燃費走行の流れを無視したゆったり加速みたいなテクニックは、無用な渋滞を生み出す要因にも成りかねないため基本的に反対である、との主張だ。
話は変わって。
昨今のエコブームもあって、自動車開発においては燃費を良くするためにあらゆる努力を行っているが、現在の自動車開発にあって燃費を5%良くするというのは至難の業であり、アイドリングストップや低転がり抵抗のタイヤを装着するなど涙ぐましい努力が行われている。
一方でその低ころがり抵抗タイヤは雨天時のグリップ性能が劣るという側面もあり、安全性を犠牲にしているという点で本末転倒な事態になりがちであるのが現状だ。
クルマ側で出来ることは限界に近づいているが、一方でドライバーの運転スタイルによって、燃費は最大で20%近くも改善できる余地がある。
ここをきちんと理解・実践することこそがエコに繋がっていくことになり、その手助けをするのがエコドライブトレーニングの目的であるわけだ。
で、一生懸命書こうと思ったのだが、ここでかなりの部分が書かれてるのでご覧頂いた方が早いと思う。
「VWエコドライブトレーニング! 究極のスマートドライブを考える~その1
VWエコドライブトレーニング! 究極のスマートドライブを考える~その2「実践編」
ってことで、見事なまでに書きたいことが書かれちゃってるのでした。
心が折れちゃったので、以降はこの記事からアップデートされた情報と、おいら的感想を中心に書いてみようと思う。
(つづく)
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